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第538話 神の島 10

 メイド型アンドロイドに投与された何かによって強制的に進化させられたベヒモス。

赤色が混じったし奴の事はこう呼ぶ事にしよう。


「奴の事はレッド・ベヒモスと呼称する事とする!」


「そ、それは良いんですけどー!」


「余裕ですね…ジュン様」


 そりゃあもう。似たような状況ばかりで…すっかり慣れてしまった。

嫌な慣れだと思うけど…御蔭でちょっとやそっとじゃ動揺しなくなったな。


「それでどうする?ジュン。僕が突撃しようか?」


「…流石に強さが未知数の魔獣がいるのに突撃して近接戦は危険過ぎる。先ずは先に残りのアンドロイドを倒して―――」


「あ。ジュン、あれ見て」


 あれ?レッド・ベヒモスが…アンドロイドを襲ってる?


「まるで制御出来てないじゃん」


「う、う~ん…同士討ちしてくれて、ウチらとしては楽チンで助かるけど…」


「見た目が人と変わらないから…魔獣に喰い殺されてるように見えちゃうね」


 血が流れてないだけマシだが…ほんとスプラッタな映像だ。

見ててあまり気持ちのいいものではない。


「アンドロイドが全てやられるのは時間の問題だね。というか、あの状況で未だにウチらを狙って攻撃してるし」


「レッド・ベヒモスに対して無抵抗。全部食われてるね」


「でもあれは魔獣のエサにはなり得ないから…レッド・ベヒモスは満足出来ないだろうね」


「私達を狙って来ますね」


 だろうなぁ。アンドロイドが抵抗してレッド・ベヒモスの能力を少しでも見る事が出来たらよかったんだけど。噛み付きと爪による攻撃くらいしか見れて無い。


「という訳で。余計なのも排除出来たし、部屋も充分に広い。いつものようにゴーレムで―――」


「ううん。此処はウチに任せて、ジュン」


「え?いや、でも…」


「大丈夫。無理だと思ったらすぐに助けを求めるから。アイツ…ウチの新しい力を試すのにうってつけだと思うんだよね」


「…なら、これを」


「それって…聖女の御守り?」


 聖女エルミネアの遺産の一つ。一度だけどんな災いからも護ってくれるという。これがあれば少なくとも一撃でやられるという事は無いだろう。


「心配性なんだから、ジュンは。ウチには『先見の紋章』もあるんだからさ」


「いいから。持っておきなさい」


「は~い。んじゃ、行って来ます!」


「…よろしいのですか?ジュン様」


「アイなら大丈夫だと思う。でもいつでも援護に入れるように」


「援護射撃の用意はバッチリですぅ!」


 相手は討伐難度S以上の魔獣…以前なら絶対にアイ一人で戦わせるなんてしないんだが。


「さー!次の相手ウチだよ!子猫ちゃん!」


『グオォォォ!!』


「随分と大きな子猫がいたものですね」


「そもそもアレは猫科の魔獣なのでしょうか」


「姉さん…ノエラさんも。アレはただの挑発だから。あの魔獣が意味を理解してると思わないけど」


「君らも結構余裕な態度ですね」


 君らも慣れたんですね、こういう状況。

ま、皆もアイが手に入れた新しい力の事を知ってるしな。

念の為に御守りを持たせたけど…杞憂に終わるだろう。

何せ…


「んじゃ!いっくぞぉぉぉ!」


「早速使うのかー」


「最初から全力ですね」


 アイが手に入れた新しい力。

強力無比な『闘神の紋章』だ。

一定時間、身体能力・反射神経・魔力・紋章全てを大幅に強化。

その強化率は『勇者の紋章』以上。

但し一日に一度しか使えないし、消耗が激しい。使い処を選ぶ紋章だ。


「ハァァァ…ハァッ!」


『グルァァァ!!』


 アイが気合を入れて拳を振り抜く。

『拳聖の紋章』も使用したその拳は一見、ただ空に向かって振っただけの拳に見えるが…


「い、今のは何です?」


「アイ様が拳を振るったのは辛うじて見えたが…」


「レッド・ベヒモスの口から血が出てますね」


「あの距離からアイの拳が届くはずが無いのに…解る?メーティス」


『さぁなあ…わいかて『闘神の紋章』なんて初めて聞いた紋章やし。紋章の能力やないんなら、単に拳の風圧で殴ったんとちゃうか』


「そんなの出来るの?」


 まるでリヴァさんのような真似だが…今のアイならば可能なのだろう。

『闘神の紋章』の凄い所は紋章の力まで強化出来る点だ。

それによりアイが持つ全ての紋章が強化され、化け物じみた戦闘能力を発揮できる訳だ。


「速い…魔眼を使ってようやく目で追うのがやっとですな、私は」


「ん。私には影しか見えない」


「討伐難度SSの魔獣が手も足も出てない…」


「『先見の紋章』の力だよ」


 『闘神の紋章』で『先見の紋章』を強化する事で相手の一秒から二秒先の動きを全て予知出来るのだ。

それにより、アイはレッド・ベヒモスの動きを全て封じる事が出来る。


「なるほど…一対一の戦いであればアイ殿はほぼ無敵ですな」


「ですね」


 今のアイならリヴァさんにだって勝てるかもしれない。

ボクだってアイに勝てる自信は無いが。


「あ!アレは!」


「ライトニングブラスト!」


 ベヒモスも使っていた必殺技だ。尻尾を振り、何とかアイから距離を取ったレッド・ベヒモスは即座にライトニングブラストを発動。

一発逆転を狙って来た。


 それに対してアイは…


「アイ?まさか…迎え撃つつもり?」


「ジュ、ジュン様!アイ様を御助けするべきでは!?」


「大丈夫だよ」


 最初こそ、ボクも多少の不安はあったが今のアイの戦いぶりを見たら、何の不安もない。

この戦い、アイが勝つ。間違い無い。


「今!必殺のー!闘神波!」


 わー…ネーミングだけはオリジナルだけど、見た目は某バトル漫画の技そっくり…殆どかめは○波だ。

レッサーベヒモスとの戦いでも使ってた時とは段違いの威力だ。


 レッド・ベヒモスのライトニングブラストとアイの闘神波がぶつかる。

相殺するかと思ったが、アイの闘神波が勝っていた。

あのライトニングブラストは幻獣のドラゴンのブレスに匹敵すると思ったが、それに勝るという事は…アイの技は神獣のドラゴンのブレスに匹敵するのか…凄いな。


「角が…折れましたね」


「ですがまだ生きています。アイ様もそろそろ限界でしょう。早く止めを指さなければ」


 それはアイが一番良く解ってる。現に止めを指すつもりみたいだし。


「な、何あれ」


「まるで光の巨人ですぅ」


 アイは以前、闘気で作った巨腕で連撃する技を作っていた。

今回は更に腕だけじゃなく全身を闘気で作り、身に纏った。闘気で出来た巨人の完成だ。


「名付けて!闘神の顕現!『現人神』!」


 あの状態で戦うのを『現人神』と呼ぶのか。

しかし、自分とはまるでサイズか違う身体をぶっつけ本番でよく操れるもんだ。アイの戦闘センスはアイシスにも劣らないな。


「圧倒的だな…」


「ですねー…私、今日はこのまま出番の無いまま終わっちゃいそうな気がします」


「あたしも…まだ新しい力、試してないのにー」


 まだ新しい力を試せてないのは…ボクとシャクティ。ハティとノエラ。それからセバストか。

多分、メイド型アンドロイドはこの部屋に居たので最後みたいだし、この部屋の奥にある場所が一番重要な場所なんだろう。

だからこそ、最終防衛ラインを此処にしたんだろうし。


「成敗!」


「だからそういうの辞めなさい…」


 今度はマシンなロボの人の真似か。

きっちりとどめを刺してるからいいけどさ。


「ふぅ…終わったよ」


「お疲れ様。身体に異常は無い?」


「うん…でもすっごい疲れた。だからジュン。抱っこ〜」


「はいはい…」


「アイ、ズルい!」


 アイシスだけじゃなく全員が同意見のようだけどボクの腕は二本しかない。諦めてください。


 さて…邪魔者は居なくなった事だし。


「それじゃ、この奥に何があるのか。見に行くとしますか」

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