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第205話 何かが海からやって来る 3

ミズンさんの迎えが来るまで五日。

丁度、フランコ君達とダーバ王子達が帰る日か。


「ところで、シードラさん?という方が海で漂ってる私を見つけ運んでくださったのですか?であるならば一言御礼を言いたいのですが」


「ああ、じゃあ海にいますから、行きましょう」


「はい」


「じゃ、昼食も終わったし。ジュンにお願い権争奪杯を再開しましょ」


「何だ?それは。そんな事やってたのか」


「ずる~い。私達もやるう!」


「あたい達も!」


フェンリル一家とクー達も参加するつもりらしい。

でも賞品はお願いできる権利じゃなく、ボクが決めた御褒美を貰える権利ですからね?


「何お願いしようかな~。ウチは既に婚約者だし~」


「そうですねえ。私も許嫁ですし~」


「くぅ~…何としても優勝して並ばないと…」


ダメだ。聞いちゃいない。そしてアイとシャクティは既に優勝した気でいる。

とりあえずミズンさんをシードラちゃんに合わせて…それから逃げよう。


「お~い!シードラちゃーん!」


「海にいるって、海の中にいるのですか?」


「ええ。あ、来た来た」


シャクティじゃなく、ボクが呼んでも来てくれた。

覚えてくれているようだ。


「し、シードラゴン!ななな、何で!」


「大丈夫ですよ、襲って来たりしませんから。シードラちゃんはこの島の守り神なんです。だから危険な魔獣が寄ってこないんで安全に泳げるんですよ」


「な、なるほど。そしてシードラゴンだからシードラちゃんですか…わかりやすいですね」


「名付けはボクじゃなく、シャクティですけどね。ほら、シードラちゃんが待ってくれてますから、御礼を伝えるなら、どうぞ」


「あ、はい。助けてくれてありがとうございます、シードラちゃん!」


シードラちゃんは一声あげると気にするなとばかりに海へ戻って行った。

良い奴だな~シードラちゃんは。


「凄いですね、シードラゴンを使役してるなんて…」


「ミズンさんはシードラゴンに勝てますか?」


「まさか!戦った事はありませんが、セイレンの護衛騎士団総出で何とかなるかって相手ですよ。それにあのシードラゴンは相当長く生きてるでしょう?シードラゴンの中でもかなり強いですよ」


数千年生きてるしねぇ。

ドラゴンの寿命ってどのくらいなのかしらん?


「じゃ、皆が遊んでる所に行きましょう」


「はい。しかし、私達人魚以外の種族も同じような恰好をするのですね」


「はは…泳ぐ時だけですけどね。基本は」


「それにあのような遊びまで。私もやってみたいです」


「そうですね。あとで混ぜてもらいましょう」


ビーチバレーの試合は現在、ダーバ王子チームvsアイシスチーム。

さぞかし見応えのある試合になるかとおもいきや。


「おおおい!爺さん!何やってる!」


「う…昨日の酒が残ってるのに今日も飲んだからのう…そこへ激しい運動…気持ち悪くもなる…うぷっ」


「ちょっと!?お祖父ちゃん!?」


「すまん、アイシス。お祖父ちゃんはもうダメだ…ウップ」


槍聖と剣聖の二人が戦力外。

そして残る各チーム二人の内…


「うおおおい!ブロイド!ちゃんと相手のコートに入れろ!」


「…難しいな」


ブロイドさんは力加減が出来ないのか、打ち返したボールを明後日の方向へ。

そしてセリアさんは…


「やー」


「とー」


「たー」


「ちょっと!セリア!頑張ってぇ!」


やる気はある?のかな。

しかし、身体がついて行けてないというか…セリアさんは魔法戦は得意でも格闘戦は苦手らしいし。

運動は苦手なのかな。


なんとも泥仕合だったが…僅差でダーバ王子チームが勝利した。

ブロイドさんが最後の方で少しコツを掴んだのが勝利要因だろう。


「ワハハハ!勝利!」


「何か、華の無い勝利だったわねぇ」


「元々、王子に華は無い…」


「それもそうね」


「お前ら…」


ダーバ王子一行は相変わらずだ。

オリビアさんと結婚しても性も変わってないし、以前と何にも変わらない関係性を保ててるのだろう。


「うぅ…負けちゃった…悔しい!」


「惜しかった」


「セリアももっと悔しがってよ!」


「こう見えても悔しがってる」


正直、とてもそうは見えない。

しかし、武道会の時の事を考えるとセリアさんは結構負けず嫌いなのだろう。


続いての試合は マルちゃん・カトリーヌさん・ターニャさんのチームとセバスト・ノエラ・リリーのチームの対決だ。

見所はやはり…リリーとカトリーヌさんだろう。

理由はあえて言わないが。


「いや、口にしなくても顔に書いてるよ、ジュン」


「いい加減、心を読むの止めてくれない?」


「心を読んだわけじゃなくて、顔見ればわかるよ。今のは凄くわかりやすかったし」


「そんなバカな」


これでもポーカーフェイスのつもりだったのにっ。

何時からボクの顔はそんなにわかりやすくなったというのか。


「それにしても、このボール遊びといい。さっきのバナナボート?何でバナナボートて呼ぶのかわからないけど…よく思いつくわね、ジュンちゃん」


「そうですか?遊びなんてヴェルリアにもあるでしょう?」


「そりゃあるけれど…ここまで革新的なのはね。あ、ミズンちゃん、悪いんだけどジュンちゃんの隣、カタリナちゃんに譲ってあげて」


「は?はい…」


「す、すまないな」


「カタリナさん?レティシアさんも…パメラさんもですか。何です?何でボクを囲むんです」


「色々御世話になってるジュンちゃんにサービス。はい、皆、言った通りにやってみなさい」


アンナさんの指示で、カタリナさんが左腕。レティシアさんが右腕。

パメラさんが背中に密着してきた。

幸せな感触が伝わって来る…この感触はアレですよね、アレ。


「ちょ!ちょっとカタリナ!」


「何してるの!」


「いや…私もな、これはどうかと思うのだ。しかし、アンナお母様がな…」


「どうしてもやれって言うんだもの。やらなかったら半年間お小遣い無しって言うし…い、嫌々なんだからね!」


「わ、私はその…ジュンさんには御世話になりましたから…これ御礼になります?」


十分に御礼になる気がします。

声に出しては言わないけど。


「なってるみたいよ、パメラちゃん」


「そ、そうですか」


「こういう時の君は実にわかりやすいな」


「ふふん。まぁ当然よね!ヴェルリア王家三人の王女に密着されてるんだもの。この世の誰も味わった事の無い極楽のはずよ!」


確かに、そうだろうけど…未婚の王女相手にこんな事させたって知られたら不味いような。

いや、アンナさんがやらせたんだし、ボクに何の責任も無いと思うのだが。


「どうせならアウレリアちゃんも連れて来て参加させればよかったかしら。そしたらヴェルリア王家の四姉妹コンプリートよ!」


「アウレリア姉さんはダメですよ、お母様。あそこは夫婦円満で上手く行ってるんですから」


「アウレリアさんは…エヴァリーヌさんの御子ですよね」


「ええ。でも私達姉妹は仲が良いの。というより、兄妹で仲が悪いのはエルリック兄さんだけね」


「エルリック兄さんが唯一、頭が上がらないのがアウレリア姉さんだったんだが…アウレリア姉さんが嫁いでから、兄さんの行動が更に酷くなったんだ」


長女が居なくなってから拍車がかかったか。

案外、シスコンだったのかね。


「そういうやり方が人族の求愛行動なのですか」


「違います。普通はもっと御淑やかだと思います」


「え?そうですか?随分可愛らしいと思ったのですが」


「え、そう?王族の娘としては頑張ってる方だと思うんだけど。じゃあミズンちゃんならどうやるの?」


「やってみましょうか?」


「ええ、どうぞどうぞ」


いや、アンナさん。

どうぞどうぞって。何かされるのボクですよね。


「ではジュン様。失礼して」


ミズンさんはいきなり水着を外し…全裸になった。


「ちょー!何してるんです!」


「いえ、ですから人魚の求愛行動を実践しようと」


「それでなんで全裸!?」


「勿論、性交渉の為です。大勢に見られながらというのは初めてですが。それもまたよしです。ささ、ジュン様、横になって」


なんてぶっ飛んだ考えしてるんだ。

人魚ってみんなこうなの?


「なんて考えてる場合じゃなくて!アイ!ユウ!」


「あ、うん!一瞬思考停止しちゃった。流石にダメよね、これは」


「はい、ミズンさん!水着付けて!」


「あら?どうしてそんなに慌ててるんです?」


「…アンナさん。責任とってミズンさんに我々の常識というモノを教えてあげてください」


「あ、うん。流石の私もビックリして固まっちゃったわ。ミズンちゃん、こっちおいで」


「はぁ…」


人魚って皆、性に開放的なのかな。

おかしいのは恋愛観だけじゃなかったのか。


その日のビーチバレー大会は結局、多少とはいえ前世で経験のあるアイとユウが有利に試合を運び、アイとユウとシャクティのチームが優勝した。

御褒美は今度お願いするとの事だけど…ボクが決めるはずだよね?


そしてそれから数日。

明日にはダーバ王子達とフランコ君達も帰るし、ミズンさんの迎えも来るという日の前日の夜。


「あ…」


「どしたの?セリア」


「預言があった」


「預言って…預言者の紋章の力だよね。どんな預言?」


「船が沈む様子が見えた」


「船…どこの船とかわかる?」


「ううん。私が知らない船。見渡す限り海しか見えない場所で沈む」


「う~ん…それだけじゃ場所は特定出来そうにないなぁ。いつ頃起こるかわかる?」


「近日中とだけしか」


それだけじゃ…現状打つ手が無い。

身内が近々船にのる予定も無さそうだし。


「今は何も出来る事は無さそうだ。誰か身内が船に乗る予定があれば別だけど。思いつく限りないし」


「そだね…また何かわかったら対策を考えよ、セリア」


「うん」


確か預言者の紋章の預言は対象が身内とは限らないはず。

地球の裏側の知らない人に起こる出来事だったらどうしようも無いし。


そして翌日。

先ずはダーバ王子達を送る。


「いやあ、御世話になりました、ジュン殿」


「ジュン様、ありがとうございました。また何時でもヤーマンに遊びに来てくださいね」


「はい。またいつか遊びに来ます」


「きっとですよ、ジュン殿。マルレーネ達の事も頼みます。手を出してもいいですけど、責任は取ってくださいね」


「またそれですか。出しませんよ。それじゃ、ブロイドさんとゴードンさんもお元気で。また会いましょう」


「ああ、また」


「その時は美味い酒を土産に頼みますぞ」


あっさりしたお別れだけど。

何だかんだでダーバ王子とはまた会う気がする。

子供もすぐ生まれそうだし、出産祝いとかで。


次はフランコ君とクローディアさんをグンタークへ。


「それじゃ二人共、お元気で」


「ありがとうございました、ジュンさん。とても楽しい新婚旅行でした」


「これからもアイシスの事をよろしく頼む」


「うん。大丈夫だよ。友達だしね」


「友達…か。アイシスも苦労するな。まぁ今はそれでいい。偶にはグンタークに遊びに来てくれて構わないぞ」


「うん。また来るよ、それじゃ」


二人も直ぐに子供生まれそうだし。

また近い内に来る事になるだろうな。


そして最後にミズンさんの見送りに皆でキータンの街へ。


「皆さん、大変御世話になりました。この御恩は決して忘れません。もし、私に出来る事があれば何時でも連絡ください。駆けつけますので」


「ええ。その時はお願いしますね」


「はい。あ、来ました。あの船です」


「え?船?人魚も船を使うんですか?」


「勿論です。いくら我々人魚族が水中で生きていけるとはいえ生活基盤は地上です。ここから泳いで帰る事も可能ですが、相当辛いですし。正直来てもらえて助かりました」


そう言えばベッドで寝るんだったな。

そこらへんも現代地球の物語に出て来る人魚とは違うんだな。


「あ」


「何?セリア」


「アレ、預言に出て来た船」


「「「え」」」


それはつまり…あの船が沈む事になると?

参ったな…

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