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第554話 母、怒る 3

 想像以上に高いママ上の戦闘能力。

伊達に二百年以上生きてない。そう言えばパパ上も半裸状態でアイシスと互角に戦ってた。

パパ上も完全フル武装なら同じくらい強いんだろうか。


「ところでシャンゼ様?今さっき、ママ上にボクが何処にいるか教えてませんでした?」


「う…だってぇ…今回ばかりはエリザ様に勝って欲しいんだもの」


「そこは婚約者のボクを応援してくださいよ」


「だってだって!私もうすぐ三十なのよ?」


「……はい?それが何です?」


「三十になっても処女のサキュバスなんて有り得ないから!本当ならもうとっくに捨ててる筈だったのにぃ!エリザ様の息子でハズラッド様の孫のジュン君なら誘惑しなくても襲って来ると思ってたのにぃ!こんなに奥手だとは思わなかったわ!偶にエリザ様の息子でハズラッド様の孫だなぁって思う時もあるけど!」


『あー…否定する言葉も無いが…レベッカも居るんだから、あまり人聞きの悪い事は言うなー』


 シャンゼ様は三十と言っても初めて会った時から何も変わってない。魔族は二十歳前後から成長が止まり、非常にゆっくりと歳を取る。

だからシャンゼ様も見た目は少女と言えるんだが…


「まあ人族だと三十過ぎても処女なんて殆どいないしねー…ジュンちゃんも罪作りね」


「余は婚約者が出来たらすぐだったがなあ。なあ、アニエス、エヴァリーヌ…アタタタタ!」


「余計な事は言わなくていいんですよ、陛下」


「子供も居るんですよ」


 仲良いなぁ、ヴェルリア王家は。

聞かされる子供達は恥ずかしいだろうけど。

特にデキちゃった結婚のマークスさん。


「だ・か・ら!大人しく私を抱きなさい!大丈夫!サキュバスの私ならジュン君を必ず満足させてあげる!」


「ほら!シャンゼがここまで言ってるのよ?早く抱いてあげなさい!」


「……結婚式が終わってからでお願いしまーす」


 シャンゼ様には悪いが…この場で折れる訳には行かない。

此処で折れたらどうなるかは火を見るより明らか。


「んっもう!このヘタレ息子!こうなったら力尽くで!」


「最初から力尽くじゃないですか!…ん?」


 今度は両手に鞭を?鞭の二刀流?


「いっくわよー!大怪我する前に降参しなさいね!必殺!龍の顎(ドラゴンバイト)!」


 ママ上が持つ鞭の鞭気(ウィップオーラ)で出来た龍の首が現れ、襲いかかって来る!両手の鞭から現れた龍の首は口を開き牙を剥く。

両方躱し、龍は砂浜にぶつかるが消える事は無いようだ。

砂浜はえぐれ、人一人入れるくらいの穴が出来た。

中々の威力…そして速い。


「どーう?これ、当たったら痛いだけじゃ済まないわよ!大怪我する前に降参なさい!」


「今更その程度でビビッて降参したりしませんよ!」


「もう!変に頑固なんだから!そんな所はアスラッドにそっくり!……ところで、ジュン?何とも無いの?お母さんにムラムラしてない?」


「いきなりなんちゅう事聞くんですか、あーた。母親にムラムラしたりしませんよ」


「あっれぇー?どーしてぇ?何でぇ?ノエラ、知ってるー?」


「申し訳ありません、エリザ様。ジュン様に固く口止めされてますので」


「教えないと、ジュン付のメイドから外しちゃうわよ?」


「ジュン様の新装備の能力で、毒や精神魔法やサキュバスの力などは全て無効化されます。『淫魔の紋章』の力も同様です」


 ノエラ……責めるつもりは無いけど…無いけどさ!

…まぁ【ヘパイストス】名前を出さなかっただけ良しとするか。


「新装備?そう言えば防具が新しくなってるわね?ふーん…」


「何です?というか息子に『淫魔の紋章』を使うとか。堕落したらどうするんです」


「一時的だから大丈夫よぉ。私の言う事は何でも聞くようにしちゃえば話は簡単でしょ?怪我させる事も無いし」


「多少の怪我なら即、治せますから御心配無く」


「…そう?なら全力で行くわよ!」


『また龍で攻撃…いや、さっきとは様子が違うぞぉ?』


 また龍を出して攻撃…いや?

鞭気が枝分かれして…それぞれ三つ首の龍に。

合計六つの龍の首が襲いかかって来る。

しかも今度は首が伸びて鞭の先端が向かってる方向とは無関係に動いてる。

『韋駄天の紋章』だけで避け続けるのは厳しい。

だが『魔神王の紋章』を使うだけで問題無く躱せるが…折角だ。

新しい紋章の力を試すとしようか。


「え!?速い!さっき迄よりずっと!」


「速くなっただけじゃありませんよ!」


「わ、私の龍を斬った!?」


 ボクが手に入れた新しい紋章は『英雄の紋章』だ。

相手が強敵であればある程、全能力が増す。

アイの『闘神の紋章』と同じで紋章の能力も増す。

だから『魔神王の紋章』も強化可能なのだが…『魔神王な紋章』も使用すれば手加減してもお母さんを殺してしまうかもしれない。

先ずは『英雄の紋章』で『天地剣の紋章』と身体能力を強化。

これで圧倒させてもらう!


「ぬぬぬ!もう!強いのは解ってたけど、まさかここまでなんて!実際に戦ってようやく実感出来るわ!しかも手加減してコレなんでしょ?」


「…全力を出したらお母さんを殺す事になりますからね」


「更に転移魔法も封じてるのに…それでも!負けるのは嫌!」


 負けるのが嫌なのはボクも同じ。

さて…どうやって勝つか。能力は完全に上になったし、距離を詰めて服だけを斬るか。それで負けを認めてくれればいいけど。


「もらったぁ!って、ええ!?」


「危ないじゃないっもう!」


「アレって…」


「ええ。聖女エルミネアの遺産の盾と同じ能力…」


 ママ上の周りに浮かぶ光の盾…何故ママ上がコレを出せる?


「どういう事です?何故ママ上がそれを?」


「えっとねぇ…親衛隊が使ってるのを見て、便利そうだなぁと思って。一個もらっちゃった!ゴメンね!でも役に立ってるから見逃して!」


「ボクを相手に役立ててどうすんです!ていうか!カイエン!クリステア!隊の装備品管理はどーなってんの!?」


「申し訳ありません、ジュン様…私も初耳です」


「私も隊長と同じです。親衛隊の装備品管理を任されてるのは…リディア?どういう事です」


「も、申し訳ありません!で、でも、だってぇ…エリザ様の命令だったんですもの…断われないじゃないありませんか…」


「私がリディアに黙っておくように言ったの。だからリディアは怒らないであげて。悪いのは私。でも許して?そして母に勝ちを譲りなさあーい!」


『とんでもなく我儘です、御義母様!御義父様、そんな妻に一言どうぞ!』


『あー…すまん、ジュン。わしも一個貰った』


『似た者夫婦ですねぇ!悪い部分が!』


 素直に欲しいって言えばいいのに。何故黙って持ち出すのか。


「さぁ!決着を付けるわよ!でもその前に…ちょっとルールを変更しない?」


「…というと?」


「今までの攻防で大怪我をさせずに勝つのはお互いに難しいのは解ったでしょう?だから一撃を先に当てた方の勝ちってルールも追加しない?」


「一撃、ですか」


「そ。爪先が掠った程度でも一撃と見なすわ。それなら怪我させないですみそうじゃない?」


「……いいでしょう」


 そうなると…手数で勝負か。

接近戦ならボクの勝ちは間違い無いが…中距離戦だとボクが不利。

そして今もボクとママ上の間には約十メートルの距離。

未だママ上の距離だ。


「じゃあ…行くわよ!」


『おっとぉ?これはー?鞭から無数の気の鞭が伸びてジュンを襲う!更に魔法も連射だぁ!』


 ママ上は更に手数を増やして来たか。

だけども!気の鞭はさっきまでの龍よりも断然細い。これならオーラフラッシュで簡単に斬れる。

そして魔法なら負けない!


『実に激しい戦いです!ここからどうなると予想しますか、御義父様!』


『一見、互角に見えるがジュンが押してるな。それにエリザは既に全力だがジュンにはまだ余力がある。このまま行けばジュンが勝つだろう』


「そんなぁ…エリザ様!ファイトー!」


「し、師匠!偶には油断していいんですよー!」


「ジュン様―!ほら、これを見るっスよ!カミーユ様の日焼け跡っス!」


「ちょっ!ちょっと、オルカ!やめなさい!やめ、やめてぇ!」


 外野が騒がしいし、なんか気になる言葉が聞こえた気もするが!

鞭の数は減って来たし、ママ上の魔力も残り僅か!このまま押し切る!


「ううう!もーう!本当は此処に居る女の子全員にあんな事やこんな事!そ~んな事までしたいくせに!素直になりなさ~い!」


「人聞きの悪い事を!全員にしたいわけがないでしょう!子供や他人様の奥さんだって居るんですよ!」


「子持ちの人妻が女の子のわけないでしょ!子供が居たらどんなに若くても子供からおばちゃんって呼ばれるのよ!」


「「「「…………」」」」


「今、この場に居る女性の何人かを敵に回しましたね、ママ上……それに女の子はいくつになっても女の子だって事を知らないんですか!子供がいようと孫がいようと女の子は女の子です!だからお祖母ちゃんも、アリーゼお姉ちゃんも女の子です!」


「いやぁ…ジュン、それは無理があるだろう……ぐへぁ!!」


『祖父ちゃんもフェミニストだが流石にミリアを女の子扱いは…ぐほっ!』


「ジュン!お前の言う通りだ!私はお前の味方だぞ!」


「お祖母ちゃんもジュンの味方よー!遠慮なくやっちゃいなさい!」


 お祖父ちゃんとガウル様の気配が消えた気がする…生きてるといいけど。


「それはともかく!そろそろ決着を着けますよ!」


「むむむ!母は負けないわ!」


 魔法は全て迎撃した!気の鞭も全て斬り飛ばした!

そして、距離も詰めた!此処まで来れば!


「これで!決まりです!」


「うっ!!」


『御義母様の喉元にジュンが剣を突き付けたー!決着だー!」


 勝った…これで残りのバカンスも穏やかに過ごせる筈…


「ボクの勝ちで、あたっ」


「あ!やったー!私の勝ちねー?」


「へ?これは?」


「ジュンが距離を詰める直前にね。上に向って石を投げておいたの。それも私の攻撃だから。私の敗北が決まる前にジュンに当たったから私の勝ちよね~?」


「……は!?いや、先にボクが勝ちを決めてたじゃないですか!」


「でも私は負けを認めて無かったも~ん。敗北が決定する前だったも~ん。だから私の勝ち~そうよね?アイ、アスラッド?御義父様は…生きてる?」


『ええと…すっごい姑息だと思うけど…御義母様の勝ち…だと、思う…思います』


『そう…だな。かなりセコいが…エリザの勝ち…に、なるな。うん』


「ソンナバカナ!」


 99%ボクの勝ちだったじゃん!それが、こんな…小指の爪くらいの石に当たっただけで負け!?

そりゃ確かに爪先が掠った程度でも一撃と見なすという話ではあったけども!


「ていうか、もしかして…ルールの追加を持ち掛けた時から、この勝ち方をするつもりだったんじゃ…」


「ん~?うふふ、どうかしらね~?そんな事より…ジュン~?解かってるわね~?」


「………」


 こんな負け方で…すっごい納得が行かない。

どうにかしてこの場を切り抜けなくて…は?


「さ、ジュン君。観念しなさい」


「大丈夫です、ジュン様。既に準備は整っています」


「栄養ドリンクもありますよー」


「え?あ、ちょっと?ちょっ、待っ、待って!ほら、まだ午前中だし!」


「いいんです!何せ婚約者全員ですから!一日使っても足りないかもしれませんよ、師匠!」


「その…スケスケドレスを借りて来ますから!だから大丈夫ですよね、ジュン殿!」


 ダメだ、逃げ道が無い!どーする!?味方は…味方は居ないのか!?


「どうやって順番を決めるか…この人数だ。一度に全員纏めては無理だろう」


「私が一番よ!決定!」


「その…私は一応経験者だから。この中で唯一の。だからジュンさんの手ほどきが出来ると思うの」


「しょ、初心者は初心者同士がいいと思います!パメラ様!」


「ん。アイシスに同意」


 ダメだ、味方も居ないし、順番の相談とかしてるし!


「さ、ジュン様」


「マジックハウスの用意は出来ました。今日一日、私達以外誰も入る事は許されません」


「安心してくださいね」


 ダメだ、問答無用だ。切り抜けようが…無い!諦めるしかないと言うのか! 


「大丈夫だよ、安心してお兄ちゃん。私特製の秘薬があれば一日中でも一週間ぶっ続けでも!何なら一年中でも!子作り出来る身体になれるから!」


「何一つ大丈夫じゃないし、安心出来ないから!」


 ダメだ、妹が一番怖い!誰か…誰か何とかしてー!

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