第544話 水着回ですよ 4回目
「海はいい…太陽がいっぱいだ…」
「うむ…まさに太陽のような輝きだ…」
「いいですねぇ…」
「本当に素晴らしい光景です…」
マークスさんの結婚式の後。
毎年恒例のシャクティの故郷で夏のバカンス。
今年は去年以上…いや、過去最高の美しさで浜辺が輝いている。
地上に降りた美神でいっぱいだ。
「何言ってるのか解らないが、何を言いたいのかは解る。解るが…もう少し控え目にみたらどうだ?」
「そんな事言って…フランコ君だってガッツリ見てるじゃないか」
「フランコ殿も素直になろうじゃないか」
「そうですよ、フランコ殿。大半がジュン殿の婚約者ですが、そうじゃない女の子も居ますから」
「…まぁ、ジュン殿はいつもの事だしダーバ陛下やダンテ殿が混ざってるのもまぁいい。だが…ルシール殿だったか?何故、貴女もこちら側なのだ?」
「ふ…美しいものが嫌いな人がいて?」
「…よくわからんが、何だ、そのいい顔…」
ルシールさんがこちら側なのもいつもの事です。
今年は去年と違ってミトラスやモラン、エーゼオンにサンドーラの王家。クアドラの魔王家。アカード帝国やバルーク帝国の皇家。アレキサンドリス王国の王家も参加。そして親衛隊から数十名。
それから他にも…
「やぁ、ジュン殿。いい所だな、ここは。あの島と違って泳げるし」
「私達まで連れて来て頂いて…感謝申し上げます」
「御礼は私達の身体で」
「四人纏めて如何です?」
「おかしな事言うと強制送還という約束はまだ活きてますからね。注意してください」
「言ってる事は厳しいが顔はゆるゆるだな、ジュン殿…」
セフィことセラフィーナ殿下達グリムモア組だ。
無人島で破ったドレスを着てのサバイバルの結果おかしな形で日焼けしてる為、どの水着を着ても白い部分と日焼けの部分の分かれ目が出てしまう。出てしまうのだが…それがまたいい味出してる。
因みに侍女三人組はビキニ。セフィさんはハイレグだ。お尻丸出しの。
お胸は正直アレなセフィさんだがヒップラインは中々…いいですね!
「あ、あの…私達まで誘って頂いて…有難う御座います、ジュン様」
「いえいえ。カミーユさん達も楽しんでくれてますか?」
「は、はい」
「ヴォルフス魔王国には安全に泳げる場所がないので私達は泳げませんが…」
「それでも楽しいです…この水着は恥ずかしいですけど…」
「何か乗り物とか遊び道具もいっぱいあるんスよね?昨日からずっと楽しみにしてたっス!」
カミーユさん達ヴォルフス魔王国組も参加してる。
カミーユさんの姉、ヒルダさんも来ている。
小国同盟の参加国であるヴォルフス魔王国はマークスさんの結婚式には招待されなかったが…バカンスにはボクが招待した。
ヴェルリア王家がいる中では互いに気まずいかもしれないが、カミーユさん達がエルムバーンに滞在してるのはユーグ陛下達も知ってる。結構アッサリと受け入れていた。
因みにラナさんの水着はアイの手によって強制的に虎柄のビキニにされていた。
メーテルさんとオルカさんはセフィさんと同じハイレグ。
で、カミーユさんなんだが…カミーユさんはマズい。実にけしからん。
というのも…
「う、ううむ…何故だ。カミーユ殿は確か十三歳…だというのに、何故…」
「ダンテ殿もですか…私も何だか…」
「私も同じです…カミーユ殿の色気が可視化されて見えるようです…」
ボクも同じだ。カミーユさんの水着はマイクロビキニ。
それだけならシャンゼ様にイーノさんも同じなんだが…カミーユさんはそれ以上にヤバい。
何故なら彼女が得た新しい力は『淫魔の紋章』。その効果は異性に性を想起させずにはいられない魅力と色気の獲得。
サキュバスの能力が向上。身体能力の向上もある。
そして何より紋章の力によりカミーユさんの魅力と色気に屈した者はカミーユさんの下僕に変える事が出来る。
正にサキュバスの為だけの紋章。何とも恐ろしい紋章なのだ。
「というわけで。カミーユさんは陸にいる間は上着を着ててください。あと、早く紋章の力をコントロールを身に付けてください。今、この島の男性全てを堕落させる前に」
「う…はい…」
「そうですよ、カミーユ様」
「ジュン様以外の男性を虜にしても仕方無いですしね」
「まぁジュン様を下僕に変えたらアイ様かユウ様に抹殺されるっス。もしくはノエラさん辺りに。紋章の力を使うのは最終手段っスねー」
何て恐ろしい最終手段。この紋章に抗う事が出来るのは【ヘパイストス】を着てる時だけ。
だが、十三歳の女の子の魅力と色気に屈して堕落するなど…あってはならない。
今まで数々の誘惑を退けて来た鋼の精神力で耐えてみせる!………でも早く紋章の力をコントロール身に付けてして欲しい。
因みにメーテルさんは世界樹の実で『盾の紋章』と『槍使いの紋章』を獲得。
ラナさんは『魔法使いの紋章』と『雷の紋章』。オルカさんは『強脚の紋章』を獲得していた。
カミーユさん達のパーティー「ヘキサグラム」は大幅にパワーアップしたわけだ。
「うーん…あの子はヤバいわね。エリザ様が『サキュバス・プリンセス』の称号を贈るだけはあるわ」
「シャンゼ様も負けてませんけどね」
「何言ってるのよ。お姉様の方がずっと美人に決まってるじゃない。ていうか私の方が美人よ。ねぇ、ユーファ?」
「ええと…そ、そうですね」
「残念ながらコルネリア様よりカミーユ様の方が美人でスタイルもいいかと」
「ラーラ……あんたねぇ…」
お次はシャンゼ様率いるフレムリーラ組の御登場だ。
いつもの護衛騎士五人も一緒だ。それはいいのだが…
「あの…迎えに行った時から気になってましたが、後ろの人達は?新人メイドという事ですが、何故そんなに深くフードを被ってるんです?」
「ああ…この子達ね。そうね…貴女達、もういいわよ」
「「「はーい」」」
「げっ!あ、貴女達は!?」
フレムリーラでのお茶会に参加してた魔王女達!?なぜシャンゼ様のメイドに!?
「ていうか貴女はマーヤさん!?」
「はい!どうですか?私の水着姿は」
「はい、とてもいい感触……じゃなくて!見せたいなら離れてください!」
フード付きの上着を脱いだと思ったら瞬時に腕に……相変わらずの素敵な谷間。
いや、そんな事はどーでもよくて。
「シャンゼ様…これは一体どういう事です」
「この子達にはジュン君にまた会いたいから機会を作って欲しいって頼まれててね。ちょっ~と簡単な取引をして私のメイドとして連れて来たの。ジュン君は騙したみたいになっちゃって、ごめんね。でも最初から姿を見せてたら素直に連れて来なかったでしょ?ジュン君は優しいから、結局は連れて来たとは思うけど~」
「ぬぐっ…」
そりゃそうかもしれませんけど…しかし、マーヤさんはマズい。
ノーパンノーブラでお出迎えとかやってのけるマーヤさんと泊りがけで海水浴とか…大人しくしてる筈が無い。
いや、マーヤさんに限らずだけども!
「安心して、ジュン君。この子達は私の御眼鏡にかなった容姿も性格も良い子達ばかり。この子達も好きにしていいのよ?」
「まるで女衒のセリフですけども。婚約者のセリフじゃありませんね。もしかして、取引の内容に入ってます?」
「あ、鋭い。入ってるわよ。ジュン君に何されても文句は言わない、婚約の交渉に使わないってね。エリザ様の御許可は頂いてるから、何も問題ないわよ?」
「ボクの許可が出てないから問題ありまくりですね」
ママ上も…此処でもやはりボクの婚約者を増やすつもりで、何かするのか。
「まぁまぁ。ほら、折角の美女だらけの海でバカンスなんだから。遊びましょ」
「ジュン様、私あのゴーレムで海中に潜ってみたいです!」
「大変そうだな、ジュン君」
「私達は釣りでもしますかね。あ、マルレーネ達とも遊んでやってくださいね」
「私もクローディアのとこへ戻る。アイシス達に殺されない程度にな、ジュン殿」
「助ける気はないんですね、貴方達」
なんて薄情な。そりゃあ別に命の危険があるわけじゃないけども。
だが身の危険は感じずにはいられない。
「それにしても、今年は一気に人数が増えたわね。大丈夫なの?部屋数とか」
「シャンゼ様はまだ見てませんでしたか。実はこの島の屋敷は増築したんです。部屋数は十分にあります。メイドも城から大勢連れて来ましたし。半分休暇ですけど」
家妖精のメリールゥが居れば大勢連れて来なくても良かったんだけど。交代で休みが取れると聞いて希望者は殺到してた。
ティナ達とレヴィさんは勿論来てる。
「おーい!ジュン兄ちゃん!あのゴーレムに乗るなら俺らも乗せてくれよ!」
「行こう、レベッカ」
「はい!」
ジーク君にサイ君、レベッカの年少組の登場だ。
今回からネアンバル魔王家も参加している。ジーク君とサイ君はレベッカを取り合う恋のライバルだが友人としても上手くやれてるみたいだ。
マーヒさんは今頃は酒盛りをしてる筈だ。
オムさんとヴリティカさんはパラソルの下でジュースを飲みながら本を呼んでる。アレはアレで海を満喫してると思う。
ただ…ガウリカさんはちょっとガッカリしてた。何故なら…
「貴女達がサンジェラ殿とゼフラ殿か」
「あ、はい。サンジェラ・トスカ・アカードです」
「ゼフラ・タラータ・ヴェルリア、元モラン王国の第二王女だ。貴女はネアンバル魔王国のガウリカ殿だな?」
「ああ、ガウリカ・ネアンバルだ。私と同じでかなり鍛えられた肉体をした王女が居ると聞いて楽しみにしていたんだが…」
「あ…すみません。流石にこの身体で模擬戦は…」
「私もだ。まだそれほど動きに支障は無いが、夫にも武術の訓練は止められてしまったしな」
「わかっている。流石の私も身重の女性とやり合うつもりはない。無いが…心底残念なだけだ」
「うん。私も残念だ」
「私も残念です」
という筋肉モリモリな三人の王女達の会話があった。
王女同士の会話にしては何とも色気の無い会話だが…ガッカリしたガウリカさんは少しの間不機嫌そうだった。
「ところで義兄さん。浮気ですか?」
「浮気はいけないと思います!ジュン様!」
「ちゃんと責任とるんだぜ、兄ちゃん」
「ほら、マーヤさん。子供達に変な誤解されてますから離れて下さい」
「…はーい」
「マーヤ?母ちゃんと名前似てるな!」
「確かに。見た目は全然だけど」
言われてみれば確かに。
強引な性格はちょっと似てる気がするが。
「マーヒ・ネアンバル様ですか。確かに名前は似てますね。ですが私はあんなに筋肉質じゃないですし、結婚したら旦那様一筋の一途な女なので安心して下さい」
「何も安心出来な…ちょっと待って下さい。まるでマーヒさんの浮気現場を目撃したかのような口振りですけど?」
「あ、はい。見ました。人によっては浮気ってほどじゃないと判断されるかもしれませんけど」
「ええ!?母ちゃんが浮気!?」
いや…いやいやいや。
マーヒさんとマーヤさんが会ったのはこの島に来てからの筈。
まだバカンスが始まって二時間も経ってない。
なのにマーヒさんの浮気現場を目撃なんて…この島でしか有り得ないが。
「…浮気相手は誰です?」
「え?ええと…あの王族にはちょっと見えない…山賊と言った方が的確な感じの…」
まさかレオさん?レオさんがマーヒさんの浮気相手?
いや、まさかな…レオさんは女性が苦手らしいし…いきなり会ったばかりの人妻と浮気なんて…
「それってサンドーラのレオさんですよね。どんな現場を目撃したんです?」
「あ、そうです。レオ様の背中を熱い目で見てました。アレは完全に恋する乙女の眼でした。私には解ります!」
「え、えぇ〜…母ちゃんが乙女…」
「…ていうか、それだけですか?それだけじゃ浮気にならないんじゃ?」
「いいえ。夫が居る身でありながら他の男性に恋をする。それはもう立派な浮気です!」
「…婚約者が居ながら他の女性と仲良くするのは?」
「それはセーフです♪」
何て都合の良い解釈…セーフじゃなきゃボクの命も危ういが。
「なあ、それ本当に母ちゃんだったか?」
「え?事前に聞いてた情報と外見は一致してますけど?」
「でもさ。今日は母ちゃん…こっち来てからずっと酒飲んでるぜ?」
「え?……酔ってる様子は無かった…かな?」
「良かったー…じゃあ、それ姉ちゃんだよ。ガウリカ姉ちゃん」
ああ、なるほど。ガウリカさんがレオさんに恋したなら何も問題は無いな。
「ガウリカ様?…ああ…そうかもしれませんね」
「だろ?そっかーガウリカ姉ちゃんが恋……うえぇ!?それはそれでヤベぇよ!?」
「何が?問題は無いと思うけど…」
「だってよ!あのガウリカ姉ちゃんだぜ!?三度の飯よりバトルが好き!な姉ちゃんだぜ!?恋なんて言葉は姉ちゃんに一番似合わない言葉だろ!?父ちゃんとヴリティカ姉ちゃんに聞いてもそう言うぜ、きっと!」
中々に酷い言い草だが…家族であるサイ君が言うのだからそうなのかな。
三度の飯よりバトルが好き!なのは見た目通りだし。
「ふーん…まぁ良い事なんじゃない?私には関係無いし。サイ君は応援してあげたら良いんじゃないかしら?」
「え?応援…何すりゃいいんだ?えっと、姉ちゃんは…」
「私はコルネリアよ。何をしたらいいのかは私にも解らないけど…恋愛の事なら…そうね、エリザ様に相談するといいんじゃない?」
いや…いやいや…それは最もしちゃイケない選択……いや?
「……サイ君」
「な、何だよ、兄ちゃん」
「うちの母さんは恋愛に関してはエキスパートだから。是非相談するといい。恋愛に関してはきっと誰よりも頼りになると思うよ」
「え?義兄さん、僕の時にはそんな話…モガッ」
ガウリカさんには申し訳無いが…ママ上がガウリカさんの恋の応援をしてる内はボクに矛先が向く事は無い筈。
「そうなのか?…じゃあ後で聞いてみる!」
「うん。きっと嬉々として相談に乗ってくれるよ」
フフフ…これでバカンスの間はママ上の魔の手に怯えなくていい筈。
代わりにガウリカさんとレオさんにとばっちりが行くかもしれないが…あまりに酷い内容なら止めるから見逃して欲しい。
というか、マーヤさん達だけじゃなくセフィさん達も居るし、明日からはエルとミネアも来るのだ。これくらいは許して欲しいものだ。
「話は終わった?じゃ、行きましょ」
「私、海に潜るのは初めてです!」
「綺麗な海ですから、楽しんでください」
とりあえずマーヤさん達は…遊び疲れて何もする気になれなーいて感じにさせよう。主にボクの身の安全の為に…




