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第562話 神様の世直し 7

 守護宝獣が敵を一掃した大部屋は軽く調べては見たが反対側に抜ける扉以外は何も無く。

その扉を抜けた先は廊下でドーナツ状になってるようだ。

中央は壁がある為、何があるのかは解らない。


「というか、この廊下…下ってるよね」


「少しずつ降りてますね。この壁の向こうにある何かを中心に周る形で降りているのでしょう」


 ただでさえ此処は湖の底にある施設。

そこから更に降りていくとなると…地上から見ればもう相当に深い位置に居る筈だが。


「何の為にこんな地下深くまで伸ばす必要があるのか。神様は見当が付かないんですか?」


『…わからん。世界樹の化身のクローンに関係しているのは予想出来るんじゃが…』


 …世界樹の化身のクローンと関係、か。でも、それってつまりは…世界樹とも関係してるという事では?

いや、そもそも…


「神様、世界樹の化身のクローンは何の化身なんです?」


『ん?どういう意味じゃ?』


「世界樹の化身の…長いのでもうクローンと呼びますが、クローンは何の化身として存在しているんです?」


『そりゃ…世界樹じゃろ?』


「世界樹って何体も化身を用意出来るんですか?」


『それは…わからん。わからんが…もしかしてお主、世界樹のクローンもあると考えておるのか?』


「そう考える方が自然じゃないですか?」


 あのクローンはあくまでも化身。

ならばあのクローンにも本体となる世界樹があるんじゃないか?

そして、その世界樹がある場所。それは正に此処なんじゃ?


「あのー…ジュン様?私、そのクローンて何かよくわからないんですけど…もう一本の世界樹があるんじゃないかって話をしてるんですよね?」


「そしてそれは此処にある、と。お兄ちゃんは考えたんだ…うん、私もそれが正解だと思う」


「と、いう事は…この壁の向こうにあるのは…」


「お祖父ちゃん、出番だよ」


「うむ。…皆さん、出来るだけの強化を私に頂けますかな。この壁は先ほどよりも厚そうですので」


「あ、私の出番ですねー!歌って踊ります!」


「ん。私も出番」


「私の【アテナ】もですね」


「あ、お姉ちゃんも出番だよ!」


「え、ええ」


 出来るだけの強化をしてもらったバルトハルトさんの剣は問題無く壁の一部を斬り裂き、穴を開けた。そしてそこから見えたのは緑色の葉。


「…ユウ」


「うん。鑑定するまでも無く、世界樹の葉だよ。研究で散々扱って来たから見ただけでわかるよ」


「本当に…此処にもう一つの世界樹が…」


「グリムモアの王族が知ったらどうなるやらだな」


 此処に世界樹がもう一本あると知ったら…テレサ様辺りが暴走しそうだな。

こっちの世界樹様の巫女は私がやる!とかなんとか。

グリムモアとは離れすぎてて、この地を侵略は出来ないだろうけど、何人か連れて移住くらいしそう。

いや、もしかしたら怒り狂うだろうか?

世界樹様を作るなど、いくら神とはいえ許せん!とかって。

と、そんな事よりもだ。


「改めて、神様?もう一本の世界樹が此処にあるとわかった今、あのバカ神の行動の予想は出来ませんか?」


『…恐らく、奴はこの世界樹をもっと成長させるつもりじゃ。一階で神族が作っていた物、覚えとるか?』


「あ、一応神様も聞いてたんですね」


 一階で神族が作ってた物…植物用成長促進剤。

この世界樹に使うつもりなのか。


「アレですか…あんな小さな物で世界樹の成長を促せる物なのでしょうか?」


「そうですよね…私、植物を育てた事はありませんが、既に此処まで大きくなってる世界樹にあのような小さな物でなんとかなるのでしょうか?」


 クリステアとシャンタルさんの意見は解る。

だけどそれはあのアンプル一本なら、の話。


『あのアンプル…成長促進剤は神族のお手製じゃぞ?かなり強力かつ大量に与えても植物に悪影響を及ぼさないクリーンな物じゃ。恐らくは一階に居た神族は皆アレを大量生産しておるのじゃろ』


「大量に…アレも持ち帰ればエルムバーンの食糧自給率は上がるでしょうか?」


「姉さん…食糧自給率なんて考えるんだ…」


「当然です。私達はジュン様の妻になるのですよ?エルムバーンの魔王となるジュン様の。ならばエルムバーンの未来の為に何か出来る事を考えるのも妻の務めです」


「グゥの音も出ない正論だけど…姉さんに言われると無性に悔しいわね…」


「私もです、ルチーナ」


「ルチーナとノエラさんは私に対して誤った印象を持ってませんか?」


「Meは素直に感心したぞ!偉いなクリステアは!」


 確かに偉いんですけど…ノエラとルチーナの言い分も解る。

何故か少しばかり裏切られた気分だ。


「それでどうするの?この世界樹」


「世界樹がバカ神の計画に必須なら…可哀想だけど、燃やす?」


『いや…止めておけ。この世界樹がどのような形で関わってるか読めんし、下手に処分したらどんな影響が出るかわからん。今は放っておけ』


 確かにそうか…何もしないのもどうかとも思うけど、仕方無いか。


「ねぇねぇ、ご主人様」


「ハティ?どうかした?」


「あたし達、下に向かってるんだよね?」


「えっと…そうなるかな?」


「じゃあさじゃあさ!あそこから一気に下に行けない?」


「あそこって…」


 ハティが指差したのはバルトハルトさんが開けた壁の穴。

この世界樹の大きさがどの位なのかは解らないけど…少なくとも根元までは行ける筈。


「なるほどぉ…中々賢いな、ハティ!Meは賛成だぞ!」


「ん。敵の裏をかくにも有効」


「そうですね…このまま道なりに進んでも先程のように待ち伏せを受ける事は確実です。ですが、そこからなら待ち伏せを受ける事は無いかもしれません」


「ふむ…」


 反対意見は無し、か。

確かに悪いアイディアでは無さそう。

とはいえ、少しくらい調べてみるか。


「どれどれ」


「お兄ちゃん?何するの?」


「中がどうなってるか見てみる」


 穴から中を覗いて見た。

中は想像以上に広く、天井も床も見えない。

多分、世界樹の成長を考えて広めに空間をとってるんだろう。

それと世界樹以外の存在は見えない。

取り敢えずの危険は無さそうだ。


「…行ってみるか。バルトハルトさん、入口を拡げてもらえますか」


「お安い御用ですぞ」


 拡がった穴から中に入り、飛行魔法で降りて行く。

念の為、ガーゴイルを数体出して先行させた。


「深い縦穴ね」


「世界樹の葉で見通しも悪いですし」


『気を付けるんじゃぞ。その世界樹があのバカの計画の要なら、番人くらい居てもおかしくないからの』


「そういう事はもっと早く言ってください…」


 今の所探査魔法にはおかしな反応は無いし、危険な気配は感じない。

大丈夫だとは思うけど…


「ハティ、リリー」


「おかしな匂いはしないよ」


「特に変な音は聞こえないですぅ」


 二人も危険な存在は感じて無いようだ。

なら、このまま降りて行こう。


「…デカいね。本家本元の世界樹よりは小さいけど」


「だね。本家本元の世界樹は雲より上まで伸びてたけど、こっちは流石にそこまでデカくは無いみたいだね。幹の太さも全然違うし」


「あ、地面が見えて来ましたよ」


 凡そ百メートルくらい降りただろうか?

ようやく見えた地面には芝生と世界樹の根が見えた。


 地面に降りてから上を見ると、どうやら此処は大きなドーム状の部屋で天井の中央には大穴がある。その穴に向かって世界樹は伸びていて、ボク達はそこから降りて来た訳だ。


「此処は地下なのに…まるで地上にいるようですね」


「ああ。明るい天井、芝生、爽やかな空気。どんな技術で作ったんだか」


「確かにそれは気になりますが…ジュン殿、先に進みましょう」


「そうですね。何処かに扉は――」


「ご主人様!何か来るよ!」


「上からですぅ!」


「! 皆、ボクの傍へ!」


 上から猛スピードで降りて来て襲って来たのは…黒い猿?

いきなり攻撃して来たがボクの結界とクリステアの盾気による防壁の二重の護りに阻まれ失敗していた。


「魔獣…にしては感じる力の威圧感が半端無い。まさか神獣?」


「ですが猿の神獣は白猿だけの筈です。黒い猿の神獣など聞いた事がありません」


「オレも知らないな…」


「メーティス?」


『わいも知らんわぁ。聞いた事も無いで』


『僕も。でも何となく想像は付くけど』


『せやな。多分前の施設で捕まってた白猿を使って作ったんちゃうか。クローン?ちゅうの?白猿のクローンに何かして黒くなったんとちゃうか』


 多分それで正解だろうな。そしてこの世界樹の番人にされたか。

コイツらを無視して部屋から出るのは…無理っぽいな。

倒すしか無い、か…

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