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第550話 再び始まる女の戦い 5

「オルカ!お願い!」


「こんにゃろー!」


「甘い!甘いぜ!」


今行われている試合はJブロック決勝戦。

ルー達のチームとメーテルさん達の試合だ。

予想以上に頑張ってはいるが、ルー達の勝利は揺るがないだろう。

胸は揺れまくってるが。


「それにしても参加者多いわね」


「うちのメイド達だけじゃなく、各国の王族が連れて来た護衛や侍女も参加してるしね。今、この島にいる女性の殆どが参加してるから」


 そして各ブロックの優勝チーム、若しくは優勝候補チームは全てボクの婚約者か、ママ上一押しの女性ばかり。例外はガウリカさんとマルちゃん達ヤーマン組くらいか。

公平なブロック分けを謳ってるが、絶対に作為的だ。


「おっしゃー!勝ったー!」


「勝ちました!ジュン様!」


「うん、おめでとう。ラーラさんも」


「ありがとうございます、ジュン様」


「うう…負けちゃったッス…」


「去年までなら負けても何とも思わなかっただろうけど…」


「今は悔しいですね…」


 メーテルさん達は相手が悪かったとしか言いようがないな。

ルー達は八歳の時に城に来てから今日まで鍛えて来てる。

本格的に鍛え始めたのが去年からのメーテルさん達では、相手にならないのが道理。それにルー達も新しい力を得たのだ。

それらを考えると、善戦した方だと思う。


 ルーが得た新しい力は『魔鏡の紋章』。

現代地球に有った魔鏡とは全く関係無く『鏡の紋章』とも全く違う能力の紋章だ。


 その能力は魔法、或いは魔力を使った攻撃を反射、若しくは抵抗するという物。『魔封じの紋章』と違い、任意で抵抗・反射する物を選べる。

ただし、どんな魔法でも、どんな魔力攻撃でも反射したり抵抗したり出来るわけではなく所持者の力量で出来る出来ないが決まる。

獲得したばかりのルーではせいぜい中位魔法を反射するので精一杯だそうだ。ただミースの転移魔法には抵抗してみせると息巻いていた。

卒業記念大会で負けた事は根に持ってるらしい。


 クーが得た新しい力は『予知の紋章』。

アイが持つ『先見の紋章』やセリアさんの『預言者の紋章』と似たような能力と思ったが、こちらは自らに訪れる危険を瞬間的に察知、警告をしてくれる紋章。未来に起きる出来事を映像を見せてくれる訳ではない。


 だが戦闘においてはこの上なく便利で有難い紋章だろう。

例えば左に避けようとして、それが間違った選択だとしたら教えてくれるのだ。恐らくは卒業記念大会で最後の瞬間に油断して負けた事が悔しくて仕方無かったのだろう。


 あれ…どっちの紋章もビーチバレーでは活かされそうにないな。


「次はわたし達の出番なのー」


「頑張ろうね、レヴィ」


「はい!燃えて来ました!」


 続くKブロックの優勝候補チーム。

ティナ・ニィナ・レヴィのチームだ。

というか、もう優勝で間違い無いだろう。

対抗馬になりそうなチームはいないし。


 ティナとニィナが得た新しい力は同じ。『鳥の紋章』だ。

この紋章…見せてもらったのだが、ティナは右肩。ニィナは左肩にある。

紋章には鳥が描かれているのだが、ティナの紋章の鳥には左側の翼が無くニィナの鳥には右側の翼が無い。

そして能力から察するにこの紋章は比翼連理の鳥を指した紋章なのだと思う。


 その能力は対となる紋章の持ち主が近くに居れば言葉が無くても何をするのか解る。紋章が無くてもティナとニィナの息はピッタリだったが、その精度が更に上がった。それと二人が手を合わせれば紋章の力で飛行可能。

飛行魔法で飛ぶよりもずっと速く、高速で。


 更に二人が元々持っていた『双星の紋章』は二人の息が合う程に能力が増す紋章。『鳥の紋章』を得た事で『双星の紋章』は大幅に能力を増し、ペアで戦えばアイを相手に互角に戦えるようになった。


 そしてレヴィさんが得た新しい力は『再生の紋章』。

治癒魔法無しでどんな大怪我も治る…いや、元通りになると言った方がいいか。熟練度が上がれば再生に時間が掛からず、一瞬で元通りになる。


 普通の人なら『再生の紋章』があろうと、首を刎ねるとか心臓を潰すとかして即死させれば再生は不可能。だがフェニックスと融合したレヴィさんは元々が不死に近い存在。この紋章を得た事でレヴィさんはもう殺される事は無いと言っていいかもしれない。

彼女が寿命を迎えた時、どうなるかはまだ解らないが。


 予想通りKブロックの優勝はティナ達で決まり。

並行して行われていたLブロックは今から決勝戦。

対戦カードは今大会切っての名勝負が期待される。


「決着を着ける時が来たわね、姉さん達」


「ナターシャ…姉を超える事など簡単には出来ない事を教えてあげます」


「貴女が私に勝ってるのは胸の大きさだけ!それを証明してあげる!」


 クリステア・ルチーナVSナターシャのルガー家美人姉妹、夢の対決だ。

ナターシャのチームにはフィービーとミース。

クリステアとルチーナのチームにはホリィさんが。


「クリステア、ルチーナ…ホリィさんはズルいんじゃない?」


「そうでしょうか?」


「人型ならそれほど強くないと、ホリィさんは言ってますし。実際、一回戦はそんな凄い動きではなかったですよ」


「人型で戦闘とか普段しないしね。こんな遊び初めてやるし。加減が色々難しいのよね」


 そうかなぁ…ホリィさんは多分リヴァさんに次ぐ強者。

ハティが人型でも高い運動能力を持つように、彼女も相当に強そうに思うんだが。


「ところで…ナターシャ達は優勝したら誰と一晩過ごすつもりなの?親衛隊の誰か?」


「私は面白そうだと思って参加しただけです。優勝賞品に興味はありません。フィービーはそうでも無いみたいですけど」


「よ、余計な事は言うな!わ、私だって興味は無い!」


「嘘ですね。私の眼は誤魔化せません。彼女は優勝賞品に興味ありありです」


「止めてくださいマリーダ様!」


「姉上…私からもお願いしますから、やめてあげてください…」


 ボクからもお願い。やめたげて…マリーダさんの魔眼は公開処刑に繋がり過ぎる。聞いたボクも悪いんだけどさ。


「わ、私は興味ありますけど…誰かは言いたくないです」


「あら?そうなの?意外と大胆ね、ミース」


「お、女の子だって興味あるのが普通なの!興味が無いって言うナターシャの方が少数派なんだから!」


「そ、その通りだ!興味が無いのに参加してるナターシャがおかしい!」


「えー…」


 ミースの言葉に我が意を得たりとばかりに乗っかるフィービー。

興味アリアリなのはもう隠さなくていいんですかね…


「そろそろ始めましょう。覚悟は出来ていますか、ナターシャ」


「姉さん達こそ。いつでも始めていいよ」


「じゃあ行くわよ!」


 漸く始まった姉妹対決。

見所は間違い無く、クリステアとナターシャ。そしてホリィさんだろう。


「ジュン…ルチーナ泣いちゃうよ?」


「フィービーも多分泣くんじゃないかな…」


「だから心の中を読まないで。せめて読んでる事を隠して」


 だって…仕方無いだろう。

クリステアのダイナミックな揺れは見ちゃうよ。

ナターシャもクリステアには劣るものの、素晴らしいモノ持ってるし。

ホリィさんもナターシャに負けず劣らず。


 ルチーナもスタイルは悪く無い。

むしろ良いのだけど…あの三人と並ぶとね…フィービーとミースは…ノーコメントで。


 勝敗は僅差でクリステア達の勝利。

一進一退の攻防が続いていたが、ホリィさんがコツを掴んだ…いや、本気を出したのが勝因か。


「うわああん……よし、スッキリした」


「「「「……」」」」


 卒業記念大会でティナ達に負けた時のように大泣きしたナターシャが数秒で元通りになり、見学者を沈黙させた所でLブロックの試合は締め括られたのだった。

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