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第567話 神様の世直し 12

「我らを相手に圧倒する?」


「確かにお前は強いが我ら五人を相手に――」


「出来るよ!」


「「「「「!!!」」」」」


 光魔法「フラッシュ」で目晦ましを掛ける。

あの盾で吸い込まれるかと思ったがそうはならなかった。どうやら任意で吸い込む魔法を選べるようだ。

もしくは何かしらの条件があるのか。


 と、そんな事考える前にだ。やる事やらせてもらおう。


「何…」


「分身?」


「いや、幻覚の類か?」


「さぁて…どうだろうな!」


 立体映像魔法「ホログラム」でボクの偽者を五体だし。スピリットソードを混じえての高速機動連続攻撃「百花繚乱・絶」。

紋章を全力で使用してる今、初見で防ぎきれる技じゃない!


「がぁっ!」


「ぎぁっ!」


「ぐはっ!」


「げふっ!」


「ごはぁ!」


 宣言通り、圧倒させてもらった。

命までは奪わない。別に彼らに憎しみは無いから。


「ぐぅ…つ、強い…」


「だが無駄だ…すぐに再生して…」


「悪いが、再生は出来ないぞ。鎧を斬ったからな」


「な、に…」


『うっそ…参ったなぁ。こうもアッサリとその子達が負けるなんて思わなかったよ』


 再生能力のある鎧…クリステアの【ガイア】と同じ能力を持った鎧。出来れば戦利品にしたかったが仕方無い。


「止血する程度に治癒魔法は掛けてやる。全部終った後、お互い生きてたら完璧に治してやる。だから此処で大人しくしていろ。ああ、武器は戦利品として貰って行く」


「「「「「……」」」」」


 斧は能力を見る事が出来なかったが…親衛隊の誰かにあげよう。試行錯誤すれば能力は掴めるだろう。

ルチーナには【ヴァーユ】があるし。


 片手剣と盾のセットは…ユリアがいいかな。

大剣はフィービーで斧槍は…メーテルさんでいいか。

双剣は…カイエンだな。

メリッサが騒ぎそうだけど、この双剣はメリッサには必要無いだろう。


「お兄ちゃん!終ったなら手伝って!」


「わかってる!」


 残ってるメイド型アンドロイドにスピリットソードを向かわせる。黒猿の方は…もうすぐケリが着きそうだ。

合体した守護宝獣も加わってるし、問題無さそうではある。だが黒猿が神族の次に驚異だ。

ボクも加勢して手早く終わらせよう。

それに…


「リヴァさん!こっちはボクが加勢しますからリヴァさんはシャンタルさん達を手伝ってあげて下さい!」


「ん?わかった!任せろ!」


 水中で戦ってるシャンタルさんとエミリエンヌさんの様子が解らない。解らないとなると不安になってしまう物だ。此処はリヴァさんに行ってもらうのがいいだろう。


「あ、ジュン?そっちは終ったんだ?」


「うん。手伝うよ」


『だいじょーぶだよ、ご主人様』


「残りは三匹だけだから。このまま僕が――」


「あっ。終ったね」


「…」


『マスター…そんな不満そうな顔しなや…』


 残ってた手負いの三匹は合体守護宝獣がアッサリと仕留めていた。

強いなぁ、合体守護宝獣。リヴァさんの次くらいに強いかも。


「アンドロイドも…終ったみたいだね」


「後はシャンタルさん達…あっ!?」


「主!エミリが怪我した!早く治癒魔法を!」


「あたた…テヘへ…やられちゃった…」


「! 早くこっちへ!」


 水中からリヴァさんに抱えられたエミリエンヌさんが出て来た。

腹部を爪で引き裂かれたようだ…かなり酷い。

でも大丈夫だ、治癒魔法で治せる。


「シャンタルさんはどうしたんです?」


「あたしが傷付けられたのを見て怒って…今、あたしを襲った奴と戦ってる。何か見た事無い奴だったよ」


「…リヴァさん、エミリエンヌさんは大丈夫です。シャンタルさんを頼みます」


「うん!任せ…あれ?」


「エミリ!?大丈夫!?」


 どうやらもう終ったらしい。

矛に魔獣の首を刺したままで、シャンタルさんが戻って来た。

マーマンに似てるが…ちょっと違う感じの魔獣だ。

マーマンの上位種か?


「エミリエンヌさんは大丈夫です。シャンタルさんに怪我は?」


「私は大丈夫です。魔獣も全て仕留めました」


 水中…いや、海中においてはリヴァさんに次ぐ実力者になったシャンタルさん。此処に居た魔獣は相手にならなかったようだ。


「ごめんなさい、エミリ。守りきれなくて…」


「ううん。悪いのは油断したあたしだから。それに思ってたより数が多かったし」


「どのくらいの魔獣が居たんです?」


「五十は居たかなぁ。お姉ちゃんが大半はやっつけてたよ」


「殆どが討伐難度E以下の弱い魔獣でしたから。一番手強かったのはエミリに傷つけたこの魔獣で…」


 矛に刺したままの魔獣の首…そいつがエミリエンヌさんを…


「そいつ…マーマンですか?」


「わかりません。マーマンよりも一回り大きい個体でしたが」


「なら上位種…」


『おい!終ったなら先に進まんか!時間が無いんじゃぞ!』


 あ、いかん。そうだった。急がないと…


「皆、怪我は?」


「ウチらは大丈夫」


「オレ達もだ。何も問題無い」


「進みましょう、ジュン様」


『…はあ。ヤレヤレ…来ちゃうのか。こりゃあ間に合いそうにないかなぁ』


 何とか間に合う、か?

いや、演技の可能性もある。

兎に角、奥に進……あれ?


「お兄ちゃん?どうしたの?」


「…この部屋、入口以外の扉が無い…」


「え?…あ、ほんとだ」


「では別の部屋に奥に進む道があるのでしょう」


「でも…他の部屋は容器しか無かったし、此処以外に扉は無かったですよねー?」


「つまり…隠し通路が何処かにあるって事ね」


 そういう事に…なるのか。

全く、面倒な…時間稼ぎには有効なのは解るが。


『おい、エロース!往生際が悪いぞ!大人しく案内せい!』


『やーだよーだ。念の為に、と張っておいた物が予想外に役に立ちそうなのに。頑張って探しなよ、神様でしょ。ま、フレイヤは探し物を見つけるのは奇跡的に下手くそだから、期待薄だけどねープッ』


『何じゃとー!!見とれよー!目にモノ見せて――』


「ジュンー!この部屋を出て左の奥に何かあるよー!」


『『……』』


 何やらウロウロしてたアイシスがアッサリ見つけたらしい。

相変わらずのよく分からない勘の良さ。

しかし今は非常に助かる。御手柄だね、アイシス。

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