第163話 ヤーマン王国へ
ダーバ王子一行との勝負の翌日。
ヴェルリア王国ノーヴァ伯爵領まで転移で移動。
そこから更に西のヤーマン王国を目指す事に。
メンバーは何時もの面子にダーバ王子一行だ。
アイシス達とティナ達は御留守番。
ヤーマン王国に着いたら転移で迎えに行く事になっている。
とはいえ、何時ものように夜には転移で城に戻るのだが。
「いやぁ~便利ですね。野営する必要が無いとか」
「本当。この馬車も速いし、中は広くて快適だし」
「私達の馬車とは大違い…」
「そうねぇ。流石は大国エルムバーンと言った所かしら」
「誤解の無いように言っとくけど、この馬車はジュンが自分で稼いだお金で作ったやつだからね」
「お兄ちゃんの剣を作るのに協力はあったし、旅に便利な魔法道具なんかも貰ったけど…それだって魔王家の資産だし。決して国から出たお金で用意したわけじゃないわ」
「あら~そうなんですか?ジュン様って既に大金を稼いでるのねぇ」
ま、金銭絡みで国に迷惑を掛けた事は無い筈だ。
冒険者の仕事も大物によく当たるお陰で、大金がよく入るし。
「ほほ~、ジュン殿はどうやってそれほど稼いだんですか?やはり冒険者として?」
「はい。それも有ります。あとはこの魔法の袋を作ったり、服のデザイン何かで」
「そんなことも出来るんですか」
「そういえばリリーちゃんが着けてた下着。可愛い下着だったけど、もしかしてあれはジュン様のデザイン?」
「違います。女性の服や下着のデザインはユウとアイです。ボクは男性用の服を少しデザインしただけです」
「あらぁ~そうなんですか。私もあの下着欲しいわぁ。エルムバーンの王都で売ってるのかしらぁ?」
「確かに。可愛い下着だったね。あたしも欲しいかも」
「マルちゃんにはまだ必要無いんじゃない?」
「そんなこと無いわよ!」
「そうかしら?あ、ターニャちゃんには必要よね。今度一緒に買いに行きましょ」
「い、いい…私はいらない…」
それだとマルレーネさんよりターニャさんの方が胸が大きいということに…服の上からじゃ、ちょっとわかんないな。
「因みにマルちゃんのバストは75ですよぉ、ジュン様」
「何で言った!?」
「いいじゃない。御世話になってるんだし、これくらいサービスしたって、ターニャちゃんのは今度測っておきますね」
「やめて…」
これがサービスになる理由がわからない。
まぁ、気持ちは有り難く受け取って心のメモに刻んでおくけども。
「私は97でルチーナは80ですよ、ジュン様」
「何で言ったの!?」
いや、まあクリステアなら乗ってくるんじゃないかな、とは思ってた。
ルチーナは完全なとばっちりだね。
「ふふん。ルチーナはもうすぐ抜けそうね」
「うん。バストアップ体操が効いてるね」
「「それ、教えて下さい!」」
アイの言ったバストアップ体操という言葉に過剰反応するルチーナとマルレーネさん。
必死だなあ。
「マルレーネはもう手遅れじゃないか?成長しないだろう」
「やっかましぃ!」
「ごふっぅ!」
余計な事を言ったダーバ王子を容赦なく殴るマルレーネさん。
仮にも従者が王子を殴って平気なんだろうか?
「あいたたた…ん?どうかしました?」
「いえ…随分仲がいいんだな、と思いまして」
「ああ…こんなのは日常茶飯事ですよ。我々は幼なじみなんです」
「へぇ、そうなんですか」
「はい。爺さんはヤーマン王家に仕える貴族家の元当主ですが、後は皆、次男だったり次女だったりですが、年が近いからよく遊んでたんですよ」
「ん?あの失礼ですが、皆さんお幾つで?」
「私は二十歳です」
ダーバ王子は見た目通りの年齢か。
「あたしは十八歳です」
マルレーネさんも見た目通り。
問題はここからだ。
「十九歳です…」
「「「嘘ぉ!」」」
ターニャさんが十九歳?
マルレーネさんより上?
見えないなぁ。
「ほ、本当です…」
「まあ、本人は年相応に見られない事を気にしてるんで。余り触れないでやってください」
「あ、それは失礼を」
いかんいかん。
元教師としては相応しくない発言だったな。
「気にする事無いって私は思うんですけど。私みたいに老けて見られるよりよっぽど良いと思うわぁ」
「ええと…カトリーヌさんはお幾つで?」
「私は十七歳です」
「「「え」」」
まさかダーバ王子一行で最年少がカトリーヌさんだとは…予想外過ぎる。
「十七でバスト99…?」
「不公平だわ…」
とは、アイとユウのセリフ。
君達がそこに食いつくんだね。
「大きいからって余り良いことも無いんですよ?肩は凝るし…男性にはモテるんですけどロクなの寄って来ないですし」
「わかります」
「よくわかるですぅ」
「あ、私もわかります」
同意を示したのは、クリステア・リリー・シャクティだ。
つまりこの四人は…巨乳。
そして同意出来なかった人達は…
「これが持つ者の余裕…」
「私も後数年であっち側に…」
「……」
「わ、私は小っさくは無い…普通だし…」
「私も、せめて普通サイズに…」
「私は別に小さいままで…背は伸びて欲しいけど…」
アイ・ユウ・ノエラ・ルチーナ・マルレーネ・ターニャ。
六人は貧乳組になるわけか…口に出すと怒るから言わないけど。
ちなみにハティは巨乳だけど話には入らず寝ていた。
「えっと…ブロイドさんは?」
「二十一…だ」
「「「え!」」」
見えない、見えないなぁ!
下手したら三十代後半に見られそうな…
「あっと…失礼しました」
「気にしていない…」
「ブロイドも老けて見られますが、何時もの事ですし、本当に本人は気にしてないんで大丈夫ですよ」
だといいんだけど。
気にしてないと言うのであればこれ以上はいいか。
「皆さんが幼なじみならゴードンさんは?」
「爺さんは私の護衛として昔から一緒なんですよ。当主を引退して暇を持て余してたのを父に見つかって護衛に任じられたんです」
「別に暇を持て余してたわけじゃないんですがのぅ。陛下に言われてやむなし、ですじゃ」
「ま、こんな調子ですが腕は確かですし」
「ええ。模擬戦は見事でした。…ズバリ聞きますけど、槍聖の紋章を持ってますよね?」
「ほ!流石にわかりますか。その通りですじゃ」
「あ、やっぱりそうなんだ。じゃあ今度ウチと手合わせしようよ、お爺さん」
「ええ?アイ様が?幾ら何でも無謀なんじゃ…」
「マル嬢は未熟じゃな。見た目に惑わされすぎじゃ。アイ様は相当な手練れじゃぞ」
「え…だってお姫様でしょ?」
「正確には魔王女だけどね。ウチはこれでも拳聖の紋章を持ってるの」
「「「嘘ぉ!」」」
「本当よ。ほら」
「爺さん、わかるか?」
「うむ。間違いないのぉ。まさかその若さで…畏るべき才能じゃの」
確かに。アイはまだ十三歳。
幾ら前世でも天才格闘家だったとはいえ、凄すぎだろう。
ボクが双剣豪の紋章を獲得したのも異常に速いらしいが。
「えっと…今度は私達がそちらの年齢を聞いても?魔族は見た目通りの年齢じゃないのは知ってますが…」
「ボク達は見た目通りだと思いますよ?ボクは今年十六です」
「ウチは十三歳」
「私も今年十三歳」
「確かに見た目通りですね…いや、だからこそおかしいというか…特にアイ殿が」
「皆同じ事言いますよ。ボク達もアイが拳聖の紋章を獲得した時は驚きましたし」
ちょっとした騒ぎになったくらいだし。
ガウル様なんてダルムダット魔王国を挙げて祝おうとしたくらいだ。アリーゼお姉ちゃんに止められてたけど。
「シャクティはボクと同じで今年十六。セバストは二十五だっけ」
「ああ。今年二十六だ。ノエラは…」
「秘密です」
「え?あ?何でだ?」
「秘密だからです」
「ま、まぁ無理に言わなくていいですよ」
「魔族の人って年齢気にして無い人ばかりだと思ってた」
「そうねぇ。ヤーマン王国に居る魔族の人はそうよね」
長寿で若い期間が長い魔族は年齢を気にしない処か数えて無い人も多い。むしろノエラが珍しい。
何で隠すんだろう?
「ノエラ、何で秘密なの?」
「ジュン様のせいです」
「え?ボク?」
「はい。私はサキュバスです。なのに未だ処女…ジュン様が抱いてくださらないから…」
「ボクは今、聞くんじゃなかったと激しく後悔してるよ」
ボクのせいじゃないじゃん。
冤罪もいいとこだ。
「その理屈で言えばここに居る全員がジュン様のせいで処女という事になりますね」
「ならねーよ。クリステアが処女なのはクリステア自身の責任だから。いや、クリステアに限った話じゃないけども」
強いて言うならこの場ではアイだけだろう。
いや、シャクティもなのかな…。
「え?ジュン様って誰にも手を出してないんですか?」
「意外…」
「本当に。女好きって話しじゃなかったの?ダバちゃん」
「ん~…何処に行くにも常に美女と美少女で囲ってると聞いたからてっきり…」
「まあ、それは否定しませんよ。現に女の子ばかりだし。でも誰にも手を出してませんよ。あと念の為に言っておきますが!男色じゃないですからね!」
「あ、アハハ。そ、そんな勘違いしてませんよ?」
「この前のは冗談ですから。アハハ」
いーや、その顔は考えてたって顔だ。
男色の噂が立つくらいなら女好きの方がよほどいいわ。
そうしてヤーマン王国への馬車の旅は続き。
途中までは順調そのものだった。
途中までは…




