第225話 そこはきっと桃源郷
「マザーを討伐!?出来たんですか!?」
「はい。証明として、これを」
マザー討伐成功後、ギルドマスターのディジィさんにマザーマンイーター討伐成功の報告に来ている。
魔法の袋からマザーの首を取り出す。
一見、生首にしか見えない。緑色だけども。
ちょっとホラーだ。
「こ、これは確かにマザーマンイーターの…一体どうやって?」
「詳しい説明はまた明日にでも。ああ、雨が上がったら乾いた花粉が風に乗って舞うかもしれません。花粉と種子の後始末は別の人にお願いします。ボク達は見ての通りずぶ濡れで。早く着替えたいので」
「分かりました…マザー討伐の報酬も明日に。花粉と種子の方はお任せください」
「お願いします。それでは」
話は終わったので城へ戻る。
皆、ずぶ濡れだし早くお風呂に入ろう。
「はぁぁぁ、生き返るぅ。冷えた体に熱い風呂。堪りませんなぁ」
「お前、偶にオッサンくさいな」
「ジュン様は温泉もお好きですしね」
城に戻ると父アスラッドとセバスンとばったり会ったので、折角だからとお風呂に誘った。
ユウ達も今頃は母エリザやパメラさんとイーノさん、シャンタルさんにエミリエンヌさんも誘って入浴中の筈だ。
騒がしい声が聞こえて来るし。
「イーノさん、スタイル凄ーい。ドレス姿でわかってたけど。触らせて触らせて」
「や、止めてください、ちょっとっ、あんっ」
「止めなさい、エミリ。すみません、イーノ様」
「だってさぁ見てよ、お姉ちゃん。この巨乳!お姉ちゃんのより大っきい!」
「イーノ様は嫌がってます。止めなさい」
「はーい…じゃあリリーちゃんのおっぱいを!」
「え?きゃあ!」
実に楽しそうな会話が聞こえてくる。
ボク達もユウ達も、今回は王族用ではなく、使用人達や騎士達用の大風呂に入っている。
そうじゃないとノエラ達と入れないからだ。
故に、隣の女風呂は今、桃源郷と化しているだろう。
今、ここに透視眼眼鏡があったら誘惑に負けて使ってしまいそうだ。
「そんで?向こうじゃマザーマンイーターを討伐したって?」
「はい。結構大変でした」
「大変でした、か。普通、討伐難度Sの魔獣の討伐は、大変なんて言葉で済ませられるもんじゃないんだがなぁ」
「流石です、ジュン様」
運が味方した結果ですけどね。
雨がふらなかきゃもっと大変だったと思うし。
「そうだ、ジュン殿。以前からお聞きしたかったのですが」
「何でしょう?」
「アイシスとセリアを嫁に迎える気はありませんかな?」
「はい?」
「アロイスとミハイルは煩いでしょうが、アイシスもいつかは結婚しなければなりませんし。セリアはアイシスと同じ嫁ぎ先に行きたいようですから。ジュン殿ならセリアも不満は無いようですし」
「アンナさんから、また何か言われました?」
「それもありますが…どうですかな。ジュン殿もアイシスとセリアの事は少なからず気に入ってるかと思いますが?」
「すみませんが、婚約者を増やすつもりはないですよ」
「まあまあ。アイシスは美人ですし、スタイルも悪くないでしょう?」
「美人でスタイルがいい人を嫁にするなら他にも沢山嫁にしなくちゃならなくなるじゃないですか。それに美人に囲まれてるせいか、だんだん眼が肥えた気がしますし」
「ほ~う。じゃあお前から見てスタイルが一番いいのは誰だ?」
「え?そうですね…シャンゼ様ですね。何だかんだで」
「ほうほ~う。なら二番と三番は?」
「二番はイーノさんですね。結構可愛いとこもありますし。三番は…リリーかカトリーヌさんですね。あ、クオンさんかも」
「ちょっとジュン!それ胸の大きい人順じゃない!?」
「お兄ちゃん!私が入ってない!」
「ジュン殿ぉ~ありがとうございます!私は何時でもウェルカムですよ!」
「あ、聞こえてた?」
胸の大きい人順になるのは仕方ないだろう?
皆スタイルいいんだから。
あと、ユウ。
残念ながら、どう贔屓目に見てもユウはベスト3には入れない。
「というか、盗み聞きは趣味が悪いぞー」
「仕方ないじゃない、聞こえたんだから。そっちも聞こえてたんでしょ?」
「まあね。エミリエンヌさんがイーノさんにセクハラしてるのは聞こえたー」
「ちょっ…聞こえてたなら助けて下さい、ジュン殿!」
無茶を言う。
男風呂と女風呂に別れてるのに、どうしろと?
「ところで、ジュン~。こっち凄いよ~」
「何がだ~」
「おっぱいで艦隊が出来てるの!沢山浮かんでる!」
「ナニソレ。見た~い」
さぞかし迫力のある光景だろう。
思わず土下座してしまうかもしれない。
「見たいならこっち来れば?」
「そうよ~ジュンなら来ても誰も怒らないわよ~」
いや、怒る人は居るでしょう。
ノエラやクリステアだけでなく、他のメイドや女性騎士達も居るだろうし。
「ちょっ、ちょっとアイ様!エリザ様も!困ります!」
「良いじゃない、シャンタルさんもスタイル良いし」
「そ、そういう問題じゃ…」
「わ、私も困ります」
「レヴィもスタイル良いから、自信持って」
「いえ、スタイルがどうこうじゃなく…ここには未婚の女性が沢山居るじゃないですか」
「レヴィ」
「あ、ハンナさん?」
「だからこそ良いんじゃない」
「何で!?」
レヴィさんとハンナさんも居たのか。
となると、ティナ達とリタ達も居そうだな。
だからって行きはしないけど。
「ジュンさん、こっちおいでよ。今ならお姉ちゃんのおっぱいを揉み放題!」
「もう、エミリ!」
「行かないから、安心して下さい~。でも実況中継は頼んだ~」
「あいあい!パメラさんはお椀型の美乳ね。結構大きいし~腰も細いね。お姉ちゃんも負けず劣らずのスタイルで~おっぱいに黒子が一つ」
「いい加減にしなさい、エミリ!」
「まぁまぁ。悪口は言って無いし、良いじゃん。ジュンさんのご要望だしぃ。ね、パメラさん」
「う…は、はい。そうですね…」
「パメラさん、嫌なら嫌って言って良いんですよ~」
「だ、大丈夫です。見られてる訳じゃ無いですし…」
本当かなぁ。自分で言っといて何だけどさ。
そう言えば、こういう時は過剰に反応する人物が妙に静かだ。
「ところでアイシスは~?いつものパターンだと、自分の事を棚上げにして怒ってる場面だけど~」
「アイシスならさっさと上がって御飯食べに行ったよ」
「アイシスは食欲が最優先」
「アイシスらしい…」
そんな騒がしい入浴タイムは終わり。
翌朝にノルドの街へ。
「そうですか、そんな方法で…」
「はい。雨が降ったのは幸運でした」
冒険者ギルドに着いてすぐ。
ギルドマスターのディジィさんに捕まりマザー討伐の詳細を求めれた。花粉や種子の始末は夜が明けて直ぐに出発し、終わらせたらしい。
「それでは…これがマザー討伐の報酬です。マンイーター討伐の報酬も入ってます」
「ありがとう御座います。…随分多いような?」
金貨が入った大袋が二つ。
一袋五百枚くらいか?
マザーもマンイーターも焼いて処分したから、何の素材も回収出来なかった筈だが。
「マザーはグリムモアにとって大変危険な魔獣でしたから。それが騎士団を出す事無く、被害も無しで討伐出来たのです。個人的にはそれでも安いくらいだと思いますよ」
金貨千枚が安い、か…凄いな。
後で皆と分けよう。
「皆さんはこれから王都エルドへ?」
「いえ、先にドワンドに行きます」
「そうですか。ジュンさん、今回は本当に助かりました。流石はSランク冒険者、エルムバーンの魔王子ですね」
「…知ってたんですか?」
「当然です。Sランク冒険者になれば全ギルドに連絡が行きますから。最初から気づいてましたよ」
「一応、お忍びで来てますので。秘密にしておいてください」
「はい。ですが、それなら執事服やメイド服は避けた方がいいですよ。かなり目立ちますから」
「何度となく言ってるんですけどね…それでは。またいずれ」
「はい。ありがとう御座いました」
冒険者ギルドを出てノルドの街を後にする。
ここからドワンドまではまだまだ掛かる。
もう面倒な事が何も無ければいいんだけど。




