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第227話 救出 2

「さてと、それじゃ尋問を始めるとしますか」


 捕まえた人攫いの男達は合計五人。

一人の女の子を捕まえる為にしては多いな。

結構大所帯の人攫い集団なのかもしれない。


「ぶわっ、なんだ!?」


「冷てぇ!」


 冷たい水を掛けて起こす。

今は九月の半ばでまだそこそこの気温だが、水に濡れたら少し寒いだろうな。


「おい、質問に答えてもらおうか。大人しく答えればお互い辛い思いをせずに済むぞ」


「ハッ、そんな脅しが通用…お互い?」


「ああ。あの馬車の中にはオカマのドワーフが寝てる。同じ男として、ちょっと辛いが…オカマドワーフに色々されたくなかったら素直に答えるんだな」


「わかった!わかりました!」


「何でも答える!」


 効果絶大だな~。

ドワンドがある大陸だけあって、オカマドワーフを見た事あるんだろう。


「よろしい。だが一応…」


「な、何だ、これ。魔法か?」


「その魔法は『トゥルー』嘘を言った場合、その魔法陣が赤く光る。騙そうとしても無駄だという事だ。

では質問する。お前達の仲間は全員で何人だ?」


「や、約百八十人だ」


「百八十…」


 嘘は付いてないようだ。

かなり規模の大きい集団…いや、組織か?


「次だ。攫った人達は全てエルフか?」


「そうだ。エルフが欲しいって依頼があったんだ…」


「依頼?お前達は依頼を受けて人攫いをする集団なのか?」


「ち、違う。俺達はこの近くの廃村をアジトにしてる盗賊だ。人攫いは今回が初めてだ」


 これも本当…となると、気になるのは依頼した奴。


「お前達に依頼した人物の名は?」


「し、知らねぇ。交渉はお頭がしてた。俺達は名前もどこの国の奴なのかも知らねえ」


「そうか。次の質問だ。お前達は盗賊だと言ったが盗賊にしては規模が大き過ぎるように思えるんだが?」


「先月、この国の南の国で大規模な盗賊狩りがあったんだ。それでこっちに逃げて来た奴らが合流したんだ…」


 これも本当。

生き残りが集まって一つになったか。面倒な…


「最後の質問だ。お前達のアジトの廃村はどこにある?」


「あ、あの森を超えた先だ…」


「そうか。ご苦労さん。次に目が覚めたら牢屋だ。安心して眠るといい」


「え?そ、そりゃないぜ、見逃して…ふあふう…」


 もう一度魔法で眠ってもらう。

正直に話せば見逃してもらえるとでも思ってたようだけど、ボクもそこまで甘くはない。


「さて、とりあえず、こいつらを街に転移で連れて行くとして。クリステアとルチーナが付いて来て」


「「はい」」


「ジュン様、私も行きます」


「わかった。リッチェルさんも来ます?転移魔法を確認するついでに」


「あ、はい」


「じゃあ、行ってくる。皆は此処で待ってて。一応、こいつらの仲間が来るかもしれないから警戒しててね」


「「は~い。いってらっしゃい」」


 さて、どこの街がいいか。

ボクの事を知ってる、ディジイさんがいるノルドがいいかな。


「こ、此処は?」


「ノルドの冒険者ギルドです。最近此処で仕事した時、ここのギルドマスターを知り合いになったので、話が早いかと思いまして」


「ノルド…本当に一瞬で…」


「さ、早くこいつらをギルドに突き出して戻りましょう」


 ギルドに入って受付嬢に事情を説明する。

盗賊達を預けてる間にディジィさんが来てくれた。


「これは、ジュンさ…ん。どうされたのです?もう戻られたのですか?」


「ああ、いえ。実はですね…」


 受付嬢にした説明と同じ説明をする。

ついでに頼み事もしよう。


「というわけでして。これから攫われた人達を助けに行きます。捕縛した盗賊は此処に連れて来るので、牢屋の用意をお願いします」


「え?あ、はい?ジュンさんが救出に行くのですか?そんな大規模な盗賊団なら兵士や騎士団を派遣すべきでは…」


「それでは時間が掛かり過ぎてしまうでしょうから。では」


 皆の所に戻るとしよう。

あ、いや。その前に…


「あ、あれ?此処は何処です?」


「ボクの部屋です。クリステア、ルチーナ。カイエンを呼んで来て。ノエラはリッチェルさんに御茶を」


「「「はい」」」


 二百人近い規模の盗賊団を潰すのと攫われた人の救出をするのに、ボク達だけじゃ手が足りないかもしれない。親衛隊に手伝ってもらおう。


「ボクの部屋?あの、ジュンさんて、もしかして偉い人なんですか?」


「そうでもないですよ。ああ、御好きな椅子に座ってください」


「は、はい…テーブルも椅子も絨毯も…全部高級品…」


「どうぞ、リッチェルさん」


「あ、ありがとうございます。茶器も高級品…」


 見ただけでわかるものなのか。

リッチェルさんは結構いいとこのお嬢さんなのかな?

それとも商人の娘とかだろうか。


「ジュン様、カイエン隊長をお連れしました」


「お待たせしました、ジュン様」


「うん、ご苦労様。カイエン、グリムモア魔道国で人攫い集団となった盗賊の捕縛と攫われた人の救出に行く。盗賊としては大規模だから親衛隊にも手伝ってもらいたい。そうだな…百人ほど選出して準備しておいて欲しい。あとで迎えに来る」


「は!了解しました」


「クリステアとルチーナは残って準備を手伝って」


「「はい」」


「し、親衛隊?」


「さ、戻りましょうか。行くよ、ノエラ」


「はい」


「親衛隊…」


 リッチェルさんがぶつぶつ言ってるけど、転移する。

城まで連れて行ったんだし、正体を明かしてもいいんだけどね。


「ただいま。何も無かった?」


「おかえり。何も無かったよ」


「おかえり、お兄ちゃん。クリステアとルチーナはどうしたの?」


「応援を連れて来ようと思ってね。準備に残ってもらった」


「応援?僕達だけで十分じゃない?」


「この人数だと何人か取りこぼしが出るかもしれないし。攫われた人を盾にされると厄介だからね」


「殺したくないって素直に言っていいのに」


「……それもある。じゃあ行こうか。馬車は目立つ、歩きで行くよ」


「「「は~い」」」


「あの!皆さん、何者なんですか?ただの冒険者じゃないですよね!よくよく考えればメイドと執事を連れてる時点で普通の冒険者じゃないですし!」


「あー…」


 どうしようかな。

教えてもいいんだけど、無断で親衛隊を他国で動かす事になるし。

う~ん…


「まぁ、誤魔化すのは無理でしょ、お兄ちゃん。リッチェルさん、悪いけど身分に関しては聞かないでくれる?それと私達の事を後々言い触らさないで欲しいの。貴女の家族は助けるし、悪い事しようとしてるわけでもないから、信用して」


「……はい、わかりました」


 とりあえず、納得してくれたようだ。

進むとしよう。


「じゃあ、リッチェルさんはボク達の中央にいてください。ハティはリッチェルさんの傍にいて、守ってあげてね」


「は~い」


 街道からはずれ、森を進む。

この森には強い魔獣は居ないようだ。


「確か、廃村って言ってたけど…何で廃村になったんだろね、その村」


「え?さぁね。そこまでは…」


「あ、確か流行り病で村人が大勢亡くなったらしいです。何十年か前に」


「流行り病…それなら家とか小屋とか、結構綺麗に残ってたんだろうね」


「盗賊の隠れ家には最適じゃない。周りに大きな街も無いし」


 それから森を進む事、一時間。

森の終わりが見えて来た。

遠くに村が見える。村の入り口には見張りもいるようだ。

 

「さて、どうします?ジュン殿。夜まで待ちますか」


「いえ、なるべく早く仕掛けます」


「あれ?いつもと違って用心深くないじゃん」


「攫われた人達に女性が居たら…と、思うとね。盗賊にモラルなんて期待出来ないし」


「…そうね。早く助けてあげましょ」


「うん。それじゃ、皆は此処で待機。様子を窺ってて。ボクは親衛隊を連れて来るよ」


「了解。早くしてね」


「わかってる。リッチェルさんはどうします?ボクの部屋で待ってますか?正直、此処に居ても危険なだけですし」


「いえ、私も行きます。家族が心配ですし…それにエルフの私が居た方が攫われた人達も安心すると思います。ここはエルフの国なのに助けに来たのが魔族と人族だけじゃ不安になると思うんです」


 それもそう、かな?

盗賊は人族と魔族だけ見たいだし、その方がいいか。


「わかりました。じゃあ迎えに行って来る」


「「「は~い」」」


 さてさて、上手く救出出来るかな。

そして出来れば、殺人をせずに。

皆にもさせずに、済ませたいが。


 なんて事をこの時点では考えて居たのだけど。

予想外の人物と出会う事になるのだった。

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