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第533話 神の島 5

「クリステア!早く閉めて!」


「はい!」


 ドアを閉める直前、生きた人形が動き出すのが見えた。ドアを閉めて、鍵を掛けた直後。

人形がドアを叩く音が響く。ニ、三体で叩いているようだ。


『『ケケケケケケ!』』


「…怖いなぁ、やだなぁ…」


「アレは何なのでしょう?生きた人形など、聞いた事もありません」


「私もありませんな。初めて見ます。此処が神族の施設で、アレが成果だとしたら…悪趣味だと言わざるを得ませんな」


 本当に。何の為に作ったんだか…


「それで…どうする?ジュン」


「というか、お兄ちゃん平気?ああいうの怖いんじゃないの?」


「あ。そう言えば平気かも」


 怖いとは思ったが。

以前ならああいうホラーなの見たら恐怖に支配されてた筈だが。【ヘパイストス】の御蔭か。


「ジドさん、心からありがとう!」


「…良かったね。それで、どうするの?」


「放置する?」


「破壊するなら、新しい力を試せますねー」


「ん。やっちゃう?」


 …どうするか。生きた人形…自動人形(オートマタ)とでも呼ぶか。

自動人形は扉を叩いているが破壊するだけの力は無いらしい。見た所、少々頑丈なだけの普通の扉だ。

それを破れないとなると大した能力は持ってないのだろう。


「…今は放っておこう。大した能力は無いようだし。破壊する必要が出たらに破壊するって事で。考え難いけど、地下にあの人形の製作者が居たら…破壊したら怒るかもしれないし」


「…ん。ちょっと残念」


 セリアたんも新しい力を試したくて仕方無いのか。言葉通りに残念そうだ。


「さて、次だ次」


「後半はのっけからインパクトがあるの来たねー」


「お次は何かなー」


「何でちょっと楽しそうなの…」


 メリールゥと会った幽霊屋敷でもそうだったけど。

ユウとアイはこういうホラーな場所を探索するのが好きらしい。


「僕もちょっと楽しくなって来たよ…次、僕が開けていい?」


「…お好きにどうぞ」


 アイシスも好きなのか…何が楽しいのやら。


「でもまぁ…次は大丈夫そうだね」


「え?何で?」


「鍵が無いし」


「あ。本当だ」


 次の扉は普通だった。外側に鍵は無い。

ただ部屋の中は空っぽでは無く、自動人形のパーツが置いてあった。


「これを組み立てれば、あの人形のように動き出すのでしょうか?」


「試してみる?」


「やめておきなさい…」


 何も自分からあんな悪趣味な人形を増やすような真似せんでも。

それに見た所頭のパーツは無い。組み立てても不完全に終わるだろう。


「他には特に何も無い、か。じゃあ次だ」


「次も僕が開けるね」


「お好きに」


 残りの部屋もアイシスが開けて周ったが、殆どが空き部屋。

偶に何かの研究や何らかの製作に使う工具等があったくらいだ。

だがそれらから推測するにやはり此処は…


「神族が何かを研究するための施設なんだろうね」


「そうみたいだね」


「ですが…あの人形は何故残っていたのでしょう?」


「単に忘れたんじゃない?」


「忘れた…処分する事をですか?」


「或いは持って行くのを、ね」


 または持って行くのも処分するのも面倒で放置したか。

……あれ、これが正解な気がするな。


「何にせよ、此処じゃ答えは出せないし。下に降りようか」


「はい。行きましょう」


 下に降りる階段は二十段程。

五、六メートルは降りたのだろうか?

地下もそこそこ広い空間が在りそうだ。


「開けます」


「うん」


 階段を降りた先にはまた扉。

扉の先は十字路になっており、それぞれの方向に幾つかの部屋があるようだ。


「結構な大人数で大規模な研究をしてたみたいだけど…」


「そもそも神族って何かを研究するの?」


「今まで発見された神族の遺跡には研究所のような物は無かった筈です。私が知る限りの話ですが」


 ノエラは神族の遺跡についても情報を集めていたらしい。

神族の遺跡は危険な物が眠ってたりするので情報を秘匿する場合もある。

他国に知られて奪われたりしない為と、いざという時に利用する為に。

エスカロン・ガリアがそうしたように。


「何を研究してたのかは、調べるしか無いな。先ずは左から行って見ようか。クリステア」


「はい。進みます」


 罠避けにゴーレムを先に進ませつつ、部屋を一つずつ調べる。

先ず最初の部屋にあったのは…水槽だ。

中には水も無い、空っぽの水槽だ。但し使ってた形跡はある。


「魚でも飼育してたのかな?」


「こんなガラスの入れ物でか?後で食べる為に鮮度を保つには有効だと思うが…こんな小さなガラスの入れ物で長期間の飼育は無理だろう?」


「あー…うん。そだね」


 ボクもアイと同じ発想だったが…この世界には水族館やアクアリウムなんて無い。水をろ過して循環する装置や空気を入れるポンプも無いし。

魚を飼うという発想も無いのが普通だろう。

……魚を飼える水槽セットとか作れば儲かりそうだな。

池を作って鯉を飼えるようにするだけでも人気でそうだ。

魔法道具を駆使して何とか出来ないかな……と、これはまた今度考えるとして。


 水槽が置いてある部屋にはまた扉があって隣の部屋に行けるようだ。

隣の部屋は鉄製の棚が置いてあるだけだ。察するに資料や研究に使う道具等を置いてあった倉庫部屋だろう。


「この部屋も特に何も…」


「(お兄ちゃん、アレ見て。アイも)」


「(何で小声?)」


「(アレって何見たらいいの…何も無い壁じゃん)」


「(よく見て!下の方!)」


 下の方…特に何も…いや、おかしな物はあった。

確かにアレがあるのはおかしい。


「ジュン様?どうかされましたか?」


「驚いてるようだが…何か見つけたのか?」


「ああ、いや…驚いたんじゃなくてね。あの壁の穴は何かなと思って」


「穴?」


「ああ、これですか。何の穴でしょうね?」


「同じ大きさの穴が縦に二つ…それが上下に二つ。計四つの穴ですか」


「鍵穴…にしてはおかしな形ですし、位置が変ですよねー」


 そう、壁にあったおかしな物。

それはコンセントの差し込み口だ。

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