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第180話 女王様とフランコ君 3

「じゃあ、行って来る…」


「うん。また後でね」


「フランコ、頑張れ」


アイシスとセリアさんに見送られ、クローディアさんが待つ馬車へ向かうフランコ君。

その足取りは重い。


「じゃあ、ボク達も馬車に乗ろうか」


「うん」


「ねぇ、そういえばクローディアさんは結局何でフランコ君の部屋に?」


「それはアニータさんとエッダさんの仕業だってさ」


「あの二人が?何で?」


「簡単に言うと…間違えたんだよ、ボクの部屋とフランコ君の部屋を」


「ああ…つまり…」


「一歩間違えれば、今のフランコ君の立場にお兄ちゃんがなってたかも知れない、と」


その時はノエラとセバストが気づいて阻止してくれたと思う。

ハティもいるし。


「あの二人もかなり酔ってたしね。クローディアさんを部屋に入れるまでで精一杯だったらしい」


「じゃあクローディアさんが裸だったのは?」


「それはクローディアさんが自分で脱いだんだってさ。普段から裸で寝てるらしい」


「半分は自業自得なのね…」


ちなみにこの話はフランコ君はまだ知らない。

話すかどうかはクローディアさんに任せよう。


「そうですか、そんな事が…」


「ほほほ、若いのう…」


今朝の出来事を出発前ギリギリまで寝ていたバルトハルトさんとゴードンさんに説明する。

二人共にまだ辛そうだ。

今は馬車の中で横になっている。


「ジュン殿は平気そうですな…」


「まさか、わしが負けるとはのう…」


「昔から酒で酔った事が無いんですよ」


だから偶に酒を楽しく飲める人が羨ましくなる。

酔って気分が良くなる事も、嫌な事を忘れる事も出来ないから。


「今頃、二人は何を話してるかな」


「案外、このままゴールインしたりして」


「婚約に留まらず、一気にか?」


「有り得なくは無いんじゃない?」


「その時はどう思うの?アイシスは」


「僕?素直に祝福するよ?」


あー…やっぱりまだフランコ君の想いには気が付いて無い、と。

まぁ気が付いていながらフランコ君を推したボクらも結構非道いか。


「でも…フランコと一緒に旅が出来なくなったら…ちょっと寂しいね。ジュン達と一緒になるまで、ずっと四人で旅してたから」


「うん。私も少し寂しい」


そうか…フランコ君がもし、このまま結婚したら…流石に一緒に旅を続けるのは難しいか。

何せ女王様と結婚だもんね。

グンターク復興に向けて忙しい日々を送る事になるだろうから。


「そうだね…ボクもちょっと寂しいかな…」


「うん…ウチも。でも、さ。一生会えないわけじゃないし」


「そうね。お兄ちゃんがいれば転移魔法ですぐだし」


「ふむ…フランコ殿は愛されていたのですね。少々気難しい所のある人物と思っていましたが」


「そういえば~フランコさんも治癒魔法が得意なんですよねぇ?じゃあ、もしかして私と同じ紋章を持ってるのかしら」


「というと?」


「私ね~治癒者の紋章を持ってるんですよぉ」


治癒者の紋章というと…所持者に治癒魔法適正を与え、微弱な回復効果を常に所持者に与え、魔法ではなく紋章の力で他者を癒す事も可能。紋章の力で癒す場合は下位の治癒魔法程度でしかないが。

かなり希少な紋章のはずだ。


「そうなんだ。でもフランコが持ってる紋章とは違うよ」


「そうなんですか?じゃあ何の紋章を持ってるのかしら」


「う~ん…フランコは自分が持ってる紋章言いたがらないから…言わないでおくよ。ごめんね」


「あら、残念」


「ごめんね。自分に似合わない紋章だから言いたくないんだってさ。そんな事ないのにね」


自分に似合わない?

確か治癒者の紋章の他に治癒魔法適正を与えてくれる紋章の一つに『優者の紋章』というかなり特殊な紋章があったけど…それかな?

優しい者なんて名前の紋章…もしボクも持ってたら…なんか照れくさくて言いたくないかもしれないね。


「カトリーヌさんは治癒者の紋章を持ってたのね。何となく納得」


「そうだな。癒し系って感じだし」


「うん。マイナスイオン出てる系だね」


「いやしけい?まいなすいおん?って何です?ジュン殿」


「あー…癒し系って言うのは見た目や雰囲気でそこにいるだけで癒しを与えてくれるような存在の人の事で…マイナスイオンって言うのは…えっと…都会で暮らしてると滝がある山や森に行った時、空気が美味しくて癒される~って感じた事ありません?初夏とか特に。あれに近い感覚をカトリーヌさんから感じるって事です」


「あらぁ?もしかして私、口説かれてるのかしらあ?」


「あんまりカトリーヌを褒めないでください。上限なく昇って行きますから」


「そうね。それにカトリーヌって実は腹黒だし」


「…毒舌だし…」


「酷いわねぇ…」


まぁそういう部分があるのも知ってはいた。

今までの皆さんとのやり取りで。

しかし、そうか。治癒魔法適正のある紋章を持ってるなら訓練すれば上位治癒魔法も習得できるだろうな。


「カトリーヌさん。落ち着いたらエルムバーン王都にある治癒魔法使い育成施設で訓練しますか?ボクがヤーマン王国まで行けば転移魔法で直ぐに帰れますし」


「あらぁ?やっぱり私、口説かれてるのかしらぁ?それって手元に置いときたいって事ですよねぇ?」


「……違いますよ。そこで治癒魔法使い育成のノウハウを学べばヤーマンに戻って後進の治癒魔法使いを育成に貢献する事も出来るでしょう」


「いいんですか?それって他国が政治的交渉を用いてようやく提供してもらってる物ですよね。我が国としては願ってもない事ですが…」


「構いません。と、言いたいとこですが、他国には何らかの要求をしてますから…そうですね…何か考えておきます。余り大した事は要求しませんから、安心してください」


「ありがとうございます!いやぁ持つべき者は親友ですね!」


「親友?誰と誰がです?」


「やだなぁ!決まってるじゃないですか!」


「誰の話か、わからないわね」


「…私とハティちゃん…」


「私とリリーちゃんじゃない?」


「…俺とセバスト殿…」


「わしとバルトハルト殿じゃろうて」


「お前らな…」


本当に仲いいな、この人達。

ていうか、うちの仲間といつの間に仲良くなってたの?

特にブロイドさんとセバスト。


「で、どうします?治癒者の紋章を持つカトリーヌさんなら上位治癒魔法も習得できると思いますよ」


「そうですねぇ…お願いします。でもぉ…ねぇ、マルちゃんとターニャちゃんも一緒にエルムバーンに行きましょうよ」


「え?私?私は治癒魔法適正無いわよ?」


「…私も…」


「いいじゃない。私一人じゃ寂しいし。ダバちゃんの子守はブロイドさんとゴードンさんに任せてぇ。あ、学校というのもあるんでしょう?それの設立と運営に関するノウハウをマルちゃんとターニャちゃんが学ぶって事でいいじゃな~い」


「子守って…カトリーヌは一番年下だろ…しかし、まぁ悪い考えじゃない。いいですか?ジュン殿」


「ええ。構いませんよ。お預かりします」


「手を出してもいいですけど、その場合は最後までキチンと…」


「はい、出しませんから、御安心くださーい」


「私、そんなに魅力ないですかぁ?」


「はい?」


「これでも自信あったんですよ?それにジュンさんは女好きって聞いてたのに…噂は当てになりませんねぇ」


「クローディアさんの真似ですか」


「はい。似てました?」


「ええ。後は涙目にして上目遣いでお願いしたら完璧ですね。大概の男は落ちると思いま…す…よ」


ハッ!しまった!

余計な事を言ってしまったかもしれない!


「ジュン様ぁ…私ってそんなに…」


「はい、そこ!早速実践に移ろうとしない!はい、クリステアも!わざわざ鎧を脱いでまでやろうとしなくていい!ていうか君ら器用だな!自由自在に涙出せるの!?」


「ま、涙は女の武器だからね」


「基本だよ、お兄ちゃん」


『そうなんか?わいは出せへんわぁ』


「そりゃメーティスは剣だからね…」


「う~ん…ハティはあくびしないと出せない!」


うん、ハティが女の武器を身に着けたらヤバいね。

傾国の美女になりそうだ。


そんなこんなで騒がしく会話しつつ、夜にはグンタークの王都グーテンベルクに到着した。

クローディアさんとフランコ君が乗った馬車は先に到着して、既に二人は降りているのだが…


「嘘…フランコがあんなに楽し気に誰かと話してるなんて…」


「うん。初めて見た」


確かに、あんなにこやかに笑うフランコ君は初めて見る。

クローディアさんも実に楽しそうだ。


「た、楽しそうだね、フランコ」


「何時ものフランコっぽくない」


「ああ、アイシスにセリア。いやぁ私でもそう思うが…クローディアさんとは本当に気が合うんだ」


「そうなんです!今まで出会った誰よりもフランコさんとは気が合って…とっても楽しいんです!」


「あ、ああ、そうなんだ…うん、よかったね」


「ああ、ありがとう」


「ありがとうございます。それじゃ皆さん、歓迎の宴の準備は出来てるはずですので、御案内させます。私は一度、着替えて参りますので。フランコさん、名残惜しいですけど、また後で」


「大丈夫だ、クローディアさん。また後で」


何だろう、この二人…既に友達以上恋人未満にまで達してるような。

あの馬車の中で一体どんな会話が…


そして歓迎の宴の最中も二人はにこやかに、実に楽しそうに会話をし…翌朝。


「はい、アーン」


「あ~ん…うん、美味しい」


「じゃ、次は私にして?」


「うん。はい、アーン」


「あ~ん…うふっ、美味しいっ」


……………………

何だろう、この空気。

皆あの二人に呑まれたのか無言だし。

なんか、あの二人の周りにある空気がピンク色になって見える気がする…


「何、あのバカップル…」


「もはや完全に付き合い立ての恋人同士じゃん…」


「バカップルですか…初めて聞く言葉ですが意味は何となくわかります」


「ダバちゃんとオリビアちゃんみたいねぇ…」


「まぁ…兄妹じゃないだけ、この二人は正常だし…」


まぁ確かにあの二人は正常だ。

イチャイチャするのも恋人同士なら問題は無い。

問題は無いのだが…何だかなー。


「何だろう…こうなるようけしかけたし、思惑通りなんだけど…」


「うん…なんか悔しいくらい幸せそう…納得いかないくらい大成功って感じ」


確かに、フランコ君をクローディアさんに薦めたわけだし…思惑通りなんだけどね。


「フランコって恋人が出来たらあんな風になるんだ…」


「意外…」


「アロイスとフルールもそうだったぞ」


「ええ~…あんまり知りたくなかったかも…」


恋人や奥さんが出来る事で意外な一面が見える人っているよね。

前世でもそういう人は居た。


今日は治癒魔法使い派遣に関する詳細を詰め、父アスラッドをグンタークに連れて来て話をまとめる。事前にある程度は話しておいたので、明日から派遣可能だ。治癒魔法使いの護衛にはボクの親衛隊とグンタークの騎士団が付く。


そして翌朝…


「皆さん、聞いてください」


「私、クローディア・ウル・グンタークは、フランコ・ルーベルトを夫として迎える事に決めました」


「「「「え?」」」」


それって…つまりは…


「え?それってもう結婚するって事?先ずは婚約してから周りに周知するんじゃなく?結婚するの?」


「はい。結婚します」


「えっと…クローディアさんは、この国の王なんだからいいとして。フランコ君はヴェルリアの国王陛下や家族と相談しなくていいの?」


「無論、許可は貰いに行く。国王陛下は問題無く許可してくださるだろう。父はどうかわからんが…例え反対されても国王陛下が許可くだされば無視して問題無いしな」


「いや…ルーベルト家にとっても、いい話だ。反対はすまいが…早すぎないか?フランコ」


「大丈夫です、バルトハルトさん。何ら問題ありません」


二人が知り合って今日で何日目だ…四日目?

四日でスピード結婚か…驚きの速さだな…まさかこんな事になるとは…いや、一応可能性はあると思ってはいたが…まさか本当に…


「式はヴェルリアの国王陛下や、フランコの家族も呼ぶ事になりますから調整が必要ですので今日明日というわけにはいきません。ですが一ヵ月中には挙げたいと思います」


「「「早っ」」」


何なんだ、そのテンポの良さ。

相性が抜群だったのかな…現代地球でも中々無かったよ?


「ジュン様…」


「何?ノエラ」


「あの御二人…もう処女と童貞ではありません…」


「へあっ!?」


「え…それって…え?」


「本当だ…ノエラさんの言う通りだ…」


「はい。私の眼にもそう見えます…」


何という事でしょう。

まさか二人の仲はそこまで…


「幸せになろう、クローディア。二人で」


「ええ、フランコ。でも、二人だけじゃなく今後生まれて来る子も一緒に、ね」


「ああ、そうだな」


そういえば、お互いに呼び捨てだし…

本当にそこまで…もう結婚するしかないわけね…


「グンタークの王族が増えるのは早そうだね…」


「そうだね…何人くらいになるかな…」


「二人共若いし…十人くらい作りそう…」


グンタークの未来は明るそうだ。

まぁ、幸せそうだし…いいか?いいよね?

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