第547話 再び始まる女の戦い 2
11/20 ハティの新能力の説明を追記しました。
初日から始まったビーチバレー大会。今は女性部門の試合中だ。
ボク達の試合は前座扱いだったのには多少の不満があったが…今では納得してる。
この光景を前にしたらボク達の試合なんて前座で妥当。
ああ、素晴らしきかなビーチバレー。
「…ジュン様」
「今は何も言わないでくださいね、マリーダさん。パメラさんも」
「「………」」
そんな不満そうな顔してもダメ。
この光景を前に目を奪われないのは男じゃないと断言出来る。
「カトリーヌ!任せた!」
「はーい」
今、試合をしてるのはマルちゃん達ヤーマン組とシャンゼ様の護衛騎士三人の試合だ。
ビキニを着てる女性はポロリを警戒してシャツを上に着てしまったが…それでもいい。
実に素晴らしい。
「いい動きですね。特にカトリーヌさんが」
「でしょう?相手チームの女性達も中々ですが。カトリーヌの動きは昔からダイナミックでしたから」
「ほほう。それに気付いたのはいつ頃で?」
「あいつが十三歳の頃ですかね。マルレーネと比べて明らかに動きが違うんですよ。マルレーネはどれだけ薄着で走っても全く――」
「聞こえてるからね!そこのセクハラ二人組!動きって胸の揺れ方の事でしょう!」
「私だけじゃなくて、ターニャちゃんだって揺れてるわよ~」
「あ、あたしだって揺れるわよ!ほ、ほら!」
「……マルレーネ、私には解らない」
「う、ううう……ちっくしょー!」
あ、マルちゃんが泣いちゃった。
試合は怒りのマルちゃんの活躍によってヤーマン組の勝利。
Dブロックの優勝チームとなった。
女性部門は各ブロックに分かれてのトーナメント制。参加チームが多いので2ブロック同時進行で試合は進んでいる。
A・B・Cブロックは既に試合終了。ユウとアイ、そしてガウリカさんのチームが優勝していた。
ブロック分けはママ上とアンナさんが各チームの力量を見て出来るだけ実力が近そうなチームで固めてあるとの事だったがユウ達のチームは明らかに突出した実力だった。
ユウとアイにガウリカさんとチームを組むように言ってたし。
明らかに仕組まれた勝利だったように思う。
ガウリカさんの恋を応援するという目的から、そうしたのだろうけど。
Bブロックの優勝チームはアイシス、セリア、ハティのチーム。
対抗馬に元ヴェルリアの暗殺者兼メイドの三人組チームが居たが経験の差で辛くも勝利。
アイシスとハティの能力はメイド三人組より圧倒的に上だが、セリアさんが足を引っ張る形になってしまっていた。
『支援者の紋章』で強化していても、セリアさんは運動面はやはり苦手のままらしい。
ハティも新しい力を得ていたがビーチバレーでは使ってない。というより、使えない。
ハティが得た力は『狼神の紋章』。『狼王の紋章』が変化したのだ。
狼や犬を強制支配出来るだけでなく、一度支配した狼や犬は召喚出来る。
支配した狼達はハティの眷属になるわけだ。
後、ハティ自身の強化と眷属の強化率も上がった。
もしもハティが凶悪な存在だったら…小さな国一つ、簡単に滅ぼせるだろう。
ハティが良い子で本当に良かった。
Cブロックの優勝チームはカタリナ、パメラ、レティシアのヴェルリア王家姉妹チームだ。
このブロックにもアンナさんの娘達に対する手心が感じられたが…このブロックのチームの実力は伯仲してたと思う。
シャンゼ様が連れて来たマーヤさん達魔王女組やエルムバーンのメイドのチームなどがいた。
カタリナさん達がマーヤさんのチームに勝ってくれたのは正直助かった。
「ジュン様ぁぁぁ!どうか!どうかチャンスを!もう一度だけチャンスを!」
と、マーヤさんは泣ぎながら縋りついて来たが勝負は非情。
心を鬼して却下した。正直、マーヤさんの試合はまだ見ていたかったが…素晴らしい美ボディに素晴らしい動きだったので。
カタリナさん達が四階から飛び降りても平気な身体能力を持つマーヤさんに勝てたのは、カタリナさんが手に入れた紋章の御蔭だ。
カタリナさんが手に入れたのは『重力の紋章』。
カタリナさん達はユウから重力の概念を説明されてもイマイチ解って無かったが、簡単に言えば物体に掛かる重力を一定時間、重くしたり軽くしたり出来る能力だ。
効果範囲内にある物を指定する事で効果を発動する。結構強力な紋章だ。熟練度を上げれば効果範囲も広くなり、加減の幅も広がる。ただ、重くする能力と軽くする能力を同時には使用出来ない。
同じ範囲内にあるAは軽くしてBは重くする等は出来ないのだ。
ビーチバレーの間は自分とチームメンバーのパメラさんとレティシアを軽くする事で動きを良くして、勝利出来たのだ。
パメラさんが手に入れた紋章は『治癒者の紋章』。
カトリーヌさんが持つ紋章と同じだ。ベルほど高い治癒魔法適正は持っていないパメラさんだったが、それでも暇を見つけては懸命に訓練していたし、『治癒者の紋章』を手に入れたからには上位治癒魔法の習得は時間の問題だろう。
そして続くEブロックの試合。
メリッサ・マリーダ・カミーユの魔王女チームとクオン・セラフィーナ・ヴリティカの褐色肌チームだ。
セフィさんはただの日焼けだが。
「師匠ー!見ててくださいねー!」
「ジュン様、私も頑張ります!」
「わ、私の事はあまり見ないでください…」
「それは無理でしょうね」
「今のカミーユ様は注目の的です」
「いっそ、シャツ脱いじゃった方がいいんじゃないスか? エリザ様も脱いだ方がいいって言ってたし」
「い、嫌よ!飛んだり跳ねたりするのに、あんな小さな水着じゃ…外れちゃったらどうするのよ!」
「それを期待してるんじゃないスか。何言ってんスか」
「貴女こそ何言ってるの!?」
オルカさんに完全同意です。
この場にいる男性の殆どはオルカさんを支持するだろう。
そして対戦相手にはクオンさんが居る。
この試合、見所の多い試合になる。そんな予感がしてならない!
熱い試合になるぜ!
「ジュン殿…そんなに見つめるな。照れるじゃないか」
「セラフィーナ様ー!残念ながらセラフィーナ様はジュン様の…いえ、この場に居る男性の眼中に無いと思いますー!」
「皆、隣に居るクオンさんを見てると思いますー!」
「注目して欲しいなら、クオンさんとチームを組んじゃダメですよー」
「五月蠅いな!この裏切り者共!」
セフィさんとクオンさんが並ぶと…余計にクオンさんのボディラインの美しさが際立ってしまう。
美女だらけとなってるこの島で、五本の指に入る美貌とスタイルの持ち主。
それがクオンさんなのだ。
「というか、本当に意外な組み合わせですよね。どうして組む事に?」
「まぁ…確かにな。パルヴィ達はさっさと自分達でチームを組んでしまったので、私はあぶれてしまったのだ」
「私とヴリティカ様も、一人でチームメンバーを探してる所を、セラフィーナ様に御声掛け頂いて…」
「そういう事です。私は新参者ですから、チームメンバーを集められそうになくて困ってたので。正直助かりました」
そしたら偶然褐色肌チームが出来上がった、と。
意外と悪くない組み合わせに見えなくもないが…ちょっと相手が悪い。
この中では運動能力が一番低いのはマリーダさんだろうが、突出して高いのはメリッサ。
次点でヴリティカさんで、僅差でカミーユさんが三番手か。
ちょっと前まではメリッサとヴリティカさんとの差はそこまで大きく無かったが、メリッサも新しい力を手に入れている。
メリッサが手に入れた力は『戦乙女の紋章』。
『魔神の紋章』程ではないが、身体能力を上げてくれる紋章。
尚且つ、その場に居るだけで味方の戦意を向上。
剣・双剣・槍の腕前も向上。更に眼に宿ったので将来はボクと同じように魔眼に近い能力を獲得するかもしれない。
『双剣豪の紋章』が変化して上位紋章になったらアイシスに並ぶ強さになるかも。
「ハハハハハハ!どーですか、師匠!」
「その調子よ、メリッサ!」
「こういう時の貴女は素直に頼りになるわ」
試合は正にメリッサの独壇場。
高い運動能力に加えて転移魔法もあるしで、隙が無い。
クオンさん達もマリーダさんが相手の弱点だと即座に見抜き、マリーダさんを狙う事で得点を稼ぎはしたがメリッサの活躍により点差は開く一方。
そのままメリッサ達の勝利となった。
圧倒的な試合ではあったが、実に見所の多い素晴らしい試合だった。
惜しみない称賛と拍手を送ろう。
特にクオンさんとカミーユさん。
「師匠…そこは一番活躍した私じゃないんですか…」
「着眼点は其処じゃないのよ、メリッサ…」
「気を落とす事ないっスよ、カミーユ様は」
「クオンさんには負けますけど、カミーユ様も結構な人気でしたよ」
「ジュン様も熱い視線を送ってましたよ」
「待って。勝ったのは私達よね?何故惜しくも敗れた風に慰められてるの?」
そんなこんなで。
Eブロックを制したのはメリッサ達のチーム。
残りのブロックの試合も見どころ満載になりそうで、実に楽しみだ。
差し当たってはイーノ・ベルナデッタ・ルシールのチームか。
男性部門に出場してたルシールさんが女性部門にも出てるのは良いのかと問いたいが…きっと「いいのよ」の一言で済まされてしまうんだろうな…




