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第578話 神様の世直し 23

前半はユウ視点 後半はジュン視点です

~~ユウ~~




 リヴァさんが圧倒的な力で巨人を倒した後、お祖父ちゃんとユーグ陛下達に後の事は任せて先行する事に。


 いつものメンバーと親衛隊と婚約者全員、お父さんとお母さんも一緒に世界樹の根元に到着。

此処から頂上を目指す…ん、だけど…


「コピーとはいえ、流石は世界樹ね。オリジナルより大きいみたいだし、真下からじゃてっぺんは全然見えないわ」


「外側から飛んで行ければ楽だったのに」


 フレイヤ曰く、エロースは世界樹の頂上で特殊な空間を作り閉じこもってる。その中に入るには正規ルートを通るしか無く、空を飛んで行くとか転移で入るとかは不可能らしい。


「此処から頂上に…凄い時間かかりそう…何とか出来ないの?」


「飛行魔法で登るのは構わんぞ。それならほぼ垂直に行ける筈じゃ。じゃが…恐らくは此処にもエロースの手勢が居る筈じゃ。用心するんじゃぞ」


「…急ぐわよ」


 本当なら、他の強者…ダーバ王子やダンテさん。

エルとミネアにも来てもらいたかった。

でもあまり強者を連れて行くと残る人達が心配だし、エルミネア教国の軍はエルとミネアが居ないと制御が効かない。


「ユウお姉ちゃん…わたし、飛行魔法使えない…」


「私もです…すみません」


「…なら…飛行魔法が使えない人はワイバーンに乗せてもらって」


「ん?飛べない者が居るのか。ならば…」


 世界樹の枝が伸びて、拡がりながら降りてきた。

円形の皿のような形になった先端がある。


「…もしかして今の、フレイヤ様が?」


「うむ。わしは植物を操る事が出来る」


「あっ…そっか。そう言えばジュンの剣…」


「そういう事じゃ。さぁ、乗るがよい」


 全員が乗る事が出来る位に拡がった枝に乗り、頂上へ。まるで木で出来たエレベーターみたい。


「…邪魔な枝が勝手に避けてく…これもフレイヤ様が?」


「うむ。これくらいなら大して力を使わんしな。それより…やはり居るぞ、番人が」


『この匂いは…あの猿だよ!』


「降りてくるですぅ!」


 降りて来た黒猿は一匹。

だけどサイズが今までとは段違い。

多分、世界樹を守る最後の番人としての特別製…


「でも!こんなのに時間掛けてらんない!」


「メーティス!速攻で倒すよ!」


『はいな!』


 こんな奴!私のお兄ちゃんへの愛の力の前には無力!瞬殺して――― 


「ふん!」


「「「あ」」」


 リヴァさん…拳一発で…巨人もそうだったけど、本当に強い。彼女が味方で良かった…


「ふふん!Meの前に敵無し!」


「師匠がリヴァさんが世界最強と言った意味がよく分かりました…」


「お主…いや、良い。緊急事態じゃしな」


 そうだ…今は形振り構ってられない。

リヴァさんの力が周りに知られようが、そんな事は些末な問題。

最優先すべきは全員無事でお兄ちゃんを助ける事。


「…何だか少し寒いですね」


「もう雲よりは高い位置に来たからの。もう少しで頂上じゃ」


「お兄ちゃん…」


 もう少しだ…お兄ちゃん、無事で居て…




~~ジュン~~




「はぁっ…はぁっ…」


「はぁっ…はぁっ…強いね…まさか神である僕に匹敵する強さなんてね…」


 匹敵…確かに、ここまでは互角と言える。

だけどエロースはまだ余裕があるように感じる。少なくともエロースは武器を使用してないし。

対して、ボクは既に全力。余裕なんて無い。


「…まずいね。フレイヤ達が来る」


 外の戦闘はほぼ終わったみたいだ。

ユウ達が世界樹に向かって走ってる。

もう少し粘れば間に合うはず…


「…仕方無いなぁ。本当は嫌なんだけど。時間が無い、僕の切り札を見せてあげるよ」


「なっ…」


 エロースの身体が…大きくなって…いや、男性体に、男に変わった?


「驚いてるようだな」


「…そりゃあね。目の前で少女が青年に変われば驚くのが当然だろう?」


「僕は雌雄同体…女でもあり男でもある。女の姿の方が可愛いから、普段は女の身体で男には滅多にならない。だけど…」


「なっ、速っ…ぐっはっ…!」


「戦闘力はやはり男の身体の方が上だな」


 さ、さっき迄とは全然違う…スピードもパワーも…


「まだ意識があるのか…ん?」


 スピードで負けていようが!連続転移魔法なら!


「ふん…」


「なっ、何?」


「僕は神様だぞ?転移くらい簡単に出来る…ぞ!」


「ぐうっ!」


 か、神なら当然と言うべきなのか…転移魔法まで…い、いや、魔力を使用する様子は無かった…なら…魔法じゃない?


「今の転移は…魔法じゃない…?」


「神は魔法なんて使わない。今のは単純に転移の能力を使っただけだ。僕はこれでも上級神だからな。転移くらい簡単だ。ま、武神ではないから本来、戦いは不得手なんだけどな」


 …男性体になって口調も男っぽくなったな。

しかし、どうするか…逆転の芽が無い。

こういう時はアイの教えに従って…相手の観察と状況整理だな。


 先ず、エロースは武神では無いと言ってるだけあって体術なんかは使ってない。ただ身体能力が凄いだけだ。

そして…


「僕を相手にしながら考え事かい!?」


「うっ!」


 考え事もさせてくれないか…ならば!


「ん?」


「ヒュージアクアフォール!続けて!アイスプリズン!」


 ママ上と戦った時に使った連続技だ。

転移出来るエロースを囚える事は出来ないけど… 


「こんな物!転移すれば簡単に出れる!…ジュン?何処だ?」


 透明化の魔法…インビジブル。

一瞬視界を塞いだ時、使用して上空へ。

多分、直ぐに見つかるだろうけど少しは考える時間が得られるはず…


「クソッ!僕は気配を感じるとか、探し物を見つけるとかは苦手なんだ!出て来い!」


 …以外と時間もらえそうだな。なら有効活用させてもらう。


 エロースは身体能力は高い。加えて魔法は使わないが幾つかの特殊能力がある。更にはあの衣服。魔法は何度かヒットしたが命中と発動速度を重視した弱い魔法だけだ。しかし跡すら残ってない。見た目はタダの服なのに、かなり防御力は高いと見て良さそうだ。


 ただ威力の高い魔法や斬撃は全て躱されている。

必死に回避してたとこを見ると、当たればダメージは受ける筈…当たらないのが問題なんだが。


 次に、この場所。

だだっ広い草原と青空しかない。

隠れられるような場所も遮蔽物も無い。

草と土しか………うっ!?


「あー…いい加減にしろー!」


 か、風!?風を起こした?風神でもないくせに!


「そこに居たか。透明化の魔法か何かか?」


「…まあね。あんた、男性体になると短気になるのか?」


「性格が男っぽくなるのは間違いないな。荒っぽくもなるから男性体は好きじゃないんだ。さ、そろそろ観念して僕に従え。子は親の言う事は聞くものだぞ」


「ボクはあんたを親と認めた事は無い。だから…倒す」


「生意気だな。ま、跳ねっ返りの子を躾けるのは親の仕事だ」


 …皆が来るまで後どのくらいだ?皆が来るまでに決着を付けたいが…出来るかな。

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