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第561話 神様の世直し 6

 神様から貰った神器。

転移の指輪と守護宝獣の宝玉。

これを誰に持たせるか…


「…取り敢えず、転移の指輪はリヴァさんが持ってて下さい」


「え?Meか?」


「はい。リヴァさんが一番多くの人を転移可能でしょうから」


『ま、無難じゃろうな』


「そっか。わかった!」


 まぁ…ボクが居れば必要の無い神器なのだが。

それから宝玉はどうするかな。強力なのは解ったけど能力の全容が掴みきれないというのがイマイチ使い辛い。


「宝玉は…誰がいいかな。ボクは不要だから…魔力が多いか余り使わない人ってなると…」


「え?なんでジュンは要らないの?」


「ボクは自力で最上位精霊を複数体呼び出せるからね。ボクには余り意味が無いと思う」


「じゃあもう欲しい人でいいんじゃない?」


「ですねー。あまり長く相談してる時間も無いかもしれないんですよね?」


『いや…使用者の変更は出来んから慎重に選べと言うたじゃろ』


「だね。じゃ、欲しい人は挙手」


「「「はい!」」」


『無視か!』


 手を挙げたのは…三人。

アイ・ユウ・アイシスだ。うん、君達こういう見た目からしてお宝っぽいの好きだよね。

他の皆は何となく遠慮した感じだ。


「じゃ、三人で決まりね。はい」


「ありがと。…で、これ…どうやって使うの?」


『…まぁよい。あー…最初だけ口に咥えて念じるんじゃ。姿を見せろ、とな。二回目以降は懐にでも入れておけば起きろと念じるだけでいい。宝玉に戻す時は眠れと念じるだけじゃ』


「オッケー!それじゃ早速!」


 三人は言われた通りにやると直ぐに守護宝獣というのが出て来た。

宝玉が光を放ち、宙に浮きクルクルと回ったあと、それぞれの眼の前に停まって姿を見せた。

思ってたよりも小さい…それに獣というより、妖精の方がしっくりくる。

それに姿形は様々と言ってたのに…三人の守護宝獣は凄く似てる。

というより、ほぼほぼ同じだ。

三人の守護宝獣はどれも見た目は騎士の恰好をした妖精のような姿だ。鎧を着て、兜をかぶり片手剣と盾を持ってる。

大きさは三十㎝くらいか。

違うのは色くらいで、アイのが黒。アイシスのが金。ユウのが金と黒が混じってる。

まるで三人の髪の色に合わせたような形だ。


「へえ~…いいね!カッコ可愛い!」


「妖精騎士って感じでいいね。それで君はどんな力を持ってるの?」


「でも色違いなだけなんだ。もっと別のタイプに分かれると思ったけど」


『……本来は言ったように様々なタイプに分かれる。此処まで似通った姿に偏る事は稀じゃ。お主らはよく似ているのじゃろうな。性格や容姿では無く、根源の部分が』


「根源?」


『魂と言った方がわかりやすいかの?それよりも進むんじゃ。宝獣達の能力は戦闘時になれば解かるじゃろ』


「…そうですね」


 なんだろう?神様はこの話題にあまり触れて欲しくないのか?ちょっと強引に話題を変えた感じがした。


 …根源、魂が似てる、ねぇ…そう言えばヴリティカさんが三人は似てる、と言ってたっけ。


「ジュン様?どうかされましたか?」


「あ、ああ、いや。何でもない、進もう」


「はい」


 メイド型アンドロイドが来た方向へと進む。

三度目の襲撃が来る前に、下へ降りる階段を見つける事が出来た。

どうやら此処も地下に重要な施設があるらしい。

此処でも何か研究をしてるのか…そう思っていたのだが、どうも前回の研究施設とは様子が違う。


「…どこまで降りるの、この階段…」


「もう普通の家の五階か六階分は降りたよね」


「百二十段程降りましたので、そのくらいかと」


「姉さん…また数えてたんだ」


「えー意外!クリステアさんて結構几帳面なんだ?」


「失礼よ、エミリ」


「私が几帳面なのはそんなに意外でしょうか…」


「普段の行いのせいよ、間違いなく。それよりも着いたみたいよ」


 結局二十メートルか三十メートルくらい下りたのだろうか。

下りた先には大き目の扉。だが人が通るには少々大きいなという程度の物だ。


「ノエラ」


「はい…大丈夫です。トラップの類はありません」


「扉の向こうからは特におかしな音は聞こえないですぅ」


「おかしな匂いは今は無いけど…扉開けないとわかんない」


 扉を開けたらいきなりドカン!は無さそうか。

でも、一応念の為にゴーレムに開けさせて…


「って!うわおおおう!?」


「待ち伏せ!?」


 扉の向こうには広い空間があり、その奥にはメイド型アンドロイド達がまたニ十体ほど並び待ち構えていた。

扉を開けた途端にマシンガンやらガドリング砲やらミサイルやらの雨あられ。

少し距離が離れていた為にリリーとハティに感知されなかったらしい。

完全に不意を突かれた形になり、ゴーレムは完全に破壊されたがボク達を守る存在が居た御蔭で無傷だった。

早速、守護宝獣が役に立ってくれたのだ。


「お…おー」


「なるほど、この子達は守る力を持ってるのね」


「結界…のような物でしょうか?」


 三体の守護宝獣はボク達の前に出て一列に並び盾を構え何らかの力場を発生させているようだ。

まるで三体が協力してボク達を守る結界を張っているかのようだが。


「感心するのはあとにしましょう、ジュン殿。先ずは敵を倒すべきです」


「あ、はい。先ずは距離を詰めましょう。クリステア」


「はい。皆さん、私の後ろへ。進みま…」


「え?あ…」


 クリステアが『守護神の紋章』で皆を守護し始めると、三体の守護宝獣は守りを解き、前面に出て剣舞のように剣を振り始めた。

その動きは完璧にシンクロしている。全くズレのない、同じ動作だ。

やがて守護宝獣の剣が輝きだし、三体が剣先を重ねると剣先に光が集まりだした。

そして光の先から横薙ぎの光が伸びたかと思うとメイド型アンドロイト達を襲い上半身と下半身を銃器ごと切り払った。

その後弾薬等に引火し、爆発。

一瞬で重武装のメイド型アンドロイドニ十体を始末してしまった。


「「「「…………」」」」


『…ふっふっふっ…どうじゃ!守護宝獣は凄いじゃろう!正直此処まで強いとはわしも思っておらんかったがな!ちょっとビビったわい!』


 確かに凄い。並の騎士団ではまるで歯が立たないんじゃないだろうか。

今の攻撃、不意を突かれたら多分防ぎようが無い。


「確かに強いけど…結構ガンガン魔力を吸うんだ…常時出しっぱなしはウチには辛いかも」


「私も。私は自分で戦う時は魔力が必須だし、あまり頼りには出来ないわね」


「僕も結構吸われちゃった。まぁ僕は魔力が無くても何とかなるけど…」


『ふむ…強力な個体なようじゃからな。その分燃費は悪いのかもしれん』


 それくらいは当然の制限かもしれないな、あれだけ強力だと。

でも、この三体はかなり強力…いや、特殊なんじゃないだろうか。

神様の話から察するに守護宝獣は単体で完成してる能力を持った存在の筈。

だがこの三体は何も指示しなくても自立して行動し、三体で協力して戦った。

それがさも当然であるかのように。


「あのメイド達ならこの子達に頼らなくても倒せるから、もっと強敵が現れるまで宝玉に戻っててもらった方がいいわね」


「そだね。でもさ、その前にこの子達に名前を付けない?」


「あ、ウチもそれ言おうと思ってた!」


「だよね!じゃあ、ジュン!魂の名前を視る魔法、御願い!」


「……いいけどね」


 はたして守護宝獣に魂と呼べるモノは存在するのだろうか?

宝玉の時には無さそうに見えるが実体がある時は魂がありそうに見えなくもないけど…


「…だめだ、読めない。魂らしきものはありそうなんだけど」


「そっか。じゃあ僕が名付け親になってあげる!」


「アイシスは止めた方が良い。絶対」


「うむ。アイシスは止めておけ」


「何で!?セリアもお祖父ちゃんも酷い!」


 いやぁ……二人は実体験から来る意見を述べたのでは無いでしょうか。そしてボクも同意です。


「じゃあ…私がつけるね。アイシスの子はシグルーン。アイの子はスクルド。私の子はブリュンヒルデ。どう?」


「あ。あ~……なるほどね。確かにピッタリかも」


「何がピッタリなのか解らないけど、かっこいいね!」


 シグルーン、スクルド、ブリュンヒルデ?

確か、北欧神話に出て来るヴァルキュリアの名前だったか?

なるほどね。羽のある女性騎士のような姿は確かにヴァルキュリアを連想させる。


「じゃ、名前も決まったし宝玉に戻ってもらって。進もっか」


「うん。三人は魔力回復薬、念の為に飲んでおいて」


「う…は~い」


「美味しくないから気が進まないけど…仕方ないね」


 奥には確実にバカ神が居るんだし、このままメイド型アンドロイドだけを倒して行くだけで済むとは思えない。用心は必要だ。

何せ、相手は神様だ。用心深く行こう。

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