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第283話 戦いの始まり

 『フラワー』の人達のお願いを聞いて『メグ・メル』まで行った日から数ヶ月。

特に大きな事件も無く、穏やかに時間は過ぎた。


 あれから街中に突然魔獣が出るという事件は起こっていない。だけど解決もしていない。

多分、アレはユウの推測通りに何かの実験だったのだろう。

その内、同じ事が起きると思う。規模が大きくなって。

その対策は父アスラッドと相談して、既に実施してある。とはいえ受け身な対策なので、被害は幾らか出てしまうだろう。


 パメラさんにイーノさんの二人と約束した誕生日パーティーもちゃんとやった。

二人だけじゃなく、シャンタルさんにエミリエンヌさん。ベルの誕生日パーティーも開いた。

他国の王族とはいえ、言うなれば居候なので、あまり大きなパーティーは出来なかったが。


 ディノスさんとは何度か連絡を取って情報を交換している。

彼は今、夜に家内に浸入し、女性を攫うという事件の犯人を追っているらしい。

彼は間違いなく、吸血鬼の仕業だと確信しているようだった。


 サンドーラ王国の遺跡にいる例の蛇については特に新しい事は無い。結界もゴーレムも問題なく、砦も完成した。

だけど時々、あの蛇がボクの夢に出て来るようになった。

そして早く迎えに来いと催促するのだ。

夢の中の蛇は凄い怖い。

もしも、あの夢があの蛇が見せてる夢だとしたら…とても女神様が言ってたような、優しい子だとは思えない。

やはり、封印を解く気にはなれない…


 御目出度い事もあった。

クローディアさんとオリビアさんが妊娠したとの事だ。

ダーバ王子はともかく…いや、今はもう国王になったのだが。

彼はともかく、フランコ君はボクと同い年だから十七歳にして父親になるわけだ。

クローディアさんとオリビアさんは十六歳で母親に。

早いなぁ。この世界では当たり前なんだけど。


 ついでと言っては何だけど、ブーダンビル魔王国のロミリオ君とミザリアさんの間にも子が出来た。無事に男の子が産まれたらしい。ジュリエッタさんとの間にはまだで、まだジュリエッタさんに食べられてはいないようだ。

無事に人生を全う出来るといいのだけど。


 逆に御目出度くない事もあった。

グリムモア魔道国のセラフィーナ殿下と、リヴェリー魔道国のヴァリオ殿下の婚約が破棄された。

最初この話を聞いた時、セラフィーナ殿下が有言実行して婚約破棄に持ち込んだのかと思ったけど、そうでは無かった。


 何でもヴァリオ殿下がグリムモアに直接訪問して、婚約破棄を願い出たらしい。その理由が…


「私はゲイです」


 という、衝撃のカミングアウトだった。

その言葉を聞いて喜んだのはセラフィーナ殿下だけ。

女王エヴァ様は憤慨したが、流石に妹にゲイの男性と結婚しろとは言えず。リヴェリー魔道国との縁談は白紙になった。


 そして、これ幸いとウキウキ気分で連絡して来たセラフィーナ殿下は、エルムバーンに遊びに行くから迎えに来い言っている。

エヴァ様は無視して良いと言っているので、迎えに行くつもりはないが、セラフィーナ殿下の抑えに回っていたはずの侍女さん達三人はセラフィーナ殿下側になった。


「お願いしますー!いい加減私達も結婚したいんですー!」


「セラフィーナ殿下が結婚してくれないと、困るんですー!」


「何なら私達も貰ってくれて構いませんからー!」


 と、連絡をして来た。

冷たいようだけど、自分達でなんとかしてください。


 ステファニアさんとステンナさんは、喧嘩しつつも上手くやっているらしい。

家事の殆どはステンナさんがやっていて、新妻みたいだそうだ。

本人にそう言ったら怒られたと言っていたドミニーさんの顔は楽しそうだった。


 各国から来ている、研修生達の育成も概ね順調だ。

カトリーヌさんは元々中位の治癒魔法までは習得していたので、上位の治癒魔法習得まであまり時間は掛からなかった。

マルちゃんとターニャさんの研修も終わっていたので、ヤーマン王国組は故郷に帰って行った。

オリビアさんの子が生まれたら見に行くと言ってあるので、また近い内に会う事になるだろう。


 シャンタルさんとエミリエンヌさん達、セイレン魔王国組の育成はエミリエンヌさん以外は順調だ。

エミリエンヌさんも適性は確かにあるのだが、エルムバーンの生活が楽しくて訓練に今一つ実が入ってない。

というより、研修が終わればセイレンに帰る事になるので、それを出来るだけ先延ばしにしようとしてる節がある。

姉のシャンタルさんは真面目な性格なので訓練は真面目にやっているのだが、エミリエンヌさんと同じ気持ちのようだ。


 一応、治癒魔法育成の研修生として滞在しているイーノさんも中位の治癒魔法までは習得した。

『魔王の紋章』を持ってるだけはあって、他の人と比べると格段に早い。


 何だかんだと、引き続き滞在中のパメラさんも下位の治癒魔法は習得。

中位の治癒魔法習得までもう一歩と言った所だ。

サンドーラ王国での一件以後、パメラさんのアピールが激しくなったのが少々困り物だ。


 少々、意外な才能を見せたのがベルだ。

ベルもパメラさんと一緒に治癒魔法の習得訓練をしていたのだが、下位の治癒魔法はあっと言う間に習得。

他国からの研修生の中ではダントツの早さで中位の治癒魔法まで習得してしまった。

ベルも、他の人より優れた自身の才能を発見した事が嬉しくてたまらないらしく、精力的に訓練に勤しんでいる。


 と、まぁ。

そんな事があったこの数ヵ月。

今日も今日とて穏やかに過ごしている。

そして今日はティナとニィナの誕生日だ。


「「「誕生日、おめでとう!」」」


「ありがとうなのー!」


「ありがとうございます」


 二人は今日で十五歳。

この世界では成人年齢になったわけだ。

まぁ、ボクからしたら全然子供なのだが。


「二人共、大きくなったわよね~」


「ほんと。初めて会った時はかなり痩せてたもんね」


「アイ様、ユウ様。私達、一応御二人より年上なんですけど…」


「まるで二人の方が年上のお姉さんみたいな感じだったな!あ、感じでした!」


「まあ、私達よりアイ様とユウ様の方がずっと大人っぽいですけど」


「でも身体は私達の方が大人っぽいの!胸とか御尻とか!」


「ティナ、あんた…」


「いい度胸してんじゃない…」


「はいはい、今日の主役に殺気を向けない」


 だけど確かに、ティナ達は大人っぽくなった。

背は160cmに届いたし、胸だって…


「ジュン様?何処を見てるんですか?」


「いや、別に?特定の部分じゃなく全体を見て、大きくなったなぁとね」


「ほんとーですかぁ~?」


「ニィナさん、ジュン様をからかっちゃダメですよ」


「いやいや、レヴィ。これは重要な事なの。ジュン様が見たいって言えば全て見せなきゃいけないんだし」


 レヴィさんは今年十四歳。アイとユウと同い年。

ご両親ともども、城での生活に慣れたようで、すっかりメイドらしくなった。

並行して行っていた神獣フェニックスの力を使う訓練は難航していたが、フェンリル一家の協力もあって今では問題無いらしい。

名実ともに神獣フェニックスと同等の存在になったわけだ。


「ジュン様はそんな命令しませんよね?」


「当然、しませんよ」


「でも、見たいか見たくないかで言えば?」


「当然、見たいがな!」


「「「「えー…」」」


 いや、普通でしょ。

命令して脱がせるなんてしないけど、見たいか見たく無いかで言えば、見たいのが普通。

そう、至って普通。ノーマル オブ ノーマル。


「ジュンお兄ちゃんは何が見たいの?」


「ルシールさんに教えて貰いなさい、ベル。ルシールさんも同じで見たい人だから」


「わ、私ですか?」


「ルシール、何が見たいの?」


「ええと…それはですね…」


 ルシールさんが何て答えるのか、興味はあったけど、その機会は失われた。


「あ…」


「どしたの?アイ」


「ヤバい予知を見た。久々の『先見の紋章』の予知だよ」


「ヤバい予知?内容は?」


「ジュン!此処に居た!今すぐヴェルリアに連れてって!」


「アイシス?セリアさんも…」


「もしかしてセリアも予知を見た?」


「うん。アイ様も?」


「見たわ。ヴェルリアの王城が燃える様を」


「私も同じ予知を見た。それも直ぐに起こる未来」


 ヴェルリアの王城が燃える…カタリナさん達が危ない!


「ティナ、ニィナ。誕生日なのにすまない。ボク達はヴェルリアに行く。アイ、ユウ。急いで準備。ノエラ、リリー、親衛隊に連絡して…いや、お父さんに連絡して警戒態勢に入ってもらって」


「はい、直ちに」


「はいですぅ!」


 遂に始まったのかもしれない。

戦争が…兎に角、先ずはヴェルリアへ行ってカタリナさん達を助けないと。

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