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第35話 ハティは見てた

 われはハティ。

誇り高きオオカミの王である。


 て、お母さんの真似してみたけど

なんだか上手くいかないや。


 あたちがこのお城に来たのはちょっと前。

誰かが仕掛けた罠に掛かって足を怪我しちゃったの。

そこに兎のお姉ちゃんが来て罠を外してくれて。

それからご主人様に治してもらったの。


 それで御飯をくれるっていうからご主人様とけーやく?したんだよ。

そして名前をもらったの。

そしたらとっても力が沸いてきた気がしたんだよ。

ハティってとってもいい名前だと思んだよ。


 それからご主人様にはあたちの全てを見られちゃったんだよ。

御風呂?とかいう温泉のような気持ちのいいのにも一緒に入って

ご主人様の裸も見ちゃったんだよ。

体中撫でまわされたりチューされたり一緒に寝たりしたんだよ。

これはもう責任とってお嫁さんにしてもらうしかないんだよ。


 お城の人達はみんないい人達で、あたちにの事みんな綺麗だって可愛いって褒めてくれるんだよ。

頭もなでなでしてくれるし。

それにみんなご主人様みたいに頬ずりしたりチューしたりしてくるんだよ。

ここじゃ当たり前のことなのかな?


 それにこのお城ってとっても広いし

色んな人がいるんだよ。

そしてご主人様は大人気みたい。

沢山の人がご主人様の噂してる。


「ジュン様、相変わらず可愛いわぁ~」


「ねえ~将来どんなイケメンになるのかしら」


「ずっと美人なままだったりして。それはそれでアリよね~」


 て、みんなご主人様を褒めてる。

でも中には


「やっぱりジュン様が受けでセバストさんが攻めが王道だと思うの!」


「いいえ!逆よ!普段、気の強いセバストさんが普段大人しめのジュン様に攻められる!これぞ王道よ!」


 なんてよくわからない事言ってる人もいる。

その人達をみてちょっと笑ってるノエラお姉ちゃんがちょっと怖い気がするんだよ?

なんでだろう?


 それからご主人様のお父さんとお母さんもよくわからない。

普段は普通なのにたまに―—―


「ほうら熱い蝋燭をくれてやるわよ!オホホホホ!」


「ふー!ふーふー!」


「なに言ってるのかわかんないわよ!オホホホホ!」


 とかって偶にムチとか使ってやってるの。

途中でご主人様が


「今、見た光景はすぐに忘れなさい」


 て言ってあたちを連れてったけど、とっても気になるんだよ?

なんだかとっても気になるの!


 そしてお城で過ごして数日。

お母さんが迎えに来た。

お城での暮らしは楽しかったけどもう帰らなきゃ。

お兄ちゃんもお姉ちゃんも心配してるだろうし。

あれ?でもお父さんは迎えにきてないの?


『お母さん、お父さんは?迎えに来てないの?』


『む?旦那なら巣だ。お前が居なくなったのに気づかず寝ておったのでな。折檻しておいた。まだ気絶してるであろうよ』


お父さんはもう~。

かわいい娘がいなくなった事に気づかないなんて!

やっぱりもうしばらくはここにいよ。

ここは楽しいし御飯も美味しいし!


『お母さん、あたち帰らない!もう少しここにいる!』


『なに?帰らないだと?どういう事だ!』


『だってあのお城は居心地がいいし、御風呂も気持ちいいし、御飯も美味しいし~。お母さんが獲って来た御飯より美味しいんだよ?比べものになんないかも』


『ぬ、あの城の居心地がいいだと?風呂も気持ちよくて好き?風呂なら巣の近くに温泉があるではないか。飯も美味いだと?我が獲って来た飯も美味いだろ?なに、比べ物にならんだと!?ぐううぬうう』


 あ、お母さんが涙目。

ちょっと悪い事言っちゃったかも。

でもここは強気でいくんだよ!


『それにあたち、そこのご主人様とけーやくを結んだんだよ。だから一緒にいなきゃいけないんだよ』


『け、契約を結んだだと!誰とだ!そいつとか!い、いや結んだのは召喚契約であろう?ならば常に一緒にいる必要はないではないか!』


『でも~ご主人様には~一緒に御風呂に入ったり~同じ床で寝たり~体中いっぱい撫でられたり~あたちの大事なとこをジッとみられたり~チューまでされたし~責任とってもらわないと~』


『な、なんだとおおおおお!!!貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!』


 ご主人様にお母さまが怒鳴ってるけど

嘘は言ってないんだよ?


『貴様、我が娘と風呂に入り同じ寝床で眠り娘の体をさんざん撫でまわしたというのは本当か!』


 うんうん。

間違ってないんだよ。


『あまつさえ!集団で娘の大事な所をガン見し!さらには唇を奪ったとゆうのか!』


 うんうん。

嘘は言ってないんだよ?

ただ、それはご主人様だけじゃなく他にもいるけど。


『こんな小さな娘に!この変態め!』


 むむ、それは違うんだよ。

あたちはもう立派なレディーなんだよ?

だからご主人様は変態じゃないの。


『よし、殺そう。我怒った。サクっとこの国を滅ぼしてしまおう』


 あ、それはダメ!

ご主人様とリリーもいい人なんだよ?

他にもいっぱいいい人いるの!

だからダメ!


『お母さん、ダメー!』


『むう!娘よ、その紋章は!』


 あ、なんだかよくわかんないけど紋章が光ってる!

なんだか力が湧いてくるんだよ!


『お母さん!メッ!』


 カッー!て紋章が光って消えたあと

お母さんがひっくり返ってるんだよ?

どうしたんだろう。


『く、くう。まさか狼王の紋章を手に入れていたとは。この数日で一体何があったのだ』


『狼王の紋章?これはあたちにご主人様がハティって名前をくれた時に使えるようになったんだよ?』


『な、なに?先ほどから出てくるハティとはお前の名だったのか!?魂の名前を付けられたことで紋章を引き出せたのか。貴様、我が娘に名前を勝手に付けるなど!』


『お母さん!メッ!』


『ぐぬううう』


 ご主人様が狼王の紋章についてお母さんに聞いてる。

あたちもよく知らないから教えてほしいんだよ。


『くっ・・・狼王の紋章は全ての狼とその眷属を絶対服従させる力を持つ。さらに狼が持つ力を強化する。まさか全ての狼の頂点である我までも従えるとは』


 へ~そうなんだ~。

あれ?じゃあ、あたちが将来、狼王になるのかな?

お兄ちゃん達がいるのに。

なんだかちょっとめんどくさそう。

まあ今はいいんだよ。


『とにかくお母さん。あたちはしばらくはご主人様と一緒にいるんだよ。だから滅ぼしちゃダメ!』


『くっ仕方ない。娘が無事であった事で納得してやろう。だが偶に様子は見に来る。それは構わんな、娘よ』


『もちろんだよ!次はお父さんも連れてきてね!あ!お兄ちゃんやお姉ちゃんも!』


『うむ。そこのお前、ジュンと言ったか?娘を大事にせよ。さもないとどうなるか、わかるな?』


 大丈夫だよ、お母さん。

ご主人様は優しいからあたちを大事にしてくれるんだよ。


『良かろう。ではな娘・・・ハティよ』


『うん!じゃあねお母さん!』


 それでお母さんは巣に帰っていったの。

お父さんやお兄ちゃんお姉ちゃんがいないのはちょっと寂しいけど。

お母さんが来るとききっとみんな来てくれるよね。

だったら平気。ご主人様もいるし。

ハティもいつまでも子供じゃないんだよ?

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