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第265話 この親子はダメすぎる

「大陸を喰らう蛇…」


「ええ、石碑にはそう書かれていました」


「世界が滅ぶ…そりゃ、あんなのが暴れたらそうなるだろうねぇ」


 ダンジョンから出た後、『ファミリー』を初めに冒険者達にあの蛇の事を説明中だ。

石碑に書かれていた、後半部分。

封印の解き方云々の部分は伏せてある。

おかしな欲を持たれても困るからだ。

尤も、まともな人ならアレを解き放とうなんて考えないだろうけど。


「それで、厳重に結界を重ねがけしてゴーレムで警備ね」


「でもよ、これだけやってもまだ不安だよなぁ」


「ああ。魔獣を見て恐怖するなんて、随分久しぶりだ」


「アレは魔獣の域を遥かに超えた存在だと思うけどねぇ」


 『ファミリー』の人達の意見に同意だ。

下手をすれば神獣すら超える存在かもしれない。


「そんで?魔王子さん達はどうすんだ?」


「ボク達はサンドーラやヴェルリアの王に報せます。早急に話し合う必要があるでしょうから」


「そうかい。じゃ、俺達とは此処でお別れだな」


「あぁ、そうだ。『フラワー』の連中があんた達に会いに行くって言ってたよ」


「…そうですか」


 確かSランクパーティーに闘いを挑んで回ってるんだったか。

やっぱり眼をつけられちゃったか。


「その様子だと、『フラワー』の噂は聞いてるみたいだね」


「はい。ギルドマスターから聞きました」


「そうかい。まぁ魔王子さん達なら、アイツらに勝てるだろうさ」


「『ファミリー』も闘ったんでしょ?どうだったの?」


「俺達は負けちまったよ」


「親父とお袋は勝ったけど、俺っち達が負けて二勝三敗でよ」


「…次は勝つわ…」


「ああ、次は勝つ」


 両親は勝って、兄妹は負けたか。

そして兄妹はリベンジをするつもり、と。


「因みにどのような勝負を?」


「模擬戦だよ。かなり実戦に近い」


「戦闘不能にするか、相手に負けを認めさせるかの勝負よ」


「どうして『フラワー』の人達は勝負をふっかけるのか、聞いてます?」


「いんや。聞いても答えてくれなかったんよ」


「まぁどうせ碌な理由じゃないわよ」


「只の戦闘狂かもしれん」


 いやだな、そんなSランクパーティー。

しかも女性のみのパーティーで。


「ま、あんた達なら勝てるだろうさ。軽く捻ってやんな」


「じゃあな!また何処かで会ったら宜しく頼むぜ!」


「はい。こちらこそ」


 『ファミリー』と他の冒険者達とはそこで別れた。

彼らはタリスで報酬を受け取る事になっている。

ダンジョン内では誰も宝と呼べる物は発見出来なかったらしい。


「じゃ、転移するよ」


「「「は~い」」」


 サンドーラの王城で待っていたユーグ陛下とアンナさんを交えてオーギュスト陛下に結果とレヴィアタンの事を報告する。

会議には第一王子のクラース殿下と、サンドーラの大臣達も参加している。ボクの傍にはセバストとノエラが控えている。

冒険者に話したのと同じように、封印の解き方は話していない。


「何と言うか…大陸を喰らう蛇だと?想像もつかんな」


「ジュンちゃんから見て、どのくらいの存在だったの?」


「アレが解き放たれたなら世界が滅ぶというのは事実だろうと確信出来る程ですかね」


「何と…ジュン殿がそう感じる程か…」


「危険ね…」


「そんなモノが我が国に…ジュ、ジュン殿、何とかなりませんか?」


「今言ったように、結界を張ってゴーレムに守らせる以上の事は出来ませんね。仮にあの蛇を滅ぼせるだけの戦力を用意出来たとして。封印を解かないと、それも無理ですし。そもそもアレがどんな能力を持ってるのか、どのくらいの戦力があれば倒せるのか、全てが不明です。確実に言えるのはアレが解放されたら、サンドーラは確実に壊滅的打撃を受けるでしょう」


「そんな……時に、ジュン殿は転移魔法を使えるとか?」


「は?あ、ああ、はい」


「もし、その蛇の封印が解けた時は我々を助けに来て頂けますか」


「え?ええ、まあ。しかし、出来るだけの人を救いたいとは思いますが、ボクの転移魔法では一度に二十人程度しか転移出来ません。とても全てのサンドーラ国民を逃がす事は…」


「充分です。我々は助かるのでしょう?」


「は?」


「先ず最初に私達王家を。次に家臣とその家族をお願いします」


「それはつまり…国民を見捨てて先ず自分が逃げると?」


「み、見捨てるとは人聞きの悪い。先ず王家が逃げねば下の者達が逃げれないでしょう」


「そうですね、父上。王家無くして国は成り立ちませんから」


 ダメだ、こいつら。

現国王と次期国王がこれじゃ…大臣達も咎める処か当然という顔だし。せっかくヴェルリアとの戦争は回避出来たのに、サンドーラの未来は暗そうだ。


「どうかされたかな、ジュン殿」


「いえ。オーギュスト殿のベルナデッタさ…殿への教育は正しかったんだな、と。思っておりました」


「そうでしょうそうでしょう。これからはより一層ビシバシと躾ていきます」


 皮肉も通じないか。

もういい。伝えるべき事は伝えたし、後は…


「ユーグ陛下、アンナさん。そろそろ…」


「ごめんね、ジュンちゃん。もう少しだけ待って。オーギュスト様、ベルナデッタちゃんはパメラちゃんと一緒にいる事を望んでます。今回、彼女の行動に報いる意味でも、叶えてあげたいのですけど」


「それは…いや、しかし、ベルナデッタはまだ子供ですし…」


「よいのではないですか、父上。幸い、ベルにはまだ婚約者はいませんし」


「どういう事だ?」


「ですからね…」


 オーギュスト陛下とクラース殿下はチラっとこちらを見ながら小声で話をしてる。

イヤな予感がする。何か勘違いしてそうな…


「そういう事か!」


「ええ、そういう事でしょうね」


「いやいや!こちらは歓迎ですぞ、ジュン殿!」


「はい?何がです?」


「パメラ…パメラ殿はジュン殿の下に居られるのでしょう?」


「え?ああ、まぁ。ボクというかエルムバーンに滞在という形ですが?」


「ならベルナデッタもエルムバーンに行くという事でしょう?つまり、ベルナデッタを婚約者に欲しいと!いやいや!まさかあのベルナデッタがジュン殿を射止めるとは!」


「いやいやいや」


 なんじゃそりゃ。

なんでそうなる。あ、いや…そういえばルシールさんもそんな噂があるって言ってたか。

パメラさんはボクが略奪したとかなんとかって。

それでボクとパメラさんは恋仲にあると思ってるんだろうか。

女好きとも思ってそうだな…


「オーギュスト様?そういう事では…」


「違うのですか?しかし、王族の娘を連れて行くというのはそういう事でしょう?」


「エルムバーンとの縁談ならば、サンドーラにとっても利益のある話。こちらは何も不満はありませんし。そうだ、ジュン殿。もし望むならあと二人の妹も如何です?」


「おお!それは良い!メラニーもまだ婚約者がいないし、マルグリットの婚約は破棄してしまえば…」


 ダン!!!っと。

思わず力一杯に机を殴りつけてしまった。殴りつけた所が砕けてしまったが…気にする必要はないな。

こんな奴ら放っておいて、皆のとこに戻ろう。


「ジュ、ジュン殿?」


「失礼。気分が優れませんので、退室させていただきます。ユーグ陛下、アンナさん、すみませんが後は御願いします」


「うむ。任されよう」


「ごめんね、ジュンちゃん。私達もすぐ行くから」


 全く…本当にダメだな、サンドーラ王家は。

いや、ダメなのはあの二人だけかもしれないが、トップの二人があれじゃあ…


「ごめんね、二人共。見苦しいとこを見せたね」


「いえ、ジュン様。ジュン様がお怒りになるのは無理もないと思います」


「だよなぁ。縁談の話は何時もの事だが、それまでの発言も問題あったからな」


「その通りです。現国王と次期国王があれでは…サンドーラの未来が思いやられますね」


 会議中、ずっと黙っていたノエラとセバストも同じ感想らしい。

この際パメラさんはともかく、ベルナデッタさんと恋仲になるわけが無いだろう。

十一歳の子供相手に…全く。

…十六歳と十一歳は、今はともかく数年後にはバランスはとれてるかもしれないが。

中身が大人なボクは十一歳の子供に恋心を抱いたりしない。

ボクはロリコンじゃないしな。

断じて違うんだからね!

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