第276話 フラワー 8
誤字脱字報告ありがとうございます。
「完敗です、ジュン様。まさか一撃も当てる事が出来ないなんて、思いもしませんでした」
「ハハ…傷つくのも女性を傷付けるのもイヤですから。出来るだけ傷付けず、母が納得するように勝つ事に全力を尽くしましたよ」
「…そうですね、私に怪我をさせる事無く勝ってしまいましたね…圧倒的実力差が無いと出来ない事です」
スピリットオーブの攻撃はアネモネさんが躱してくれたからだけど。
まぁそれは黙っておこう。
「お疲れ、ジュン!」
「カッコよかったわよ~ジュン」
「やっぱりお兄ちゃんは最高!」
皆、それぞれに賞賛の言葉を述べてくれる。
気になるのはママ上の評価だが、カッコよかったなら大丈夫か?
「それでお母さん。カッコよかったという事は?」
「勿論。お仕置きは無いわよ~。御褒美もちゃんとあげるから~」
「よっし!」
思わず、ガッツポーズをとってしまう。
オカマさんに囲まれる事は回避出来たし、スケスケドレスの美女達を見る事が出来る。
まさに天国と地獄の分かれ目だった。
「うう…ジュン殿がカッコよかったのは認めますが…本当にあのドレスを私が着るんですか?」
「いいじゃな~い。見せるのはジュンだけでいいから、御願いね?イーノちゃん」
「うう…」
「そんなに恥ずかしいドレスなの?イーノさん」
「パメラは見てなかったかな…水着よりずっと恥ずかしいよ…」
「そ、そう…」
「そ、そんなドレスがあるんですか?」
「なにそれ、楽しそう!」
エミリエンヌさん以外はスケスケドレスを着るのが不安そうだ。
申し訳ありませんがボクは非常に楽しみです!
「ところで全員分のドレスがあるんですか?」
「そ、そうですよエリザ様!ドレスが無ければ着る事が…」
「だーいじょうぶよ!こんな事もあろうかと!ちゃんと全員分のドレスを用意してあります!予備もあるから『フラワー』の皆も大丈夫!」
流石です、ママ上。
こんな事もあろうかとって、こんな事態を予想してたんですね?
「あ、そうでした。私達も負けたから着ないとダメでしたね」
「凄く不安ですわ…」
「仕方ないんじゃない?それにたかがドレスを着るだけだし」
「御願いもしなきゃだしね」
「そうですね。ジュン様達こそが私達の探していた人達で間違いありません」
どうやら、彼女達が強者を探してSランクパーティーに戦いを挑んでいた理由を話てくれるらしい。
お願いを聞くかどうかは、内容次第だけど。
『フラワー』の人達の話を聞くため場所をボクの部屋へ。
聞く人は極力少なくして欲しいとの事なので、アイシス達も除いた『マスター』のメンバーだけで話を聞く事に。
「先ずは私達の我が儘に付き合って頂き、有難う御座います」
「いいよいいよ!ウチも楽しかったし!」
「アイが答えるんだね…まぁいいけど。それで?聞かせて頂けるんですよね?強者を探してた理由を」
「はい。私達、妖精族の故郷、『メグ・メル』を救って頂きたいのです」
「妖精族の故郷?」
『メグ・メル』?そんな国か街が有ったかは置いておくとして。妖精族の国や街なんて聞いたことが無いが…
「すみません、その『メグ・メル』という国も街も、ボクは知らないのですが…」
「知らないのは当然です。妖精族以外で知っている者は世界中でもごく僅かですし」
「妖精族でも知らない者が多い、隠れ里のような場所ですわ」
「隠れ里…それで、救って欲しいとは?」
「はい…『メグ・メル』に現れた魔獣を倒して頂きたいのです」
「五十年前…突如として現れたその魔獣は『メグ・メル』を荒らし、暴れましたの」
「その魔獣の力は強大で…戦う力を持つ妖精は総出で戦いましたが倒す事はおろか、傷つける事すら…」
「ですが『メグ・メル』を治める妖精の女王様が、自分諸共封印する事で、何とか滅亡を回避出来たのです」
「そして、その封印も永遠ではありません。いずれ封印は解ける。その前に…」
「その魔獣を倒す事が出来る者を見つける必要があった、と」
「はい。そしてジュン様達こそが奴を倒す事が出来る力を持った戦士です」
「どうかお力をお貸し下さい」
さて…どうするか。
いや、まだ幾つか確認しないとダメだな。
「幾つか質問しても?」
「はい。どうぞ」
「強者を探していた理由は分かりました。ですがそれなら、どこかの国に協力を求めるとか、数を揃えて倒すという事も出来たのでは?」
「『メグ・メル』は国家というわけではありません。女王様は居ますが国という体は成していないのです。従って国に協力を求める訳にはいきません」
「次に数を揃えて…というのは可能ですわ。ですが、それだと犠牲が数多く出るでしょうし、多くの人に隠れ里の場所を知られてしまいますわ」
「冒険者を大勢雇って倒すのは最終手段となってます」
「…では次に貴女達は何故、エルムバーンの冒険者に?その隠れ里はエルムバーンに有るのですか?」
「いいえ。エルムバーンから遠く離れた場所に『メグ・メル』はあります」
「私達の担当がこの辺りだった、というだけですわ」
「担当?」
「はい。世界中を探して強者を見つけるのは私達だけでは無理がありますから」
「各方面に、妖精達は散って強者を探しています。今も」
「探し方はそれぞれのやり方に任せる事になってまして」
「私達の場合は、冒険者から探すなら冒険者になるのがいいという事で。幸い戦う力は持ってましたし」
「まさかSランクにまでなっちゃうとは最初は思ってなかったけど」
彼女達の強さは本物だ。
きっと冒険者になってからの五十年でかなり強くなったのだろうけど…それでも、彼女達ではその魔獣は倒せない、という事なんだろうな。
「その魔獣はどんな魔獣ですか?『フラワー』の皆さんが勝てない相手となると、相当な強さだとは思いますが」
「一言で言うなら、木で出来たドラゴンです。名前は分かりません」
「世界各地の伝承等も調べてみましたが、それらしい情報はありませんでしたわ」
木で出来たドラゴン?ボクも聞いたことが無い。
「ユウ、解る?」
「ダメ、解らない。新種の可能性が大かも」
ユウの『賢者の紋章』でもダメか。
なら確かに新種の可能性が高いのか…
「他に何かその魔獣の情報は?大きさとか」
「大きさ…どの位かしら?」
「マウンテンバッファローよりは大きいね」
「そうね、それくらいね」
「後は…再生能力が高いですわ」
「それと、ドラゴンですから勿論、ドラゴンブレスがあります。レッサードラゴンのブレスとは比較にならない威力でした。ですので、あの魔獣は少なくとも幻獣、もしかしたら神獣並のドラゴンという事です」
「アレがドラゴンなら、ですが」
幻獣か、神獣に相当する力を持った魔獣か。
よくよく、そういう存在に縁があるなぁボク達。
こないだの蛇でもうお腹いっぱいなんだけど。
「どうか、お引き受けください」
「女王様をお救いする為にも…」
「御礼に私達に出来る事なら何でもします」
「抱かれる覚悟だってありますわ」
「だから、お願い」
大体、聞きたい事は聞けたか?
あ、いや。まだあるな。
「その隠れ里、『メグ・メル』は、何処にあるんです?」
「えっと…エルムバーンから見てずっと西です」
「それじゃ分かり難いでしょう。地図はありますか?」
「はい。…どうぞ」
「えっと…この島です」
「「「遠っ!!」」」
アネモネさんが指差した場所は、現代地球で言えばアイルランド。未だかつて行った事のない遠方の国だ。
転移出来る場所で一番近いのはヤーマン王国だが、そこから進んでも数ヶ月はかかるだろう。
「確かに遠いですよね…」
「私達がエルムバーンに来るのも一年以上は掛かりましたからね」
「ですが、御安心を。妖精族が使える妖精環輪という移動手段がありますの。それを使えば戻るのは一瞬ですわ」
「私達と一緒なら、ですが。一種の転移魔法だと思って下さい」
なら、移動は問題無いか…帰りはボクが転移魔法を使えばいいし。
「という事らしいけど、皆の意見は?」
「良いんじゃ無い?助けてあげても」
「お兄ちゃんが決めていいよ」
「私達はジュン様に従います。御随意に」
まぁそう言うと思った。
なら、遠慮無く決めさせてもらうかな。
「分かりました、行きましょう。ですが一つ…いや二ついいですか?」
「はい。何でしょうか」
「もしも、ボク達が無理だと判断したら討伐は即刻中止。身の安全を最優先とさせてもらいます。それはいいですか?」
「無論です。ジュン様達の身は私達が御守りします」
「ボク達は大丈夫です。自力で逃げれますから。アネモネさん達は妖精達の安全を最優先で構いません。次に、アイシス達も連れて行っても構いませんか?」
「アイシス…ヴェルリアの勇者ですね?」
「はい。彼女達は強い。ボク達と行動をよく共にしてますし、信頼出来る仲間です」
うっかり勇者なアイシスが口を滑らせないように、よっく言い含めないとダメだけど。
「…分かりました。勇者が来てくれるなら、こちらとしても心強いです」
「なら、明日か明後日にでも行きましょう。妖精達の隠れ里『メグ・メル』に」
「はい。…有難う御座います、ジュン様」
「感謝しますわ」
「じゃ、ドレスを着ましょうか」
「あ。そうでした」
「私、ドレスなんて着た事無い」
その後。
スケスケドレスを着た美女達に囲まれた至福の時間を過ごした。
何故かルシールさんまで参加して、鼻血を出してた。
まさかとは思いますが、スケスケドレスの美女を見る為に、自分も参加したわけじゃないですよね、ルシールさん?
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