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第58話 書類選考

年が明けて。

城に年始の挨拶に訪れる人も途絶えた頃。


父アスラッドに呼び出された。

親衛隊の隊長になる人物が決まったとのことだ。

呼び出された先に居たのはボクの剣の師匠だった。


「師匠じゃないですか。師匠がボクの親衛隊の隊長に?」


「はい、ジュン様。自分で志願しました。改めてよろしくお願いします」


「カイエンは近衛騎士として身辺警護のノウハウも持ってる。お前との面識も有り気心もある程度知れてるだろう。能力的にも問題ない。適任だと思ってな」


「そうですか。よろしくお願いします。師匠」


「はい。ですがジュン様、今は訓練の時間ではありませんので私の事は呼び捨てでお願いします」


「あ、そうか。上手く使い分けないとですね、カイエン」


「上に立つ者として必要な事です。徐々に慣れてください。できれば敬語も使わずに」


「はい。じゃなくて、うん。ところでお父さん。決まったのは隊長だけなんですか?」


「そうだ。選別が難航していてな」


「何か問題が?」


「志願者が多すぎるんだ。身辺調査は志願者全員に行っている。何か弱味を握られれば仕えて長い奴でも裏切るかもしれん。信頼し信用する事は大切だが用心は忘れてはならない。最初くらいキッチリ調べておかなくてはな。特にお前は一度命を狙われているからな」


「そんなにいるんですか?志願者」


ボクの親衛隊なんてつまらないと思うがなあ。

気持ちは嬉しいけど。


「驚くなよ。既に二千人は超えている。しかも各領地でも募ったからな。まだまだ増えるぞ」


「二千?募集人数百人に対して二千人の志願が?」


「我が息子ながら凄い人気だな。治癒魔法で各地に治療で周ったのが効いてるんだとは思うが」


「加えて、ドラゴンを倒せる能力。そしてその容姿。人気が出るのは自明でしょう」


あんまり褒めないでください。


「実際、志願者には女性が多いようですよ。異例な程に」


「そうだな。過去にこういう募集が有った時は女性の志願者は少ない。とゆうより女性の騎士や兵の総数が男性に比べて少ないからな。なのに志願者の約半数は女性だ。いっそハーレムでも作るか?」


「作りませんよ」


仮に作っても身が持たないだろう、そんなの。


「まあ、それでな。志願者には自分の詳しい経歴を書いた書類を提出してもらっている。志願動機も添えてな。その書類を見てお前も選べ。カイエンも自分の部下になる者達だ。お前も参加しろ」


「わかりました」


「はっ了解です」


一次審査は書類選考ね。

二次審査は面接だろうか。

しかし三人で二千人の選考は大変だな。


「お父さん、ユウとアイにも関係する話です。二人にも手伝わせては?」


「ん?まぁ二人の親衛隊でもある。いいだろう。セバスン、呼んで来い」


「畏まりました」


そうしてユウとアイ、それから手が空いていた母エリザにも手伝ってもらう。


「この子、既婚者ね。アウト」


「この子のスリーサイズ凄い。とりあえずキープ」


「あ、この子は男好きで有名な子よ。アウトね~」


何か選別基準おかしくない!?

とゆうかなんでスリーサイズとか載ってるの?


「三人とも、もう少し真面目に・・・」


「あら失礼な。ウチは真面目だよ」


「私も真面目に選んでるよ」


「私も真面目よ~」


とてもそうは思えないのだが。


「この人、剛槍の紋章持ちだって。キープだね」


「何、この志願理由。女にモテたいから?なんで親衛隊に入るとモテると思ってるのよ。ダメすぎ。アウト」


「あ、この子、知ってる~。元冒険者で斥候の技術を持った子よ。キープで~」


男性を選ぶ時は真面目に選別するのか。

女性もそうゆう着眼点で見て欲しい。


「あれ、この人、クリステア・ルガー? 領主ルガーの娘?」


「ああ、彼女ですか。私と同じで近衛騎士団に所属していて剣と魔法をバランスよく使える有能な人ですよ。確かルガー家の三女だとか」


領主の娘が親衛隊やら騎士団やらに所属していいのかな。

自分の領地でやる事があるだろうに。


「ああ、クリステアちゃんね。近衛騎士団では一番の美女って評判の子よ。近衛騎士になる時に彼女の両親から目を掛けてやって欲しいって頼まれたの」


「ああ、そうだったな。確かルガーのとこは子沢山でな。兄妹が沢山いるから領地の事は兄妹に任せて自分は王都で騎士になると言って来たんだったか。国を支える仕事がしたいと」


真面目な人なんだな。

そして確かに有能なようだ。

剣士の紋章、盾の紋章、火の紋章と三つの紋章を持ってる。

かなり凄いかも。


「じゃあこの人はキープ、とゆうかもうこの人は採用でいいのでは?」


「一応、調査してからだ。キープ扱いにしとけ」


「わかりました」


まあ特別扱いはよくない、か。

平等にしないとね。


一回目の書類選考で残ったのは五百人。

次は面接試験だろうか。


「これ百人と言わず千人くらい採用しないと治まらないかもしれませんね」


「むぅ。徐々に増やす積もりなんだかなぁ」


「でもあなた、まだ各領地からも志願者が来るんでしょう?各領主に厳選して貰うとして一体どれだけ来るかしら」


さらに武闘会でも選ぶとなると

とても百人では治まらないと思う。


「仕方ない。とりあえず五百人にまで採用人数を増やそう」


「それで書類選考をクリアした人はどうします?」


これが企業なら筆記試験か面接試験なんだろうけど。


「志願者同士で試合をしてもらう。必ずしも勝つ必要は無い。見込みが有る者を合格としよう.

それから面接もする」


なるほど。

実技試験と面接試験ですね。


「それ、ウチも出ようかな。謎の仮面美少女格闘家として」


「だから仮面をしてたら美少女かどうか分からないでしょ」


「だって~やっぱり実戦をしないと鈍っちゃうし」


「魔獣相手じゃダメなのか?」


「対人戦とは全く違うしね。やっぱり試合位はしないと」


「そっか。それに普段はボクとユウに体術の訓練を付けてるし自分の訓練時間取れてないよな」


その点は悪かったと思う。

ちょっとアイに甘えてたかな。


「そ、そんなことないよ?ジュンとユウとの訓練は楽しいし、自分の訓練時間もちゃんとあるし。ただ試合位はしないと対人戦の勘が鈍るってだけで!」


「そうですね。アイ様の仰る通りかと。そう言った意味ではジュン様も対人戦の経験を重ねる為にも武闘会に出てもらいたかったのですが」


師匠にそう言われると出なきゃいけないかなって気になるけど、もう予選のエントリーは締切の筈だ。


「じゃあアイ、今度一緒に騎士団の訓練に参加して模擬戦をやろうか。いいですよね?お父さん」


「ああ、問題ない。話は通しておく」


「有難う御座います、御義父様。ジュンもありがと」


ニコっと笑うアイ。

ちょっとドキっとしてしまう。

十歳の子供だというのに。


「んんっ、とりあえずこれで今日は終わり。次は試合の日ですね?」


「ああ。その次は各領地から送られてくる志願者の書類選考だな」


「各領主に厳選してから送ってもらってくださいね・・・」


一体何人志願者が来るやら。

ボクの親衛隊なんて本当につまんないと思うんだけどな。

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