表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
195/604

第195話 Sランクパーティー

シーサーペント…大海蛇。

大海竜と呼ぶ人もいるらしい。

だがシードラゴンが存在するので、大海蛇と呼ぶのが一般的だ。

実際、見た目は巨大な海蛇らしい。


単体討伐難度A。陸に上げてしまえばCまで落ちるそうだが、サハギンと違い自ら陸に上がる事の無い水生生物なのでそれは難しいだろう。陸上でも活動可能ではあるらしいが。


「シーサーペントって群れで行動する魔獣でしたっけ?」


「普段は単体だな。だが繁殖期になると群れで行動し繁殖地を探して移動する。奴らは南の方から来て、何体か傷を負っているのがいるらしい。何かに負けて北上して来たんじゃないかって話だ」


「「「南…」」」


やだっすっごい心当たりあるぅ。

多分、シードラちゃんだろう。

何処まで追いかけられたのか知らないけど、随分逃げて来たなぁ。


「仕方ない、受けますよ。ダイランの冒険者ギルドに行けばいいんですか?」


「おう。因みにシーサーペントは美味らしい。討伐したら食って…」


「「「絶対食わない!」」」


「お、おう?そうか」


海蛇を食べる文化は知ってる。

沖縄にもあったし。

でも嫌だ。食わず嫌いで構わない。


「じゃ、リディアも誘って行きますか」


「ん?どうしてリディアも?」


「アイシスは知らない?リディアはダイランの領主の娘。ダイランはリディアの故郷なんだよ」


「へぇ。そうなんだ」


というわけで、リディアも連れてダイランへ。

ダイランの冒険者ギルドは以前来た時よりも大勢の冒険者で溢れていた。

受付は混んでいて順番待ちだ。


「この人達、皆シーサーペント狙いなのかな」


「今、この時にいるならそうなんじゃない?」


「ギルドマスターの話じゃ腕の立つ人を求めてるんでしょ?ウチの見立てじゃ…」


その…の中には「大した奴らじゃない」が入るんだろう。

ボクも同意見だ。


「ところでさ、シーサーペントってやっぱりデカいの?」


「3mはあるってさ」


「…長さが?」


「太さが」


「もういいよ、そのパターン…」


全くだ。

巨大な蛇とかお目に掛かりたくない。

まして、海蛇って。


「それで、シーサーペントってどうやって倒すの?」


「さぁ?過去の討伐例とかあるだろうけど…セバストは知ってる?」


「確か…繁殖地を決めたシーサーペントは一塊になって交尾を始めるらしい。そこへ海上から複数の魔法使いが雷属性の魔法を放って仕留めるんだ」


「な~んだ。簡単な倒し方があるんじゃない」


「だけど今回はそのやり方は使えないだろうな」


「何で?」


「そのやり方だと当然、他の生物、魚とか貝とか。海産物に打撃を与える。ここは港街ダイラン。そんな事になれば大打撃だろうね」


「それは困りますわ!弟の為にも姉である私が何とかしなければ!」


リディアには弟が出来た。今年二歳になるロディ君だ。

弟が生まれてからリディアの頑張りは増した。

いいお姉ちゃんで在りたいのだろう。


「でもさ、どうやるの?海産物に影響を与えないように討伐なんて…出来るの?」


「実際、かなり難しいだろうな。先ずシーサーペントには毒がある。毒腺さえ傷つけなきゃ肉は喰えるし美味らしいが…海中で戦闘になればそんな余裕は無いだろう。毒が海中に漏れたら言うまでもないよな」


「詳しいね、セバスト」


「美味と言われる食材の事は一通り調べたからな」


流石はセバスト。

でも蛇は勘弁して。


「じゃあいっそ、放置するわけにはいかないの?」


「繁殖の後のシーサーペントは失った体力を取り戻す為に手当たり次第に何でも喰うらしい。この辺りの海産物は全滅するかもな」


「それは困りますわ!」


この世界では数少ない漁港だ。ましてダイランはエルムバーンで最大の漁港のある街。

魚料理が食べれなくなるのは困る。


「ん~…じゃあどうするの?」


「腕利きを集めてる冒険者ギルドに何か考えがあるかも知れないね。丸投げの可能性が高いけど」


受付の順番が来たので詳しい話を聞く。

その結果は…


「丸投げだったね」


「まぁ予想してた」


だけど新たな情報も有った。

先ず、シーサーペントの数は推定二十匹。

それからエルムバーンにいる二つのSランクパーティー、その内の一つが既に依頼を受けたらしい。


「へぇ、Sランクパーティー。何てパーティー名?」


「パーティー名?」


「ん?パーティー名、聞いてないの?」


「冒険者のパーティーに名前なんて付けるの?」


「ええ~?普通付けるよ?ジュン達のパーティーは付けてないの?」


「付けてないねぇ」


冒険者になって三年。

そんな事初めて聞いた。

冒険者ギルドからも言われてないし。


「セバストとノエラは知らなかったの?」


「知ってたが、オレ達のパーティーはちょくちょくメンバーが代わるだろう?パーティーメンバーが代わる度に申請するのも面倒じゃないか?」


「メリットも指名依頼が来やすいくらいですし。ジュン様はあまりこだわっていないようでしたので」


「なる程」


「折角だから付けない?何なら僕が考えてあげようか?」


アイシスのセンスで名付け?

不安だ。


「因みにアイシス達も冒険者登録してるよね?パーティー名あるの?」


「勿論あるよ!僕達のパーティー名は『最強』だよ!」


「…念の為に聞くとその名前を提案したのは?」


「勿論アイシス」


「アイシスに任せた故の結果です…」


アイシスってば…武闘会の時の「謎の美少女仮面剣士」といい。

中二病まで患っているのか。

思春期真っ盛りだし…


「何?どうしたの?」


「いや…病んでるなぁ、と思って」


「え?何?僕、病気なの?嘘でしょ?」


「ううん、病んでるね」


「それも末期ね」


「え、嘘。冗談じゃないの?で、でもジュンの治癒魔法で治るんでしょ?」


「残念ながら…この病は治癒魔法では治せないんだ」


「嘘…僕、死ぬの?」


「大丈夫、死にはしないよ」


「後々、死ぬほど恥ずかしい思いをするかもしれないだけで…」


「何それ。病気なの?」


「大人になれば治ると思うよ。稀に治らない人もいるけど」


「よくわかんない…」


「まぁ死ぬ事は無いから。安心していいよ」


「うん…」


ま、中二病勇者にパーティー名を決めさせるのは止めておこう。

特に必須でもないようだし。


「でさ、お兄ちゃん。Sランクパーティーが依頼を受けたならどうするつもりか聞いてみない?」


「同じ依頼を受けた冒険者に教えてくれるかな…」


「まぁ、ダメ元で聞いてみれば?何処にいるの?」


「さぁ…ダイランの何処かにいるだろうけど」


「俺達に何か用かい?」


「え?」


冒険者ギルドの前で話していると、不意に話し掛けられた。

男女五人組の冒険者パーティーのようだ。


「えっと…貴方方は…」


「ん?俺達を探していたんじゃないのか?俺達がSランクパーティーの『ファミリー』だ」


「!これは失礼しました。初めまして。ボクはジュン・エルムバーンです」


「ジュン・エルムバーン?もしかして魔王子さんか!あんたとは一度会ってみたいと思ってたんだ!俺は『ファミリー』のリーダー、コズモだ。よろしくな魔王子さんよ!」


「よろしくお願いします、コズモさん。こっちは―――」


ユウヤアイ、ノエラ達を紹介する。

勇者と行動を共にしてる事はもう周知されているので、アイシス達も紹介した。


「ほへ~魔王子さんと勇者が一緒にいるとは聞いちゃいたが本当だったんだな。おっと、うちも自己紹介しなきゃな、おい」


「あいよ。あたいはコズモの妻、アダーニ。よろしくね、魔王子さん」


「俺っちはフリオ。よろしく!」


「俺はファビオ。よろしく」


「私はフローラ。よろしくね」


「えっと…アダーニさんが奥さんで、パーティー名が『ファミリー』…もしかして皆さんは御家族?」


「おう!俺に似ず美男美女の子供だがな!ワハハハ!」


コズモさんは虎人族かな。

背中に片手用の斧を二本背負っている。

如何にもパワーファイターといった感じだ。


アダーニさんは悪魔族。

いや、サキュバスかな?何となく。

武器は鞭と投げナイフ。

お祖母ちゃんの戦闘スタイルと似ているのかも。


フリオさんは見るからに斥候系。

短剣に投げナイフ。短弓も持ってる。

猫人族で身軽そうな身体つきだ。


ファビオさんは犬人族で斧槍を持ってる。

予備なのか小剣二本と小盾も持ってる。

細身に見えるが引き締まった身体をしてる。


フローラさんは魔法使いか。

杖だけじゃなく、弓も持ってる。

遠距離による後方支援がメインなのだろう。

悪魔族のようだ。



見事にバラバラな種族の家族だ。

しかし、バランスの取れたパーティーだ。


「それで?俺達に何か用があったんだろ?何だい?」


「あ、はい。シーサーペントの討伐依頼を受けたのですよね?」


「おう。それがどうした?」


「問題無ければどういう方法をとるのか、教えてもらえませんか。海産物に影響が出ないように倒すように依頼されましたよね」


「ああ、お前さん方も受けたのか。で、海産物に影響を出さずに倒す方法が浮かばない、と」


「ええ。同じ依頼を受けた冒険者に手の内を晒すなど、本来なら論外でしょうが…」


「いや、構わねえよ。実は俺らも同じなんだよなぁ」


「という事は?」


「俺達もいい作戦は浮かんでねぇ。とりあえず受けはしたがな。現状じゃ制限が解かれるのを待ってフローラの魔法で殲滅って方針だな」


「制限が解かれるのを…つまり、奴らの繁殖が終わり、海産物を食い尽くす前に被害が出るのを覚悟で倒せと許可が出るまで待つ。という事ですか」


「そういうこった。無理に倒そうとしても被害が出るのは確実だ。魔法で始末するのが結局は一番被害を抑えれるはずだ」


「それは困りますわ!」


「うん?困るって?」


「ああ…彼女はこのダイランの領主の娘でして。それで」


「ああ、そうなのかい。しかし、無理をして大きな被害を出しても意味が無いだろう?」


「それは…そうなのですが…でも…」


「文句があるなら、自分で何とかしなさい。代案も出さずに文句だけ言うのはズルいんじゃない?」


「う…」


フローラさんの意見は少々厳しいが正論だ。

しかし、リディアの気持ちも分かる。


「ま、シーサーペントの群れはまだ移動中らしい。繁殖地をダイランの近くにするとも限らん。肩透かしに終わる可能性もある。よく考えてみるんだな」


「そうですね。まだ少し時間があるようですし。考えてみます」


「おう。いい作戦があるなら手伝うのも吝かじゃないぜ?じゃあ俺らは飯に行くわ」


「はい。ありがとうございました」


「おう!またな!」


『ファミリー』の人達と別れ、ボク達も近くの店で相談する。

このままだと被害が出るのは避けられず、シーサーペントが他所に行ってくれるのを期待するしか無さそうだが…負傷してる個体もいるらしいし期待薄か。

さて…どうするか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ