第47話 オークション 4
PCで途中まで書いてスマホで続きを書いたのですが何故か上手く更新できないまま投稿されてました。
7/3続きを足しました。
「まあ、おっぱいならしょうがないな」
「ああ、おっぱいならしょうがない」
「男の子だものねえ」
「ああ、男ならしょうがない」
「やめてください・・・」
パパ上達と合流したらやはり事態は悪化した。
シャンゼ様達が合流して情報交換の後に胸の話題まで提供したのだ。
それにクオンさんまでもが猛烈に反応。
「わ、わ、私も胸には自信あるんですよ!」
はい、見ればわかります。
「だから私とも一緒に寝ましょう!」
いや、何故そうなるのかわかりません。
「大丈夫です!何もしませんから!」
いえ、その眼は全く信用できません。
あと、ちょっと鼻息荒いです、クオンさん。
とまあ、こんなくだりの話があったが時間が迫っているので強引に打ち切ってオークションが始まるのを席について待っている。
しかし、元訓練生であるクオンさん達の、あの変わりっぷりはなんだろう。
初めて会った時の印象とかなり変わっている。
一体何があったのか。
「とにかく、もうまもなくオークションが始まります。気を引き締めてください」
「真面目だなあ、お前」
「アスラッドとは違うな」
「うるせえよ。お前が言うな」
こんな調子の父達だがやるべきことはちゃんとやってる。
情報収集の結果、何人か怪しいと思うのはいたけどどれもグレーゾーン。
ボク達に接触してきたモーデフよりも怪しいと感じた人物はいないという。
「まあ、そいつらにも監視は既に付けてるし、尾行も付ける。本命はそいつだがな」
と、このように準備は出来ている。
ちなみに尾行や監視といった現代地球で言えば諜報員、あるいはスパイ。
この世界で言えば暗部を指揮しているのは今ここにはいないセバスンだ。
セバストとノエラもその指揮の下に今は動いてる。
リリーはそういった訓練を受けていないので今は城でメイド見習いのティナ達と仕事をしている。
「時間だ。始まるぞ」
オークション開始の時間が来た。
とはいってもオークションの間に事は起こさないだろう。
とゆうかここで荒事を起こすような連中ならもうとっくに尻尾を掴んでいる。
ここにはエルムバーンだけでなく他国の魔王であるガウル様とシャンゼ様もいる。
それだけでなく他国の大臣や大商会の代表取締役もいる。
ここで事を起こしその人達に何かあればそれら全ての国を敵に回す事になる。
そこまで考えナシの連中じゃないだろう。
盗賊団を雇うくらいはするかもしれないが。
「大変長らくお待たせしました。これよりオークションを始めさせていただきます」
オークショニアが開始を告げる。
実はというか当然というべきか前世ではこういう本格的なオークションに参加した事などなく、転生してからも今回が初なので、実はちょっと楽しみだ。
「さて、本来であればここで私の話術を披露して皆様の笑顔を頂きたいとこなのですが、皆様お忙しい中、御足労頂いてますので早速始めましょう。それではまず最初の品!魔道国グリムモアからもたらされた世界樹の枝です!」
オオオォォォ
いきなりの目玉商品の登場に会場が色めきだす。
最初に目玉商品を持ってくるとは。
「こうやって会場の熱気を上げるんだ」
「熱気が上がればサイフの紐も緩む。あとの商品も高値が期待できるというわけだ」
流石は王都のオークションを仕切る人物。
手慣れているようだ。
いや、長年やってればそういうマニュアルのような物があるんだろうか。
「それでは金貨十枚からの入札とします!入札を開始してください!」
「金貨 十!」「十二!」「十五!」
世界樹の枝はやはり人気のようだが数字はちまちまとしか上がっていかない。
みんな様子見なのかな?
「シャンゼ様が狙ってる品ですよね?」
「ええ、もちろん入札するわよ。金貨 百!」
オオオッ
「金貨 百がでました!他に居られませんか!」
オークションの入札は全て金貨を単位に行われる。
実際の支払には銀貨と使っても白金貨を使ってもいいが入札は金貨で行われる。
つまり最低でも日本円で約十万円単位だという事。
金貨百枚で一千万円という事だ。
一千万を軽く出せるとは流石魔王様。
どれだけの予算があるのやら。
「まあ、これで落ちるとは思ってないわよ」
「え、そうなんですか?」
世界樹の枝とはいえたかが枝。
金貨 百でも正直高すぎじゃないかと思うのだけど。
「金貨 百二十!」「百五十!」
「ね?世界樹の枝なんて滅多に出回らないから手に入る時に手に入れないと次はいつになるかわからないのよね。だから本当に欲しい人は御金に糸目は付けないわ。もちろん私も。金貨二百!」
シャンゼ様は冷静に判断してるように見えて実は熱くなるタイプのようだ。
それともこの熱気に充てられたのだろうか。
どちらにせよギャンブルには向いてないタイプに思える。
結局、世界樹の枝は金貨五百でシャンゼ様が落札した。
枝一本に約五千万円・・・。
本当に大丈夫なんだろうか。
シャンゼ様は落札できて満面の笑顔だが。
「シャンゼ様、かなり無理したんじゃないですか?」
「だーいじょうぶよう。フレムリーラの魔王様を舐めちゃいけないわ。ね、ユーファ。金貨で二千枚分くらいは持ってきてたわよね」
「は?私がですか?」
「そうよ、預けたわよね?」
「いいえ?私は何も・・・」
「え?」
「え?」
明るい空気が一転して重い空気に変わる。
実に嫌な予感しかしない。
コルネリアさんも護衛の騎士達もみんな脂汗を流してる。
「シャンゼ様?もしかして御金を持ってくるの忘れたなんて、そんなバカな事言いませんよね?」
「え、ええっと・・・」
「シャンゼ様?オークションで落札した物の代金を払えなかった場合は重罪なのは御存知ですよね?」
現代地球のオークションではどうだったのか知らないが
この世界のオークションのルールではそうなっている。
最悪奴隷落ちとなる。
フレムリーラの魔王相手にそこまでの事にはならないだろうが普通に金貨五百を払うよりももっと多くの金額を要求される事になるはずだ。
「ええと、アスラッド様?」
「わしが貸すわけにはいかんぞ。ここはわしの国のオークション会場だ。わしがルール違反をもみ消すような真似はできん」
「俺らはドラゴン狙いだからな。資金に余裕はない。すまんな」
二人の対応はやや冷たいように思うが二人の立場と事情を考えれば仕方ない。
シャンゼ様が仕出かしたミスだし。
「あの、ジュン君?未来の妻を助けてほしいな~なんて・・・」
手を合わせ顔と一緒に傾けてお願いをしてくるシャンゼ様。
仕方ないなあ。
「仕方ないですね。でもこれは大きな貸しですよ?シャンゼ様」
「うんうん。わかってるわ。ありがとう!」
「抱き着かなくていいですから!」
「あ、利子は私の体で払うわね」
「いや、駄目でしょ。何言ってるんです」
一国の代表たる魔王のセリフじゃないと思う。
その前に若い女性が言うべきセリフでもないか。
「あら?足りない?欲張りさんねえ。じゃあコルネリアにユーファも付けるわ。何なら護衛の子達も付けるわよ」
「それも駄目でしょ!」
ビシッと思わずツッコミを入れる。
本人の同意を得ずに何言ってるのやら。
「し、仕方ないわね、お姉さまの為なら・・・」
「シャンゼ様の御命令となれば仕方ありません」
「我々も異存ありません」
「え」
え、いいの?そんなハーレム状態に持って行っていいの?
思わず顔がにやけそうになるが必死にこらえる。
ここにはユウとアイがいるのだ。
そんな顔を見せるわけにはいかん。
お兄ちゃんだものっ
「はいはい、とにかく貸しですからね」
「もう、ツレないわねえ」
「減点ね」
「減点だね」
二人とも、それはシャンゼ様が減点なんだよね?
ボクの事じゃないよね?
「それでは続きましてはある遺跡で発掘されまして宝玉で―――」
シャンゼ様の失態が暴露されてる間もオークションは進み。
いよいよ最後の品、ドラゴンの死体・・・素材の番だ。
「さて!それでは皆様がお待ちかねの御様子なのでいよいよ今日一番の目玉であるドラゴンに登場してもらいましょう!こちらです!」
オオオオオォォォォォ!!!!
今回一番の盛り上がりをみせる会場。
素材として解体済みのドラゴンの死体が会場に現れる。
父アスラッドに目配せして周囲を警戒する。
やはり何者かが動く様子はない。
「このドラゴンはこの王都の北にある森に突如として現れ、それをあちらに居られる我が国の魔王子ジュン様一行に討ち取られた者でございます!」
う、会場の視線を一身に浴びている。
とりあえずにこやかに手を振っておく。
でもこれじゃあボクの手柄のようになってる。
確かにとどめはボクが刺したけどここにはいないフェンリルやノエラ達の手柄でもあるのに。
「まあまあ、そんな複雑そうな顔しないで」
「お兄ちゃんの手柄にしても何も問題ないわ。あの時のパーティのリーダーはお兄ちゃんなんだから」
「フェンリルがいたろう?」
「フェンリルも同じ事言うと思うけどな。手柄とか興味ないって言いそうだし」
確かにそういいそうだ。
まあ、今更訂正して回るわけにもいかないので諦めよう。
「それでは入札です!金貨 百からの入札となります!」
流石に神獣ドラゴンの素材。
スタート価格が世界樹の枝の十倍だ。
ガウル様、落札できるかな。
ガウル様が落札してくれたら後々楽なんだけど。
みんな様子見してるのか誰も入札しない。
「ガウル様、自信のほどは?」
「フフン、有るに決まってるだろう。まぁ任せておけ。金貨五百だ!」
いきなり五倍の五百を提示しますか。
競争相手の戦意をくじく作戦だろうか。
「金貨 五百がでました!さぁ他には入札はございませんか!?」
「金貨 六百!」「六百五十!」
流石に五百であっさり落ちることは無かった。
五百じゃ世界樹の枝と同じだしね。
「まあ、落ちないわな。だが計算のうちよ。金貨 千だ!」
遂に日本円で約一億円の大台に突入する。
本当に大丈夫なのかな。
「アリーゼお姉ちゃん、大丈夫なんですか?予算のほうは・・・」
「うん?大丈夫だぞ。流石に無茶な金額になったら止めるさ」
「まさか国家予算から出てるわけじゃないですよね?」
「そんなわけあるか。私達は冒険者時代にかなり稼いでいるからな。今回は全て私費で賄うつもりだ。いくら用意したのかは知らんがな」
それならいいのか。
それにしてもそんなに稼いだのか凄いな。
子供が夢見て冒険者になりたがるわけだ。
「金貨 千です!さぁ他はどうですか!ありませんか!?」
「フフン。まだまだ予算はあるぞ。この程度で落ちるのか?いささか拍子抜けだな」
まだまだ余裕があるぞ、という態度を崩さないガウル様。
これも駆け引きなのだろう。
「金貨 二千」
「なっ」
オオオオオォォォォォ!!!
いきなりの倍だ。
今まで入札してなかったがここでようやくの登場だ。
モーデフ・グラニアだ。
やはり競って来た。
「フ、フン!まだまだ余裕だぞ。金貨二千五百だ!」
「金貨 三千」
あ、ガウル様の顔から余裕が無くなって来た。
素人目でもわかるくらいに無くしてる。
大丈夫なのかな。
もはやガウル様とモーデフの一騎打ちだ。
他の人達は早々に諦めたようだ。
懸命だと思う。
「三千五百!」
「四千」
ガウル様の額にツツーと汗が流れる。
あ、これダメかも。
「金貨 四千五百だ!」
「五千です」
「ごっ、五千二百!」
もうあからさまに余裕がない。
敗戦の様相は濃厚だ。
と、思っていたが。
「ふむ。ここまでですね。降ります」
「落札!金貨五千二百で落札です!」
良かった~。
ガウル様が落札してくれないと後がちょっと面倒だったんだよね。
しかし落札したガウル様の表情は暗い。
「おめでとうございます、ガウル様」
「あ、ああ。ありがとよ・・・」
「ガウル?」
「パパ、何か隠してない?」
またしても嫌な予感。
再び重い空気が訪れる。
「ジュン」
「はい」
「未来の義父を助けてくれんか?」
ボクとアイの婚約を正式にガウル様が認めた瞬間だった。
いやまあ、今までもなんのかんのと認めてる風ではあったのだけど。
言葉ではっきりとそう言ったのは初めてだった。
「・・・いくら足りないんです?」
「・・・二百」
「・・・貸し、ですよ」
「うん・・・」
どうやら予算は金貨五千だったようだ。
自分の仕出かした事による妻の制裁を恐れてか小さくなるガウル様。
そこに魔王の威厳はなかった。
「恰好つかないな、お前」
「ガウルったら昔から今一つ決まり切らないのよねえ」
「帰ったら折檻だな」
「大減点ね、パパ」
みんなして容赦のない。
唯一ジーク君が何も言わなかったのが救いか。
まだ五歳なので理解できていないのだろうけども。
「しかし、凄い金額になりましたね。金貨五千二百枚か」
「何を他人事のように言っとる。その金の大半はお前らのモノになるんだぞ」
「あ、そっか」
ギルドから御金は貰ってないのでこの落札額の何割かがボクらの報酬となるわけだ。
「この場合は一割がオークショニアの報酬として差し引かれる。次に冒険者ギルドへ二割が上納金として納められる。残りの七割がお前達の取り分だ」
つまりボクらの報酬は金貨三千六百四十枚。
冒険者ギルドへ千四十枚。
オークショニアへ五百二十枚となるわけだ。
ボク達の報酬は全員で均等に分けるとしよう。
さて、シャンゼ様とガウル様に御金を貸した後はいよいよ本番だ。
ちなみにオークションで品を落札した者は支払いを終えるまで会場から出てはいけない。
そのルールを破った者にも厳しい罰が下される。
故に転移でぱぱっと御金を取りに行くというもの出来ないのだ。
そもそも会場内は魔法に不正や盗難が出来ないように魔法封じの結界が張られてるので
転移は最初から出来ないのだが。
オークションが終わり、参加者達は会場から去っていく。
モーデフは去り際にボクと目が合った際、軽く会釈をしたのみだった。
そこにはこれからうちの商会を贔屓にして下さいなんて気持ちはない。
もうこれで会う事はないなんて思ってるのだろう。
案外、直ぐに会う事になると思うけどね。




