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第515話 未知との遭遇 8

「良かったわ、ジュン君が無事で。これでも少しは心配してたのよ?」


「すみません、御心配をお掛けしました。【クラミツハ】はお返しします」


「うん、確かに。役に立った?」


「はい。【クラミツハ】が無ければ討伐は無理でした」


 巨大アンモナイトを討伐してエルムバーンに戻った翌日。【クラミツハ】を返しにフレムリーラまで来ていた。正直まだ疲れているので今日はゆっくりしたかったが【クラミツハ】はなるべく早く返すべきだろうと思い来ていた。


「ところでシャンゼ様」


「なぁに?」


「そろそろ下りてくれませんか。それと胸をまさぐるのは止めてください」


「ダメーこれくらいのサービスはしてくれてもいいじゃない?」


「あ、これボクがサービスしてる形なんですね」


 シャンゼ様はボクの膝に横向きに乗り、胸をまさぐってくる。

婚約者でなければ只のセクハラ…いやもうこれ、婚約者でもセクハラじゃない?


「それになんです?コルネリアさん。後ろに並んでる理由は?まるで順番待ちしてるみたいですけど」


「まるで、じゃなく順番待ちしてるのよ。お姉様だけなんて不公平じゃない?」


「後が支えてますので、お急ぎください。時間もありませんし」


「後が支えて?」


 コルネリアさんとユーファさんの後ろには五人の護衛騎士の人達。

まさか全員とこれをやれと?そう言えばラーラさんが居ないな。


「シャンゼ様、お茶会の用意が整いました。皆様御揃いになってます」


「あらそう。思ったより早かったわね」


「お茶会?」


「そ。周辺諸国の御姫様や大貴族のお嬢様なんかを招いてね。偶にこういうお茶会を開いて交流を持つようにしてるのよ。残念ね、コルネリア。貴女の番は無さそうよ」


「お姉様…酷い…」


 いやいや、ボクとしては大助かり。用件は終ったし帰ろう。


「それじゃ、シャンゼ様。明後日に迎えに―――」


「ああ、ジュン君。まだ帰らないでね。お茶会に参加して行ってね」


「え?」


「今日ジュン君が来たのとお茶会が重なったのは偶然だけど、皆以前からジュン君に会いたがってたのよ。折角だから少し会ってあげて?」


「皆様、エルムバーン魔王国からずっと遠く離れた遠方の国々の方々です。今日を逃しては次にいつ会えるか解らないと考えておられます」


「…つまり、ボクが此処に居る事を?」


「はい。既に皆様にお伝えしております。中にはジュン様が居ると知って大急ぎで新しい下着に着替えた方も」


「新しい下着に着替える意味を聞いて来て貰えます?」


「お聞きしなくても私がお答え出来ますが?」


「いえ、結構です」


 そりゃね。ボクだって聞かなくても解かるさ。解るけども、お茶会ってそういう場じゃないでしょうに。


「それじゃ、行きましょ」


「はぁ…」


「まぁまぁ、そんな顔しないで。婚約者を自慢したい私の気持ち、少しは解るでしょ?」


「…わかりましたよ。それじゃ、今日はシャンゼ様がエスコートしてくれますか?」


「あら?それも偶にはいいかもね」


 シャンゼ様のエスコートでフレムリーラ周辺の国から来た王族や貴族の女性達ばかりのお茶会へ。

大半が魔族で人族は居ない。当然、見知らぬ人ばかり。

その中に一人、他の人とは違う視線を向ける人が一人。


「エヴァ様?」


「お久しぶりですね、ジュン殿。御壮健そうで何よりです」


 そうか、フレムリーラの周辺諸国から呼んでいるのなら隣国のグリムモアにも声を掛けるのは当然か。


「エヴァ様もお元気そうですね。今日はお一人で?」


「はい。勿論護衛は居ますが王族は私だけです。セフィは居ません。今頃は船で海上に居るでしょう」


「あ、本当に向かってるんですね」


「はい。わざわざグリムモア王家秘蔵の魔道船を持ち出して。そこまでして向かったんです、エルムバーンに着いたら少しは相手をしてあげてくださいね。即座に送り帰すのでは無く」


「…わかりました」


 到着、即帰還してもらおうと思ったのだが。

そこまでして来るなら少しくらい滞在させてもいいか。

二人きりには絶対にならないが。


「ところで、ジュン殿?私、大急ぎで新しい下着に着替えたのですけど、見てみます?王家の紋章付きです」


「下着替えたのってあんたかい!」


 何考えてんだ、この人。人妻で子持ちでしょ?王家とか紋章付きとか関係無く!


「冗談ですよ、オホホホ…ですが、わざわざ新しい下着に着替えたのは私だけじゃありませんよ。ねぇ?」


下着を替えたのは本当なんですね……エヴァ様が視線を送ると、ほぼ全員が目を逸らした。

どうしてこう肉食系女子ばかりなんだ…せめてロールキャベツ系でお願いしたい。


「んふふ。モテモテね~ジュン君」


「笑ってないで、護ってくださいね?」


「うんうん、わかってるわかってる♪」


 そんなにボクを婚約者として紹介するのが嬉しいのか。

そう言えば今のいままでシャンゼ様に婚約者として誰かに紹介されるとか無かったか?

【クラミツハ】を借りた礼もあるし…これくらいいいか。


 というわけで、お茶会に参加してる御嬢様方を御紹介いただいたわけだが…


「是非、一度我が国へお越しください。盛大に歓迎させて頂きます。夜は鍵を開けておきますので、私の部屋に来ていただいて構いませんので」


「妾で構いません。どうか私を末席に加えて戴けませんか?」


「どうか私も婚約者の一人に。何でしたら私の妹も姪も、私付きの侍女も全てジュン様に差し上げますわ」


 とまぁ全員セリフこそ違えどシャンゼ様の前で堂々と言って来た。

その度胸は褒めてもいいが、妹や姪を差し出すのは倫理的にどうだろう?

それに数人、わざとドレスをずらしたりスカートを上げたりして下着を見せて来たり、手を取って胸で抱きしめたり。

中にはボクの手をドレスの中に無理やり突っ込むような人も。

中々に刺激的…もとい。はしたない誘惑をしてくる人もいた。


 そんなお茶会とは呼べない感じの集りも終わり。

二日後には約束のハーディン陛下達、ムーの民との宴だ。


「はー!はいはいはいはい♪」


「「「「「はいはいはいはい♪」」」」」


「アハハハハ!、ダ、ダメ、お腹痛い!」


 宴の会場は海のど真ん中、クジラ型魔獣一角の背の上。

そこで魚や貝を貰ってハーディン陛下率いるダンスチームの踊りを見ている。

初見の皆にウケていたが特にシャンゼ様のツボに入ったらしい。

お腹を抱えて笑い転げている。

海に落ちないでくださいね?


「喜んで頂けて何よりです!それではお次はムーの民に伝わる物語『タコと亀の愛語り』を!」


 あー…やるのね、それ。ちょっと気になってたんだよね。

準備に入ってる間に確認しておくか。


「それでリヴァさん。対策があると言ってましたけど。どんな対策が?」


「ん?もうやったけど…見てみる?」


「もうやった?」


「うん、昨日。こんな感じで」


 リヴァさんは海面に立って…って、そんな事出来たのか。


「ん~…ホイっと!」


 手を海中に入れて何か強い力を持ったモノが潜って行った。これは…?


「海水にMeの力を込めて海竜を形作って~あの魔獣を探して海を巡回させるんだ。倒せるなら倒すし、無理ならMeが直接出向いて倒すよ」


「アレが魔獣を発見した時とか倒された時とか解かるんですか?場所も正確に」


「うん!新たな力を得たMeは結構万能だ!ちなみに昨日は十匹くらい作って放ったぞ!」


「なるほど…それで成果は?」


「今の所何にも無いな~もう居ないんじゃないか?」


「そうですか…」


 なら、一応は海底国家ムーを襲った問題は解決した…で、いいのか?

何故、二匹居たのかという謎は残ったが…もしかしてこれもバカ神が絡んでいるのか?


「お兄ちゃ~ん!劇が始まるみたいだよー!」


「わかった~」


 現時点ではわからないのは変わり無い、か。

ミネアの一件以来、バカ神は出て来てないが…早く何とかして欲しいモノだ。

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