第260話 地下遺跡 1
ブラドと通信をした翌日。
ベルナデッタさんとルシールさん。
ユーグ陛下とアンナさん達を連れてサンドーラ王国へ。
ダンジョンという危険な存在に関してと、急な訪問な事もあって歓迎の宴などは無く、直ぐさま会議となった。
何故かボクも参加して欲しいと言われ、会議に参加する羽目に。
「まず始めに、我らが至らぬばかりに、ヴェルリア王国やエルムバーン魔王国の皆さんに、多大なる負担をお掛けした事、深く謝罪します。誠に申し訳ない」
この四十代半ばに見える男性がサンドーラ王国の現国王、オーギュスト・ドゥ・サンドーラ。
ベルナデッタさんの父親だ。
「それから、我が娘、ベルナデッタを救って頂いた事も重ねて御礼申し上げる」
「それらに関してはベルナデッタさんとルシールさんを褒めてあげてください。あの二人の行動があればこそ、我々が動く事が出来たのですから」
「はい。引きこもってるだけの、王族の娘としてはどうしようも無い娘だと思っていましたが…まさかベルナデッタに国を救われるとは、想像もしておりませんでした。これならもう一度王族としての教育を再開してやってもいいかもしれません」
「教育を再開?」
「ええ。ベルナデッタは何をやらせても並以下で…唯一まともなのは弓ですが、それも凡人。根性も無く部屋に引きこもるようになるまであっと言う間でした。サンドーラ王家の恥さらしとまでは言いませんが…正直困った娘でした」
なんだろう、この人。
実の娘に対して愛情が薄いというか…聞いててムカムカするんだが。
「ベルナデッタさんは優しく、強い子だと思います。まだ子供なのに、ルシールさんとたった二人で家族や国を救う為に行動されたのです。たとえ武術や魔法が人より出来なくても、彼女は立派な王族…いえ、立派な人だと思います」
「国の為に動くのは王族として生まれた者なら子供でも当然の事です。まぁ今回は褒めてやりますが」
「貴方は…」
「ジュンちゃん。オーギュスト様、ダンジョンについて話を進めましょう」
「そうだな。また魔獣が集まってあふれ出す前に対策を打つべきだろうからな」
ユーグ陛下とアンナさんも不快なのか、それともボクが不快に感じてるのを察知したのか。
早く会議を終わらせるように話を進め始めた。
「そうですな。サンドーラとしてはダンジョンから漏れ出る魔獣の対処を軍が。ダンジョンの攻略はAランク以上の冒険者パーティーを雇って対処しようと考えております」
「サンドーラにいる冒険者パーティーにSランクパーティーはいるのですか?」
「居ません。我が国にいる冒険者パーティーはAランクが最高です。ですが、魔獣の異常発生を聞きつけたのかエルムバーンのSランク冒険者パーティー「ファミリー」の方々が来られてましたので急遽雇い、参加してもらう事になりました」
「え」
Sランクパーティー「ファミリー」というと…リーダーのコズモさん率いる家族で構成されたパーティー。
シーサーペント討伐で会って以来か。
「合計で何組のパーティーを雇うのだ?」
「合計で十組です。報酬はダンジョン内で発見した物とパーティー毎に金貨百枚」
「少ないのでは無いか?いくらSランクパーティーが居るとはいえ、ダンジョンの攻略だぞ?」
「ではヴェルリアからも戦力を出して頂けますか?報酬はお支払いしますので」
「…そうだな。今から連れて来るとなると時間が掛かる。ヴェルリアからは連れて来れそうにないな」
「ユーグ、アイシスちゃん達に参加してもらうしかないと思うわ」
「アンナ…いや、しかしだな」
「ダンジョンは国で対処しなければならない。そして同盟国とは協力しなければならない。そう盟約を結んでいるんだもの。何もしないわけには行かないわ」
「…わかった。ヴェルリアからは勇者アイシス達に参加してもらうとする」
アイシス達が参加するとなると…ボク達もか。
一部反対されそうだが…アイシス達が参加するなら知らん顔も出来ないし。
「ならボク達も参加します」
「いいの?ジュンちゃん。正直期待してたけど…」
「ええ。エルムバーンもダンジョン攻略に協力しますよ。それでダンジョンの規模、中にいる魔獣の種類や強さ等、何かわかっている事は?」
「ダンジョンの規模は正確には不明。しかし、大規模な地下遺跡だという話です。中にいる魔獣の多くは蛇系。今、少しずつ我が軍で減らしてはいますが…」
芳しくない、と。
ダンジョンの魔獣を減らすとなると天馬騎士団は使えないのだろうし、仕方ないか。
「それでは、ボク達も準備に入ります。終わり次第、現地に向かいますので」
「はい。よろしくお願いしますぞ」
「オーギュスト殿も、ベルナデッタさんとルシールさんを褒めてあげてくださいね。普通に」
「? はぁ」
ダメだ、わかってないな、この人。
余計な事言わないで普通に褒めてあげて欲しいのだが。
「…では、我々も失礼する」
「私はあとでベルナデッタちゃんと御話しに行きますね」
ユーグ陛下とアンナさんも退室する。
疲れた表情から読み取れるのは「ダメだ、こいつ」といった感想だ。
「…以前から、あのような感じなんですか?サンドーラ国王は」
「いや…どうであったか。パメラが嫁ぐ前も後もあまり付き合いは無かったのだ。しかし、国を救った娘に対しあの言動。好きになれそうにはないな」
「そうね…ジュンちゃんが怒るくらいだもんね。それより、本当にジュンちゃんも参加していいの?ダンジョン攻略に」
「ええ。アイシス達が参加するなら、無視できませんしね。ボク達も一応、Sランクパーティーですし」
「ありがとうねぇ。今回は何から何まで…ジュンちゃん達にはヴェルリアからも報酬をあげるからね」
「そうだな。余が責任を持って用意しよう」
「ありがとうございます。それじゃ戻りますか?」
「ううん、私はベルナデッタちゃんと話があるから。あの様子だと、本当にパメラちゃんと一緒に居た方がいいかもしれないし」
「ならば余も付き合おう。まだベルナデッタ殿に礼を言ってないからな」
「なら、ボク達は準備に戻りますね」
「うむ。我らはジュン殿達が戻られるのを此処で待たせてもらう事にする」
「ベルナデッタちゃんの事は任せて。オーギュスト様が余計な事言ってもフォローしておくわ」
「あ、それは本当に御願いします」
わかってない感じだったし、多分余計な事を言うだろう。
ベルナデッタさんが引きこもりになった原因はあの人にあるんじゃないかな。
それから別室で控えていた皆と合流して、準備を整え。
タリスからダンジョンの入口へ。
ダンジョンの入口は森の中にある岩が円形状に並んだ中央に、地下に降りる階段がぽっかりと開いてる感じだ。
ダンジョンの入口には複数の冒険者パーティーが既に集まっており、ボク達を除いて四十人から五十人が集まっている。
その中にコズンさん達「ファミリー」の姿もあった。
「よう!こいつは奇遇だな!」
「ええ。お久しぶりです、『ファミリー』の皆さん」
「あんた達も参加するのかい?」
「そ。よろしくね」
「『ファミリー』はサンドーラの近くで仕事でもしてたの?」
「そうだ」
「偶々、隣の国の大規模な盗賊団を殲滅する依頼を受けてたのよ」
「で、ダンジョンがあるかもしれないって噂を聞いて、駆け付けたってわけさ!」
「そうですか。じゃあ、今回は仕事仲間ですね」
「おう!よろしくな!」
「未知のダンジョンじゃ助け合いが大事だからね」
「はい。よろしくお願いします」
今回は前回の地下墳墓と違って魔獣が出る。
罠もあるかもしれないし、気を引き締めていこう。




