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第522話 ドワーフの夢 7

 山の探索を開始して三時間。

アーマード・モスの繭を探しながらの探索なので山頂にはまだ着いていない。

そして最初のアーマード・モスとの会敵の後二匹のアーマード・モスを撃破。

それと五つの繭を発見した。残念ながらオリハルコンの繭は見つかっていないが、問題はそこでは無く。


「事前情報よりも多いね」


「最初の発見から今日までの間に増えたのかもね。まぁ貴重な鉱石は結構採れたからホクホクではあるけども」


 二匹目のアーマード・モスは鉄を身に纏ってた。三匹目は何と金だ。

金の角一本だけで相当な額になるだろう。

だけど防御力の点で言えば鉄を身に纏った個体の方が高いのだが。


 五つの繭は鉄の繭が三つ、金の繭が一つ。そしてアダマンタイトの繭が一つ。

見つけた繭の数は最初の二つを合わせて七つ。

倒したアーマード・モスは三匹。

つまり最低でもあと四匹は居る筈。


「鉄のアーマード・モスが二匹。銀のが一匹。アダマンタイトのが一匹。最低でも後これだけ居る筈って事ね」


「この山に眠っていた鉱脈は相当大きかったという事でしょうか」


「そうなのかな。だとしたらこの山の地中は虫食いだらけで、地震とかあれば崩れちゃったりしてね。アハハ」


「アハハ…笑えなーい」


 流石にそれは大惨事過ぎる。

そうなっていたとしても出来る事はアーマード・モスが繁殖する前に討伐する事しかないが。


「ま、想定より多いけど…楽に倒せるようになったし。討伐は問題無くこなせるでしょ」


 二匹目からは初めに全員で水魔法を使用。アーマード・モスを水浸しにして毒の鱗粉が飛散する事を防いだ。毒の脅威さえなければ遠距離攻撃だけに留めなくて済む。中距離からの攻撃も混じえ、最初よりも楽に倒せていた。

ついでに飛べなくなればもっと楽に倒せたのだが。


「アレだけずぶ濡れでも飛べるとはねー」


「そこは蛾でもやっぱり魔獣ってとこかな」


 アーマード・モスはずぶ濡れになっても激しく羽を羽ばたかせて飛んでいた。それでも鱗粉は飛散せずに、せいぜい真下に落ちてる程度だったか。


「ご主人様。あそこ。多分繭があるよ」


「…またか」


 話しながら歩いていてもハティの鼻は獲物を逃さない。

アーマード・モスの匂いの出所を嗅ぎ分けてくれる。

繭の在処は全てが最初に発見した滝の裏の洞窟のように、直ぐには見つからないような場所にあった。

多くは地中に穴を作り、そこで繭となり羽化してから出て来るようで、山肌に不自然に開いた大きな穴。

その奥に繭があった。今回もそれだ。


「これで八つか」


「今度は何だった?」


「銅。最低あと五匹いる事になったね」


「多い…よね?」


 どうなんだろうな。

アースワームが居るって事は何処かでアーマード・モスが繁殖に成功してるって事になるし…一ヵ所にこれだけのアーマード・モスが居るのは多いと考えていいのかな。


「この山ってそんなに豊富な鉱脈があったのかな」


「それだけじゃなくて…水も魅力的なのかもね。アーマード・モスにとって」


「どういう事でしょう?ユウ様」


「調べてみないと確信は無いけど…マーヤさんの話にアーマード・モスは湖の水を飲んでるって話があったでしょ?その湖の水が他の湖や川より鉄分を多く含む水なのかも。と、思って」


 アーマード・モスが好む成分にもよるのだろうが、そういう可能性も充分あり得るか。


「その通りだとするとさ。此処にある繭以上の数が居るって可能性もあるんじゃない?」


「あるでしょうね。でも、今は探索を続けるしか無いわ」


「……あんまり多いとウチ、泣きそう……」


「私だって嫌よ…」


 巨大な毒蛾が群れを成して飛んでる図…うん、ボクも嫌だ。


「兎に角、探索を続けよう。ほら、アイ。頑張って」


「う~…」


「あ。ご主人様、来たよ」


「今度は二匹来たですぅ」


「うへぇ…山頂に行く前に心折れそう…」


 今度のは鉄と銅か。

まぁ二匹で来ても対処法が確立した今、脅威では…


「…ジュン!何かして来るよ!」


「何かって……全員、集合!結界を張る!」


 二体のアーマード・モスの魔力が高まり、額の角に集中したかと思うと、額から雷撃を放って来た。

二体同時に放っているせいか、かなりの広範囲、かなりの威力。

範囲だけならセリアたんのサンダーストームに匹敵するかも。


「あっぶなー…こんな能力もあったとはね」


「流石に討伐難度Sの魔獣だけあるね…でも連射は出来ないみたいだね」


 なら後は手順通りに倒すだけ。

水魔法の連射で水浸しにして、集中攻撃で倒すだけだ。

雷撃にこそ驚いたが、二匹まとめて始末出来た。


「ジュン、周りの木が…」


「さっきの電撃で延焼したか。皆、消火して」


 ボクが結界を張った範囲内は無事だがその外にある木々は電撃により燃えてしまった。

此処は山だし、放っておけば大規模な山火事になってしまう。

燃える物はいくらでもあるし、念入りに消火しないと。


「さて…発見した繭が全てだと仮定して。残りは最低三匹か」


「…だといいけどね~」


「何かあるの?アイ」


「ううん。ただ今までのパターンだと残り三匹で済むなんて事は無いだろうな、と。あ、ジュンの引きがどうこうって意味じゃないよ?」


「私もアイ様に同意します。勿論ジュン様の引きの強さがどうだと言う話ではありません」


「リリーもですぅ」


『あ、僕も』


 まだ短い期間しか行動を共にしてないウルまでもが。

…ボクもそんな気がしてるから、否定出来ないが…


「お~い。二匹居るんだ、解体手伝え~」


「あ、はいですぅ」


「…ごめんだけど、ウチはパス。勘弁して」


 …ボクも自分の気持ちに正直になってパス。

一通りに解体が終わるのを待って今度こそ探索再開。

だけど、ボクの隣を歩くセバストが何やら難しい顔をしてる。


「どうかした?セバスト」


「ん?いや…大した事じゃないんだが…さっきの二体、他の個体より少し大きかったと思ってな」


「成虫になった時期が少し早い個体だったってだけじゃないの?」


「単にそれだけの事ならいいんだがな…」


  そんなセバストの言葉が引き金になったわけでは無いが。

山頂に着いた時、その不安は現実になった。

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