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第214話 吸血鬼

 ギガロドン討伐を終えて、セイレン魔王国から帰国して数日。

セイレン魔王国からの研修生であるシャンタルさん達の顔合わせも済み。

またエルムバーンの城は賑やかになった。

カタリナさん達は帰ったが、パメラさんはまだ残っている。

それからイーノさんだが…


「イーノさんはいつまで滞在するんです?国に戻らなくて大丈夫なんですか?」


「大丈夫です。レンド魔王国からの研修生の一人になりましたから、私も。暫く御世話になる事になりました」


「へぇ?治癒魔法適正があったんですか?」


「はい。今度指導してくださいね、ジュン殿」


「いいですよ。でも、その時はスケスケドレスを着て下さいね」


「ジュン殿ぉ~」


「冗談ですよ」


 まぁ、イーノさんが治癒魔法適正があるのは納得出来る。

カトリーヌさんとは別のタイプの癒し系だよね。


「ジュンさん、私も治癒魔法を習い始めましたので、色々教えてください」


「え?パメラさんも適正があったんですか?」


「はい。元々、私は武芸より魔法の方が得意でしたし。ここでただ御世話になるだけというのもなんですし。いざという時に何か出来るように、という事で」


「そうですか。じゃあイーノさんと一緒に頑張りましょう」


「はい。御願いします」


「…パメラにはスケスケドレスを着るように言わないんですか?」


「言いませんよ?」


「うぅ…やっぱりパメラには優しい…」


「パメラさんに言ったら本当に着ちゃいそうだからですよ」


「そ、そんな事は…」


 多分、アンナさんに余計な事言われてると思う。

時折、魔法通信で会話してるらしいし。


「あ、居た居た!ねぇジュンさん!王都を案内してよ!」


「エミリ、ノックくらいしなさい。すみません、ジュン様」


「私達も御一緒させてください、エミリエンヌ様」


 シャンタルさん達は城で暮らしている。

イーノさんにパメラさんもそうだが、他国の王族を騎士団の宿舎に泊めるというわけにもいかず。

何かあってもマズいので城で暮らす事になった。

ミズンさん達、人魚の騎士団はボクの親衛隊所属になった。

エルムバーンの何処かに水棲魔獣の被害が出た時は、ボクが転移で彼女達を連れて行くのが最も効率的だからだ。


「いいですけど、ナンパはしないでくださいね」


「わかってますって!」


「私は…出来ませんし…」


 セイレン組の人達はエルムバーンに居る間はセイレンの恋愛観で男女の関係を持つのは禁止してある。エルムバーンの普通の男女のように恋愛するのは禁止してないので、普通に恋愛して欲しい。


「イーノさんとパメラさんも一緒に行きません?」


「そうですね。折角ですし」


「はい。御一緒させてもらいます」


 暫く、こんな風に穏やかな日々を過ごした。

そして九月の頭に、ヴェルリアからアイシス達に連絡が入った。


「ジュン、ヴェルリアまで一緒に来て」


「何かあったの?」


「うん。遺物の情報がようやく纏まったらしいんだよ」


 勇者の遺物の情報か。

確かに、随分長かったな。


「じゃ、準備が出来次第行きますか」


「うん、お願いね。僕達は何時でもいいから」


「場所は王都のノーヴァ家の屋敷で構いませんので」


 またエルリック殿下が余計な事をしないように、気を使ってくれたのだろう。

城には出向かなくていいそうだ。


 準備を整えてヴェルリアの王都ヴェルサイユへ。

ノーヴァ家の屋敷で待っていると、王城から情報を持って使者がやって来た。


「お久しぶりです。皆さん」


「あれ?エクトルさん?エクトルさんが使者なんですか?」


「大臣がわざわざ?」


「ええ。私が陛下に御願いして、来させてもらいました。ジュン殿に御礼を申し上げたく」


「御礼ですか?」


「はい。ヴェルリアに戻ってからですが、カタリナ様から聞きました。あの日、私とフランコの和解の為に尽力なさってくださったと。心より感謝申し上げます」


「あ…いえ、あれは…」


「大丈夫です。あのジゼルは所謂幽霊だった事も聞いております。しかし、あの時あの場所へ私とフランコを導いてくださったのは間違いなくジュン様です。本当にありがとうございました」


「…はい」


 フランコ君に言ったのだからエクトルさんにも言ってるかもとは予想してたけど。

なんで言っちゃうかな。バカンスの時、問いただしておくんだった。


「カタリナ様を責めないでくださいね。あの方はジュン様の苦労が労われないのが嫌だったようで。それに私から聞いたのです。あの日は結局何の用で私を呼び出したのか、を。カタリナ様は元々隠し事が上手い方では無いですし、誤魔化しきれなかったのもあるのです」


 そういう事なら…まぁ。

仕方ない、かな。というか、エクトルさんと一緒に来てないのはそれが理由か。

怒られると思ったのかな。


「わかりました。エクトルさんも、どうか気にしないでください。ボクが勝手にやった事ですから」


「はい。ですが感謝の気持ちは忘れません。いつか何らかの形で御恩返しさせて頂きます。…では、預かって来た情報を伝えましょう」


「はい」


 エクトルさんが取り出した世界地図。

エクトルさんが指差した場所はヴェルリア王国の西。

小さな国を二つ程挟んで存在する、どこの国の国土でもない無人地帯の森だ。


「ここ、ですか?」


「エクトル殿、私の記憶ではここは…」


「はい。非常に厄介な場所です」


 バルトハルトさんはこの場所について何か知ってるらしい。

厄介な場所…何だろう、ボクは知らないな。


「此処に何かあるんですか?無人地帯ですよね?確か」


「はい。此処は今でこそどこの国の物でもない無人地帯ですが、かつてはそこそこの国力を持つ国が存在していました。しかし、千年以上前に滅びました。この場所にはその国の城があり、城の宝物庫に勇者の遺物があるとされています」


「滅んだ国の宝物庫ですか?何というか…そんな分かりやすい場所に残ってるんですか?盗賊だけじゃなく、冒険者にも狙われてとっくに無くなってるんじゃ…」


「いえ。それは有り得ません。この辺りには結界が張られています。この場所の事を知ってる者は決して近づきません」


「結界…?何の為にです?そもそも結界が張られてるという事はボク達も入れないんじゃ?」


「いえ、入る事は問題無く出来ます。ただ出る事は出来ません。転移魔法で出るか、結界を破壊しない限りは」


「入る事は出来るが出る事が出来ない結界…つまり、此処に何か危険な存在が居て、それを封じる為の結界なんですね?何が居るんです?」


「かつてこの場所に存在した国…マドニア王国を滅ぼしたとさせる吸血鬼の一族が封じられているそうです」


「! 吸血鬼…ですか」


 吸血鬼…ヴァンパイア。

現代地球の伝承にあったソレとは幾つか異なる部分がある。

まず、ヴァンパイアは太陽の光に当たっても死にはしない。苦手なだけだ。

ニンニクも苦手では無いし、十字架も平気だ。

同じなのは、血を吸う事。

血を吸った相手を下僕、或いは眷属に出来る事。

等々。各地の伝承によって差異があるため細かい部分は省くが…。


 この世界のヴァンパイアは一応、魔族として考えられている。

不死の存在ではあるが、他の種族と子を成す事は出来るのだ。

だが、ヴァンパイアは他の種族と子を成すという事を滅多にしない。

彼らは自らを高貴な存在だと認識し、貴族を自称している。

それ故か、他の種族を見下す者が多く、他の種族と交わろうとしないのだ。

そして傲慢で残忍な性格の者が多く、他者の血を吸うという行為もあって多くの者は彼らを忌み嫌っている。魔王国に貴族階級が無いのは、彼らと同じでは無いという他の魔族の意思表示でもあるのだ。


「吸血鬼…大昔に淘汰され全滅したのだと思っていましたが…」


「いいえ。彼らは今でも確かに存在しています。確かに、その残忍な性格故に大昔に淘汰され、その数を随分と減らしたのは確かですが…ここはそんな数少ない吸血鬼の生き残りが集まる場所なのです」


「そんな場所ならもっと有名になってそうですけど…今まで聞いた事もないんですが?」


「有名になれば、世界各地に散っている吸血鬼の耳に入り、生き残りが集まるでしょう。そうなれば何か事を起こすかもしれません。故に周辺の国家や近くの村や街の者にだけ知っていて、外部に漏らさないようにしているのです」


「なるほど…そして結界で封じるという手段をとったという事は…」


「ええ。この地にいる吸血鬼は強力な存在である。という事でしょう」


 厄介な…さて、どうするか。

まぁ、行くしかないんだろうけど。

話合いで済めばいいんだけど…無理だろうなぁ。

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