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第504話 棲み付くモノ 2

「お待たせしました」


「じゃあ行きましょう!師匠!」


「うん。騒ぎになる前に行こう」


 冒険者ギルドに入ってから…いや、街に入ってから感じてはいたが。

ボク達を見る視線が増えてる。

これ以上留まると領主の耳に入って面倒な事態に…


「ジュン様ぁぁぁ!」


「うわ、何か来たよ」


「遅かったか…」


 馬に乗った騎士達が数人、全速力でやって来る。

しかも大きな声で宣伝してくれちゃって…視線が更に増えたじゃないか。


「お待たせしました!リンク・コタン、馳せ参じました!」


「待ってないし、呼んでないよ」


「用は無いから、帰っていいわよ」


「ていうか、帰って?」


「おお!これはユウ様にアイ様!ご無沙汰しております!数年前にお会いした時より、更に御美しくなられましたな!」


 駄目だ、聞いちゃいない。

しかし…噂をすればなんとやらか。

リンク君は見た目はまともに…それどころか痩せてイケメンになってる。

外見は凛々しい騎士そのものだ。

しかし、初対面の時の出来事をまるで無かったかのような態度はどうなんだろう。

無かった事にしたいんだろうけどさ。


「して、本日は如何なされましたか。事前の報せ無くお出でになられるとは…大事ですか?」


「…違うよ。今日はボク達が面倒を見てる新人冒険者の付き添いで来ただけ。全然大事じゃないから」


「なるほど。そう言えばジュン様は冒険者としてもご高名でしたな。そちらがその新人冒険者…お、おお!」


 あ、何かデジャヴ。

この後の彼のセリフが予想出来る。


「これは美しいお嬢様方!是非、私と結婚を前提としたお付き合いを!」


「は、はい?私ですか?」


「いえ、カミーユ様…この方は私達全員に向けて言っておられるかと」


「間違い無いですね」


「とんだスケコマシ野郎っス!」


 リンク君…マシになったって話だけど…それは見た目だけか。

いや、家の権力を傘に着ないだけマシなのか…


「リンク君…君、あんまし変わってないね」


「これは心外な!私は只美しい女性を出来るだけ沢山妻にしたいだけです!ジュン様のように!」


「……」


 彼と同列に見られたり語られるのは不愉快だが…否定出来ない。


「大体、君は何でそんなに妻が欲しいの?魔族はもっと遅くに結婚する人が多いし、普通だよね?」


「それは決まってます!私は一日も早く!童貞を卒業したいのです!」


「「「「「………」」」」」


 デカい声でなんちゅうセリフを…恥ずかし気もなく…


「リンク君…もうちょっとオブラートに包んで…三枚重ねぐらいに」


「ですが!ジュン様も気持ちは解って頂けるでしょう!ジュン様だって婚約者と毎日ヤりまくりでっ、ごっはぁ!!!」


 こいつ…街中で朝からデカい声で…またしても思わず殴ってしまった。


「綺麗なアッパーカットだったねー」


「結構高く飛んだね」


「ま、自業自得だな…」


「ですね。…貴方達は彼の部下ですね?彼は騎士団の懲罰室にでも放り込んでおきなさい」


「二、三日くらいは入れておきなさい」


「は、はい!」


「あの…女性を前にするとこんなですが、仕事は真面目にやってますので…」


「これで赦してやってください…」


「…わかった。これ以上の叱責はしないから、早く行ってくれ。ほら」


「は、はい!」


 仕事は真面目にやってる、ねぇ。

ま、人格なんてそんなに急激に変わったりしないか。

昔よりは多少マシになってて、仕事は真面目ならこれ以上は何も言わないでおこう。

恐らくは黙ってても領主のオットーさんの耳には入るだろうけども。


「さ、行きましょうか」


「はい…エルムバーンにも色んな人が居るのですね」


「ジュン様の周りは優秀な方ばかりですけど…」


「王都から離れるとやっぱり居ますよね」


「あの人が特殊っだけかもっスっけどね」


 リンク君が特殊なだけだと思いたい…が。

どういうわけか変態が多いからなぁ…我が国は。

もしかしたらリンク君はマシな部類かも…いや、そんな事は無いだろう、多分。


「それで先ず何処に向かうの?」


「先ずは此処から北東に行った場所にある洞窟です」


「山の麓、森の中にある洞窟だそうです。以前、盗賊のアジトになってた事があるそうです」


 盗賊のアジト…もしかしてお祖父ちゃん達と初めて会った場所…いや、違うな。

あそこはもっと奥…白猿が住む山の洞窟だ。

山の麓だと言うなら別の場所だな。


「全部で何ヵ所周るの?」


「四ヵ所です、アイ様」


「徒歩ならば四ヵ所周るのは一日掛かりますが…ジュン様の馬車なら数時間で済みそうですね」


「相変わらず快適な馬車ですし、助かります」


「楽チンっス。この馬車は将来的にはアタシらも作りたいっスね~いくらくらいするんスか?」


「庭付きのお家が余裕で買えるくらいの御値段です」


「…暫くは夢の御話しっスね~…」


「馬車を買って楽をする事を考えるより、あんた達は走って鍛える事を考えた方がいいんじゃない?」


「厳しいっスね、アイ様…」


「マリーダさんもね」


「う…はい…」


 流石に最初に比べればカミーユさん達の体力は付いた。

が、アイに言わせればまだまだらしい。マリーダさんは特に。


「ジュン達が鍛えてるんだっけ。どのくらい強くなったの?」


「あ!よくぞ聞いてくれたっスよ、アイシスさん!アタシは何と!『弓使いの紋章』を獲得したっスよ!」


「へ~?凄いじゃん。まともに訓練を開始してまだ一年経ってないんだよね?」


「まぁアタシはそれ以前から弓の練習はしてたっスっから」


「私は雷属性以外に火と風の中位魔法が使えるようになりました。精霊魔法も下位の精霊なら呼び出せるようになりましたよ」


「ん。それは大したモノ」


「えへへ…魔法に役立つ紋章も獲得したいですね」


「私は…特に大きな変化は。出せるゴーレムの数が二体に増えたくらいです」


「ですがメーテルさんは確実に成長しています。盾の扱いは上手くなっていますし、斧槍も上手くなっていると…ええと…ダービスも褒めていましたよ」


「有難うございます、クリステアさん」


「私は…水属性の中位魔法を。それ以外は特に…」


「謙遜されずともよろしいのですよ、カミーユ様。カミーユ様はエリザ様の指導の下、サキュバスとしての力を着実に付けています。エリザ様が褒めておられましたよ。ジュン様を相手に訓練した甲斐がありましたね」


「う…あ、有難う御座います…」


「へ~?ほ~?」


「ジュンを相手に、サキュバスとしての訓練を、ねぇ。まだやってたんだ?」


「お兄ちゃん?後で御話しようね?」


「はい…」


 思わぬ形で飛び火が…例によって無理やり付き合わされてるだけで、望んでやってるわけじゃないんだよ?

ママ上はカミーユさんもボクの婚約者になればいいと考えてるみたいだから本当に遠慮したいんだけど…ボクの周りにいるのがオカマさんだけになるのはイヤだ。


「姉上はまだまだダメですね。体力が全然ダメです」


「ちょ、ちょっとはマシになってるのよ?魔法だってそこそこ…」


 マリーダさんは中位の闇属性魔法と下位の治癒魔法を習得。

他の属性はまだ下位の魔法しか使えないが決して習得が遅いわけじゃない。

マリーダさんは政の勉強もしているし、カミーユさん達に比べ訓練の時間が取れていないのだし。


「ジュン様、森が見えて来た」


「あの森の中か…じゃ、森の手前で停めて。そこからは徒歩で行こうか」


「了解だ」


 洞窟は此処から歩いてそう三十分くらいの場所にあるらしい。

この辺りで異常があったとか盗賊が出たとかいう情報は無いし、何事も無く行ける筈だ。


「順調ですね」


「まぁEランクに指定されてる依頼っスっからね~それほど難しい依頼じゃないっス」


「運悪く私達が受けた時に限って異常事態が起きてるとか無いでしょうし」


「楽に終わりそうで良かったですね、カミーユ様」


「甘いわね~あんた達。ジュンが一緒に居て何事も無く終わるなんて考えない方がいいわよ」


「悪い事の引きの強さは凄いからね、ジュンは。良い事の引きの強さは僕だけど!フフン!」


「アイとアイシスは後でお仕置きね」


 だからボクが居るから何か引き付けてるわけじゃないって…結構気にしてるので止めて欲しい。


「ん~…変な匂いはしないから、きっと大丈夫だよ?」


「リリーの耳にも変な音は聞こえないですぅ」


 ならきっと大丈夫だ。

そうそうおかしな事にばかり出くわしてたまるか。

今回はきっと何事も無く終わる。

……多分。

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