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第50話 何も無かった、はず

前話に続きオークション前の話です。

インビジブルバード捕獲の為、フレムリーラ南方の森に現在移動中だ。

フレムリーラの王都から南にある街に移動。そこからさらに離れている為、シャンゼ様が高速馬車を用意してくれた。

高速馬車とは普通の馬を使わず、馬型の魔獣スレイプニルを召喚契約して使役する三頭引きの馬車だ。

スレイプニルは足が六本もありそれが三頭で引くのでかなり早い。普通の馬車なら急いでも一日は掛かる距離を六時間程で着くらしい。


「凄い馬車ですね。こんなにスピード出てるのに振動が殆どないし」


「本当。これなら乗り物酔いする人も大丈夫かも」


「フフン、凄いでしょ。この馬車自体、高価な魔法道具の集合体なのよ」


詳しく聞くと振動抑制、空調管理、防音、盗難防止等の魔法道具で出来ているらしい。

確かに外の音もあんまり聞こえない。


「コルネリア、南方の森ってどんな所?」


「はい、南方の森はかなり広大な森で北半分がフレムリーラの領土。南半分がグリムモア魔道国の領土になってます。ですが明確に境界線が見えるように有るわけではないので森での狩はお互い一部の例外を除いて自由にしていい事になってます」


「その例外とは、なんですか?」


「ユニコーンとトレントは狩るのは禁止。ユニコーンの角は呪いを解く解呪の薬に使われるけど一度角を獲ったら二度と生えない、ユニコーンにとっては死を意味するの。そしてユニコーンはエルフに神聖視されてる。ユニコーンに手を出すとエルフが黙ってない。トレントは魔獣だけど妖精族にも近い存在でその実は魔獣達のエサにもなってる。トレントが減ると魔獣が森の外へ出るようになるかもしれない。だからユニコーンとトレントは狩っちゃ駄目。両方害のない存在だしね」


この森にはユニコーンがいるのか。

是非会ってみたい。


「ところでシャンゼ様。そろそろ止めてくれませんか」


「あら、どうして?」


「ボクには太ももを弄られて喜ぶ趣味はありませんよ」


何故かシャンゼ様も同行している。

仕事は大丈夫なんだろうか。


「じゃあどこなら触っていいのかしら」


「そもそも触らないという選択肢はないんですか。それと仕事の方は大丈夫なんですか?付いて来ちゃって。それに護衛の騎士も来てるから結構大事になってるように見えませんか」


スレイプニルの高速馬車にスレイプニルに乗った騎士が十名。

国民が見たら何事かと思うだろう。


「触らないって選択肢はないわね~。ジュン君は転移でいつでも来れるくせに中々来てくれないんだもの。それにこれくらい目立っても大丈夫大丈夫。その後に何も無ければ直ぐに忘れられるわよ」


そんなものだろうか。

こういう事はよくある事で慣れてしまったのかな。


「それにしてもジュン君、大きくなったはねえ。初めて会った時から年の割に背が高かったけど。この分なら成人する頃には高身長のイケメンになってるわね。楽しみだわあ~」


「シャンゼ様、お兄ちゃんは今でもイケメンです」


「高身長のイケメンになっても可愛いのは間違いないね」


「あ、確かにそうかもね」


「「「ウフフフ」」」


前世では高校生の時には180cmを超えて183cmくらいで成長は止まった。

今のとこ前世と同じような成長具合なのでその辺りまではいくのだろうけど。

イケメンはどうかなあ~。

そこまで行っても偶に「女優さんですか?」とか「モデルさんですか?」とか言われたのだ。

男らしくなるために筋トレもしたけど筋肉が付きにくい体質が災いして「スタイルいいねっ」と言われるに終わる。

男らしくなりたいっ。


「他には何かありますか?森の事」


「そうねえ。他には森の東部に強い魔獣が多いわ。かといって他の地域に強い魔獣が全くでないわけではないから注意ね。でも用がないなら東部には行かない事ね」


「それから、森でエルフと出会ったり困ってる人がいたら助け合う事。あの森は広いから偶に遭難者が出るのよ。エルフはそんな事ないんだけどね」


グリムモアのエルフか。

シルヴィさんの知り合いと会えるかもな。


「見えてきたよ。あの森がそうよ」


「あれが・・・」


現代地球で言えばここはコロンビアとパナマの境か。

ただこの世界ではパナマ運河が作れるような大きさではなくもっと広く北アメリカ大陸と南アメリカ大陸は繋がっている。そこに広大な森があるのだ。


「何て言うかこう、普通の森だな。大きさ以外は」


「そうね、ウチもジュンと同じイメージを持ってたと思う」


「私も」


「どんなイメージだったの?」


この辺りにある広大な森と言えばやはりジャングルを想像するだろう。

湿気が凄くてアナコンダとかいてツタが生い茂ってるような。

しかし目の前の森はヨーロッパにありそうな森というか。

泉があれば泉の精が出てきそうな。

そんな森だった。

あれ、普通の森じゃないな、それ。


「じゃあ、早速探そう」


「インビジブルバードってどんな見た目なの?」


「はい。ユウペディアの出番です」


「ユウペディアって・・・まあ、いいけどね」


インビジブルバードは一言で言えば白い鴉という感じだった。

鴉も賢い鳥だったけどインビジブルバードも賢い鳥らしい。


「それでどうやって捕まえるの?」


「一応こんな魔法を作ってみた」


魔力を網状にしたモノを投網のように飛ばす魔法だ。

実際の投網より飛ぶし広がる。

これで何とかなるといいけど。


「これと飛行魔法を併用してやってみるよ」


「オリジナル魔法まで作るなんて、やっぱり凄いわね」


「魔法というより魔力を使った技と言う方が近いかもしれませんね、これは」


放出する魔力の形を網状にしただけのものだ。

それほど苦労しなかった。


「それでも大したものよ。じゃあ探しましょう」


森を全員ではぐれないように気を付けながら進む。


「綺麗な森ね」


「そうだな。ユニコーンがいるくらいだし。考えてみればジャングルにユニコーンは合わないな」


「「確かに」」


「ジャングル?」


「気にしないでください」


ジャングルを歩くユニコーンはあまり想像できない。

やはりユニコーンはこういう穏やかな森にこそだろう。

穏やかといっても魔獣が生息する森だが。


「ジュン様、あそこ、あそこに白い鳥がいるです」


リリーが最初にインビジブルバードを見つける。

さすが狩人。目がいい。


「よし、早速やってみるよ」


飛行魔法でインビジブルバードより高い位置についてから魔法の網を飛ばす。

しかし手元から離れた瞬間に逃げられてしまった。


「ああっ・・・駄目か」


「逃げるの早い。警戒心半端ないね」


確かに。

これは捕まえるの苦労しそうだ。


そしてそれから数時間。

危惧した通り全く捕まえられなかった。


「日も暮れて来たし、馬車まで戻って転移で帰りましょう」


「そうね。まだ余裕はあるし、今日は無理せず終わりましょ」


馬車まで戻り、転移で戻る。

明日からはここまで来るのにも転移で来れる。

もう少し狩時間を増やせるはずだ。


「じゃあ今日はもう泊まっていきなさいね。ラーラ、部屋の用意をお願いね」


「畏まりました」


ラーラさんはシャンゼ様付きのメイド長だ。

褐色肌の銀髪の悪魔族でなんとなく雰囲気がノエラに似ている。


「じゃ、今日はみんな疲れたでしょう、沢山食べて英気を養ってね」


「ありがとうございます、シャンゼ様」


フレムリーラの城ではボク達の歓迎パーティーが開かれた。

立食形式のパーティで元訓練生達も呼ばれている。


「ほんとにリリーも参加していいんですか?ドレスまで貸してもらって・・・」


「もちろんリリー様もお客様です。どうぞ楽しんでください」



パーティーにはセバスト、ノエラ、リリーも参加している。

セバストはいつもの執事服のままだけどノエラとリリーはドレスを借りて参加している。

二人のドレス姿なんて初めてみたかもしれない。


「よく似合ってるよ、リリー」


「え、えへへ。ありがとうございますぅジュン様」


本当によく似あってると思う。

特に胸が強調されてるのが。


「ノエラもよく似合ってるよ」


「ありがとうございます。ですが慣れない服装ですので、なんだか恥ずかしいです」


照れてるノエラって新鮮だな。

ノエラのドレスは胸は強調されていないが背中がぱっくりと開いてスリットが入っている。

結構大胆なドレスだ。


「む~」


「流石にまだ私達はああいうの着れない・・・」


アイとユウはまだ九歳だしな。

でも二人もドレスを着こなしてる。


「大丈夫。二人もちゃんとお姫様に見えるよ」


「そ、そう?ならいいけど」


「ニヘヘ」


褒められれば満更じゃないようで二人とも嬉しそうに笑ってる。

そういう顔もいいと思う。


「ちょっとジュン。わ、私達も褒めなさいよ」


コルネリアさんとユーファさんだ。

二人とも肩が出て胸を強調した中々大胆なドレスだ。


「御二人とも素敵ですよ」


「そ、そう。当然よね」


「有難うございますジュン様」


それから元訓練生達や護衛として来てた騎士達も挨拶に来てパーティーは終る。

そして風呂を頂く。

 

「はふ~。生き返る」


風呂はいい。

まさしく命の洗濯。

十二歳のセリフじゃないかもしれないが。

思わず前世で好きだった歌とか口ずさんじゃったり。


「♩♫♩~」


「あら聞いた事のない曲ね。ジュン君が考えたの?」


「いやあ、そういうわけじゃ・・・へ?」


「あら、じゃあなんて曲名?」


振り向いた先には全裸のシャンゼ様が。

美の化身の如き美しさ。


「て、そうじゃなくて!何で入って来てるんです!」


「背中を流してあげようかと思って~♪」


「大丈夫です!もう流しました!」


「あらそう?じゃあ私の背中を流してくれる?」


「そういうのはラーラさんとかにお願いしてください!」


「まあまあ、せっかくだしいいじゃない。ほらほら早く」


見ちゃ駄目なのに見てしまう。

いや見てもいいのか?シャンゼ様が見せてるんだし・・・

いや、しかし・・・


「そこまでです!シャンゼ様!」


「抜け駆けですよ!」


「おお!アイ!ユウ!」


この状況を打破してくれ!

この際お前達も全裸なのはツッコまない!


「「私達も入ります!」」


ソッチかーい!

シャンゼ様を連れだしてくれよ!


「じゃあボクは出るから!」


「「「それはダメ」」」


ナンデヤネン。

いや、アイとユウはいい。

九歳児のぼでーに感じ入るモノはない。

前世では幼いユウを御風呂に入れたりもした。

だがシャンゼ様はマズい。

非常にマズい。

理性が飛びかねない。


「失礼しますジュン様」


「うぅぅ~し、失礼しますぅ」


「ふ、ふん!私が背中を流してあげるわ!」


「私も志願します」


ここで更にややこしい奴らがー!

な~んで君達までここに来るとですか!?


「お願いだからみんな出てって!」


「「「却下ね」」」


「じゃあ、やっぱりボクが出る!」


「「「それも却下」」」


どないせっちゅーねん!

思わずこてこての関西弁になってまうわ!


「諦めて大人しく入ってなさい」


「ジュン様。大丈夫です。痛くないですよ。むしろ気持ちいいです」


「ノエラはナニ言ってるの!?」


いかん。

このままここにいるのは駄目だ。

絶対駄目だ。

脱出、そう脱出せねば!

転移だ!転移で逃げよう!


「「「あ!」」」


転移で脱出成功!

ここは脱衣所前か。

慌ててたから少し距離を誤ってしまった。


「ジュン様?なかなか大胆ですね」


「へ?」


声がする方を向くとラーラさんが。

そしてボクは風呂上り。

つまりは・・・全裸。


「ひょおおおお!失礼しましたあああああ!!!」


すぐさま脱衣所に入り服を着て再び外へ出て自分に割り当てられた部屋へ一直線に進む。

今すぐ引きこもりたい。全て見られてしまった。

また忘れられない黒歴史が!


「とにかく、もう寝よう。そして忘れよう・・・忘れたいなあ」


疲れてたのもあってすぐ眠気に負けて眠れた。

よく眠れたなあ。

なんだが気持ちのいいものに包まれてる感触。

この感触は・・・


「て、なんでいるんですかシャンゼ様!」


しかもまた全裸で!


「ふぁああ。おはようジュン君。よく眠れた?」


「おはよ。ジュン」


「おはようお兄ちゃん」


「お前達もか・・・」


シャンゼ様だけでなくアイとユウもいる。

二人はパジャマを着ていたが。


「流石にもう冬だしね。寝るとき全裸は寒いかな」


「シャンゼ様はよく平気ですね」


「私は寝る時はいつもこうよ」


なんというカミングアウト。

それでいいのか魔王様。


てゆうかボク、何もされてないよね?

服装を確認したところ大丈夫そうだけど。


「大丈夫、何もしてないわよ。よく寝てたし、疲れてたみたいだし起こすのは気が引けたしね」


そうか、よかった・・・

いや、よかったのか?

どうなんだろう・・・


「失礼します」


そんなやり取りをしてるとラーラさんがやって来た。


「おはようございます、皆様。昨夜はお楽しみでしたね」


何故、そのセリフを知っている・・・!?

てゆうか何も無かったんだよね?


「シャンゼ様?何も無かったんですよね?」


「ええ、何も無かったわよ?」


「ちょっとシャンゼ様?何でこっちをみて言わないんですか?」


何にも無かったんだよね?ね?

とにかくこんな事が毎日続いたらいつか理性が高跳びする。

早く日常に戻らねば・・・

いつも読んでいただきありがとうございます。

ESN大賞に応募しました

応援のほどよろしくお願いします。

評価も出来ればしてやってください。

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