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第245話 世界樹の実 1

「それじゃ、ティータさん。ありがとう御座いました」


「ギブアンドテイクだから。気にしないで」


「セラフィーナ殿下も、お幸せに。結婚式には出れないでしょうけど」


「つれない奴だな、君は。素直に私と結婚したいと言えばよかろうに」


「とっても素直な気持ちを言ってると思いますよ、ジュン様は」


「やっぱり胸が大きい人が好みなんですよ、ジュン様は」


「セラフィーナ様と、ティータ様は好みじゃないって事ですね」


「やかましいわ!」


「私は関係ない」


 ユウの新薬開発失敗事件の翌日。

セラフィーナ殿下達をグリムモアに送り届けた。

セラフィーナ殿下はボクとの結婚を、まだ諦めていないらしい。

婚約者は別にいるんだから、早急に諦めてください。


「ジュン殿、この度は大変御世話になりました」


「いいえ、こちらこそ」


「ジュン、世界樹様から伝言だ。『また何かあったら助けてね。逆にして欲しい事があったら言ってね』との事だ」


「声真似、御上手ですね…」


「ふふふ。私の数多い特技の一つだよ」


「…えっと…それで、これをどうぞ。通信用魔法道具です。こちらの物との専用です。何かあればこれで連絡を」


「はい。分かりました。…テレサ様は不満でしょうね」


「心配無い。大御祖母様は近々巫女の座を降りる。いくら巫女とはいえ、今回の暴挙はお咎め無しとはいかないからな」


「そうですか…」


「ジュン、君が気にする事は無い。君は被害者なのだから」


「そうですよ、ジュン殿」


 まあ、その辺りの事はボクが口を出すべき事じゃないし。

ただ、ちょっとテレサ様が元気無くしそうだな、と思っただけだ。


「…はい。では失礼します」


「うむ。また会おう、ジュン」


「ジュン殿!リヴェリーの王子との婚約は破談にしてみせるから!心配するな!」


「何とか食い止めてください、女王様」


「はい。任せてください」


「御安心ください、ジュン様」


「私達の為にも、諦めて貰いますから」


「私より胸が大きくなってから言いましょうね」


「胸は関係ない!」


「ハハハ。それじゃ」


 転移で自室へ戻る。お次は神様通信だ。


「で、世界樹に干渉してたのは、やっぱり例のバカ神で?」


『間違いないのぅ。あの馬鹿くらいしか、こんな事する奴はおらぬわ』


「ということは、この世界に狙いを定めたという事ですか?」


『それがそうとも限らんのじゃ』


「というと?」


『お主らがいる世界とは別の世界にも、馬鹿が手を出す可能性があるから、そちらにも転生者がいる。という話はしたな?』


「ああ、はい」


『別の世界からも、馬鹿の干渉と思しき事例の報告が来ておる。まだ何処が狙われているかは断定出来ん』


「つまり…」


「まだ殆ど何も分かってない」


「という事?」


『そうでもない。奴が狙っている世界は三つの世界のいずれか。そこまでは絞れた』


「…その三つの中にボク達の世界は…」


『入っとるな。残念ながら』


 やっぱりなー。そういう当たらなくていいクジは当たっちゃうもんだよね。


「じゃあ次の質問です。ボク達、やたら珍しい魔獣やら新種の魔獣に出くわしたりするんですけど、それってバカ神が関わってると思います?」


『可能性はある。世界の要を探す為に、その世界において唯一の存在に干渉した結果、目覚めさせたり、巨大化させたり、進化させたり。そういう事はあるじゃろう』


「進化?」


『お主らの世界では変異種とか新種等と呼んでいるのじゃったか?その事じゃ。お主らがよく出くわすのは何とも言えんな。ただの偶然かもしれんし、バカ神がお主らの存在を知ってちょっかいをかけてるのやもしれん』


 どっちだとしても嫌だけど…


「後者なら拙いんじゃないですか?」


『大丈夫じゃ。その為の加護じゃ。あの馬鹿がお主らの存在を知っていたのだとしても、直接干渉する事は出来ん。せいぜい魔獣をけしかけるくらいじゃ』


「十分迷惑だよね、それ」


「早く何とかしなさいよ。神様でしょ」


『う…神様として敬っておらんくせに…』


「そんな事は無いですよ」


 神様だとは思ってるし、転生して貰った事には感謝してる。

でもまぁ、それはそれ、これはこれ。


「最後の質問ですけど、神様が作った武具を人に与える事があるんですか?」


『たま~にあるのう。なんじゃ?何ぞ欲しい物があるのか?』


「いえ。特には」


「え~。折角だから何か貰おうよ、お兄ちゃん」


「そうね…ウチは電動ミシンとか欲しいな」


『無茶言うな。そんなもん用意出来るか』


 まあ、この世界には発電システムとか無いし、貰ったとしても使えないでしょ。


「まぁ、あまり神様を当てにしすぎるのは良くないよ、きっと。どうしても、それしか方法が無いってなるまでは頼らないでおこう。祝福を貰っただけで今は十分だよ」



『真面目じゃのう、お主は。それじゃ、またの』


「ええ、それじゃ」


 バカ神捜索も少しは進展があったようで何より。

さて、次に決めるべき事は…


「この世界樹の実をどうするか、だね」


「食べるんじゃないの?」


「売るわけにもいかないだろうしね。問題は誰が食べるか、だね」


 売りに出せばとんでもない額で売れるだろうけど…騒ぎも起こるだろうし、身内で食べるのがいいか。


「一人一口でいいらしいから、結構な人数が食べれそうだけど…」


「そこそこ大きいしね。でも親衛隊全員は無理だね」


「なら、力が目覚めるかもしれないってのは隠して、いつものメンバーとハーレムメンバー候補で食べればいいんじゃない?」


「誰のハーレムメンバー候補だ、誰の」


「まぁまぁ」


「まぁ無理に決めなくても保存は出来るんだし、とりあえず一口サイズにカットして、いつものメンバーは食べちゃおうよ」


 それが無難かな。それにどの程度の効果があるのか、確認してからがいいだろうし。


「じゃ、一口サイズに切るよ」


「「は~い」」


 一口サイズに切り分けられた世界樹の実は全部で…80個くらいにはなったか。


「じゃ、皆を集めようか」


「うん」


 というわけで集められた、いつものメンバー。

皆、テーブルの上の黄金の果実に興味津々だ。


「ジュン様、これは?」


「オレも知らない果実みたいだが…」


「うん。説明するね」


 世界樹様から貰った果実で、その効果を聞いて皆さらに興味が増したようだ。新たな力が目覚めるかも、という部分は隠すという話だったけど、このメンバーには話した。口止めはした上で。


「というわけで。これが事実でボク達が持ってる事を知られたら。大騒ぎになるのは間違いないので皆秘密にするように。特にアイシスは注意してね」


「う、うん。流石にこれは漏らせないよ…」


 アイシスも事の重大さがよく分かってるらしい。

醜い争いが起きるのは必至だもんね。


「あの…ジュン様?このような物、私達まで頂いて宜しいのですか?」


「そうですよ。王族の方々で分けた方が…」


「大丈夫だよ。これは人数分しか出してないだけで、まだあるから。とりあえず皆には食べて貰おうと思って」


「ですが…」


「一欠片でも物凄い価値がありそうですし…」


 クリステアとルチーナは意外と遠慮深いな。

ここは一つ強引に…


「ルチーナ、ちょっとおいで」


「え?あ、はい」


「はい、あ~ん」


「え?ええ?」


「あ~ん」


「あ、あ~ん…」


「どう?美味しい?」


「お、美味しいでふ…」


 食べ終わったルチーナの体が一瞬だけ光った。

変化はそれだけで特に見た目上は変わりないけど…


「どう?ルチーナ。何か変わった?」


「は、はい!見てください!」


 そういって差し出したルチーナの腕には紋章が浮かんでいる。

これは確か…盾の紋章?


「盾の紋章です!今、獲得しました!」


「なるほど…これは凄いですな。お手軽に紋章が獲得出来るなど…絶対に秘密にしなければなりませんな」


「ですね…」


 予想はしてたけど、力が目覚めるってこういう事か。

絶対に秘密にしないと。


「ジュン様。次は私にください」


「あ、うん。いいよ」


「あ~んしてください」


「え?」


「ルチーナだけは不公平です。私にもお願いします」


 そこで張り合うのか…クリステアはいつだってぶれないな。


「はいはい…あ~ん」


「あ~ん」


「…どう?」


 クリステアもルチーナと同じく、体が光った。

食べたら皆光るのだろうか?


「はい。私はこれです」


 そういって見せたクリステアの胸元には紋章が。

これは?


「力の紋章です。ルチーナが持ってるこの紋章が昔から羨ましく思ってたのが影響したのかもしれませんね」


「あ、私も。姉さんの盾の紋章が羨ましかった」


「なるほど」


 強く望んでいたからこそ獲得出来た、か。


「ジュン、いつまで見てるの」


「クリステアも、胸元隠して」


 おっと。つい…。

だって目の前に深い谷があるんだもの。

見ちゃうでしょ。


「では次は私が…」


「どうですか?バルトハルトさん」


「これは…魔封じの紋章ですな。あの男をと対峙した時に役立つでしょう」


 あの男…マッド爺か。

バルトハルトさんもあいつには煮え湯を飲まされてる。

汚名は返上してみせるって言ってたし、その想いが影響したのかな。


「ではジュン様。次は私に。勿論あ~ん、で」


「はいはい」


 次はノエラか。

ノエラはどんな力を獲得するかな。

あれ?ノエラは光らないな?


「どう?」


「何も…変わりませんね」


「必ず何かの力を獲得出来るわけじゃないんだね。世界樹様もそう言ってたし」


「そう言えばそうだった」


「残念です…」


 ノエラは獲得出来なかったか。

まあ、こればっかりはしょうがない。


「あ、でも肌が綺麗になってない?」


「本当だ。スベスベだし」


「そうでしょうか?」


 力を獲得出来なかったら、美肌効果が高まるのかな?

女性にはそっちの方が良いのかもしれないね。


「じゃあ、次は僕が。ジュン」


「はいはい。あ~ん」


 お次はアイシスね。

アイシスは光ったから、獲得出来たかな?


「どう?」


「うん。光の紋章を獲得したよ」


 光の紋章…光属性の魔法に適正と耐性を得る紋章だ。

何だか勇者っぽい。


「少しくらい魔法が得意になりたいって思ってたからかな?」


「なるほど」


 やっぱり強く願ったら獲得出来るのかな?

いや、今だけじゃなく普段から願ってる力じゃないとダメなのかもしれない。


「ご主人様~次はあたし~」


「はいはい。あ~ん」


 お次はハティ。

ハティは…光らないな。


「どう?」


「ん~?何にも変わんない!」


 やっぱり光らなかったら獲得出来てないって事みたいだ。


「残念だったね」


「う~ん。残念」


 あんまり気にしてないみたいだ。

ハティの性格なら、まぁ気にしないか。


「次は私ですねー。ジュン様、あ~ん」


「はいはい。あ~ん」


 ボクがあ~んをするのはもう必然らしい。

そしてシャクティは光った。何か獲得出来たみたいだ。


「あ、やったぁ!欲しいなぁって思ってたんですよ、これ!」


「ほほう?何が欲しかったの?」


「歌姫の紋章です!ミザリアさんが持ってるの見て、いいなぁて!私も歌うの好きですから!」


 なるほど、これはいい。

パーティー全体の強さが底上げされるし、かなりの使える紋章と言えるだろう。


「次はオレだな。オレも欲しいと思ってた紋章がある」


「へえ?」


「何だろ?料理人の紋章とか?」


 そんなのあるんだろうか?

あれば確かにセバストにはぴったりだと思うけど。


「よし!」


「あ、欲しいのが獲得出来た?」


「ああ!鏡の紋章だ!」


「それってセバスンの紋章と同じ?」


「そうだ。これで親父に追いつける」


 なるほど、セバストの目標は父親のセバスンに追いつく事か。

それで同じ紋章が欲しかったと。

確かに、凄い便利な能力の紋章だしね。


「次はリリーですぅ」


「はい、あ~ん」


 リリーは力を望むタイプじゃないけど…あ、光ったな。


「弓闘士の紋章が進化したですぅ!」


「それって…」


 弓聖の紋章になったって事か。

剣聖の紋章や槍聖の紋章に並ぶ上位紋章だ。


「凄いね、リリー」


「えへへ。リリーは戦いでは弓でしか役に立てないから、もっと弓で役に立ちたいって思ってたですぅ」


 そんな事思ってたのか。

リリーは十分、頑張ってくれているのに。

もっと褒めるべきだろうか?


「じゃあ次はセリアさんかな」


「私は最後がいい」


「え?何で?」


「真打ちだから」


 そうなのか…?

こういう事に真打ちとかあるんだろうか?


「じゃあ次はウチが」


「はいよ、あ~ん」


 アイも光った。結構な高確率で獲得出来るのかな?


「ああ~」


「どした?」


「いや、ウチね?ジュンが色んなゴーレム出すの見てて実は羨ましかったのね。それが影響したんだね、きっと」


「というと?」


「人形使いの紋章を手に入れたよ。ゴーレムを造り、操る事に特化した適正を与えてくれる紋章みたい」


 初めて聞く紋章だな。

ゴーレムに関して特化した紋章か…結構使えそう。


「巨大ロボット型ゴーレムとか作ろうかな…」


「止めておきなさい」


 ボクもちょっと考えたけどね、それ。

機動戦士なヤツとか鉄の城なヤツとか。

だけど、多分それはダメだろう。


「じゃ、次は私。お兄ちゃん」


「はいはい」


 ユウも光った。

ここまで来ると、ノエラとハティが獲得出来なかったのは強く望んだ力が無かったのだろうと思う。


「えっと…拳士の紋章が進化したんだけど…」


「けど?」


「魔闘士の紋章になったの。魔力を使った格闘能力の向上だってさ」


 これも聞いたことの無い紋章だ。

ユウの戦闘スタイルを強化した感じか。


「私の場合は、単純にもっと強くなりたいって思ったからかな?リリーと同じかも」


 確かに、リリーと同じと言えるかもしれない。


「じゃボクの番かな」


「ではジュン様、どうぞ」


「…ああ、はいはい。あ~ん」


 こういう時のノエラは素早い。

誰よりも早く、実を取って差し出して来た。


「どう?ジュン」


「光ったから何か獲得出来たんでしょ?」


「う、うん…一つは賢者の紋章を獲得出来たよ。ユウが羨ましかったからかな」


「おぉ~凄いね…一つは?」


「うん…もう一つは、魔王の紋章と魔神の紋章に共通の能力が追加されたよ。全力で使用すると、魔神王の紋章に一時的に変化するんだって」


「なにそれ、凄そう」


「実際に凄いんじゃないかな。魔神王の紋章は魔神の紋章と魔王の紋章の能力を併せ持った能力だって」


「つまり…魔王の紋章に魔神の紋章の能力が追加されて、魔神の紋章に魔王の紋章が追加されたって事?」


「そういう事になるね」


 恐らく、これはボクの個性によって左右される部分の能力を獲得したんだろう。

思えば、ボクの魔王の紋章と魔神の紋章にはそれが無かったし。


「ジュンは凄いパワーアップじゃん」


「流石です、ジュン様」


「はは、ありがとう」


 実際にどれぐらい強くなったか、一度試しておきたいな。

後でアイシスと模擬戦でもしようかな。


「じゃ、最後は私」


 そうだった。まだセリアさんが残ってた。


「ジュン様、あ~ん」


「はいはい、あ~ん」


 セリアさんは…光らないな。

獲得出来なかったか。


「ん?何の音?」


「バツンって音がしたね」


「ふふふ…やった…!」


 珍しい。セリアさんがガッツポーズしてる。

でも、光らなかったのにな?

何か獲得出来たんだろうか。


「セリアさんは何か獲得出来たの?」


「うん。胸」


「はい?」


「胸が大きくなった。今の音はブラが外れた音」


「「「えええ!」」」


 よく見ると確かに…


「本当だ、大きくなってる…」


「これ…私より…ううん、ルチーナより大きいかも」


 それは凄い。AカップからCカップくらいになったんじゃない?


「そ、そんな…」


「僕もそれがよかった…」


 いや、それはどうなの?

せっかくの世界樹の実なのに、胸を大きくするとか。

あ、もしかして、それを避けるのに最後にしたのか。


「ふふん」


 すっげー嬉しそうに笑ってる。

セリアさんには珍しい。

でもちょっと悪い顔な気も…どっちだ?

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