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第154話 ダンジョン

「で、目的地は?お兄ちゃん」


「王都から北北東。山間の谷間だってさ」


「シンシアさん、だっけ。そんなとこに何しに行ったの」


「その辺りに自生する薬草を取りに行ったらしいよ」


ボク達は今、シンシアさんの心残りを解消するため、シンシアさんが死んだと思われる場所に向かっている。


今日はいつもに比べると少人数だ。

セバストとノエラ。ティナ達もいないし、ハティもいない。

ボク ユウ アイ リリー シャクティ 

クリステア ルチーナ の七名だ。


「この組み合わせで出掛けるのって初めてだよね」


「そういえばそうだね」


セバストとノエラは何時も一緒だからね。

何時もはセバストが御者をしてくれるのだか今回はシャクティがしてくれている。


「シャクティ、大丈夫?」


「はい!ゴーレム馬車の操車は簡単ですから」


「そっか。疲れたら言ってね」


シャクティは偶にセバストから普通の馬車の操車も習っていたし、大丈夫だろう。


「ねぇ、ジュン。今更だけど、アイシス達は良かったの?誘わなくて」


「まぁ、今回は指名依頼だしね」


「ふぅん。後で文句言いそうだけど」


「何でさ」


「何となく。まぁ、言うのはアイシスだけだろうけど」


「大丈夫だろ。だって今回の目的は…死体を探す事なんだし…」


「あ、そっか。そうだよね…」


誘った所で嬉しくも何とも無いだろう。

少なくともボクなら嫌だ。


それにしても死体を探す旅か。

あったなあ、そういう映画。


「ジュン様、着きました」


どうやら目的地に着いたらしい。

正確には谷間の手前の森だ。

ここからは徒歩になる。


「獣道すら無いけど。本当にここ行くの?虫が凄そうだけど」


「諦めなさい」


「うえ~…」


ボクだって出来るなら通りたくは無いけどね。


「今日は何時もより人数が少ない。油断せず行こう」


「ここ、危険な魔獣が居るの?」


「居ない。居てもDランクまでらしい。因みにシンシアさん達のランクもD。付け加えると、ここに来るのは彼女達は慣れっこだったらしい」


「あれ?という事は?」


「彼女達の予想外の存在が居た。という事だろうな」


何が居たのかは、全く不明。

情報は無い。


「そういう訳で隊列だけど、先頭はクリステア。二番目はボク。殿はルチーナだ。リリーは中央で索敵。頼んだよ」


「「「はい!」」」


クリステアを先頭に森を進む。

実に静かだ。

森を歩くボク達の足音しか聞こえない。


「静かというか、静か過ぎないか?鳥の鳴き声もしないし、虫の気配も殆ど感じないぞ」


「リリーの耳にも何にも…」


「お兄ちゃん、探査魔法は?」


「使ったけど…何も居ない。魔獣も動物も。虫は居るけど、少しだけ」


「おかしいね」


「うん。クリステア、注意して進んで」


「はい」


それから注意深く進んだが何も発見出来ず。

シンシアさん達が訪れたであろう薬草の自生地に到着する。


「この辺りが薬草の自生地なんだけど…」


「雑草すら枯れてない?」


「岩も妙に多いね」


「落石ですね。数日前に王都でも地震が有りましたから。この辺りも揺れて落石があったのでしょう」


恐らくはクリステアの言うとおり、地震の為に落石が有ったのだろう。でも、それだけじゃ草木が枯れてる理由は解らない。


「兎に角、付近を捜索…」


「どうしたの?お兄ちゃん」


「ジュン?」


「…付近の捜索を開始するけど…皆、ばらけずに捜索しよう。全員が見える位置に居るように」


「え?どうして?」


「効率が悪いんじゃない?」


「嫌な予感がするんだ。いざとなったら転移で即離脱出来るようにね」


「うん…分かった」


「確かに、何かおかしいしね」


「それじゃ、捜索開始で」


目視で付近の捜索を開始する。

事前に探査魔法で調べてはいるが、魔法では何も分からなかった。となると、後は目視による地道な捜索だ。


「何か見つけた?」


「な~んにも。ユウは?」


「私も何にも」


「クリステアは?」


「何もありません。ルチーナはどうです?」


「何も無いですね」


「リリーはどう?…リリー?」


リリーに目を向けると、何やら目を瞑って耳を澄ましているようだ。何かあったか?


「ジュン様。何か向かって来るです」


「方角は?数とかも分かる?」


「方角はあっちです。数は…一杯…何が来るかは分かんないですぅ」


「全員集合。戦闘態勢。結界を張るからその中に」


「ジュン、探査魔法は?」


「リリーが気づいて直ぐに探査し直したけど…さっきまで何も無かった突然現れた感じだ。向かって来るのは…何だろうな。魔獣や動物…虫もか?兎に角雑多だ」


本当に…何だか分からない。

そして最初に姿を見せたのは…鹿?


「普通の鹿?じゃないよな」


「ジュン、他にも来たよ」


続いて現れたのは鳥やら魔獣やら虫やら。

探査魔法で判明した通りだが…


「ねぇ、もしかしてこれ全部…」


「ああ。アンデットだ。全部ゾンビ化してるな」


「もしかして、シンシアさん達の死体も…」


「今向かって来てる奴らの中に混ざってる可能性大だな…」


「それって拙いんじゃない?主にお兄ちゃんが」


「うん。ひっじょーに」


動物や虫のゾンビはまだ平気だ。

しかし、シンシアさん達のゾンビを見た日にゃ。

半狂乱になって辺り一面吹き飛ばすかもしれない。

そうなる前に…


「最大威力の神聖魔法を広範囲で放つ。ちょっと準備に時間かかるから、ユウも結界を張って」


「うん、分かった」


魔力を高め、魔王の紋章を使用。

範囲内に向かって来るゾンビが入るのを待つ。

シンシアさん達のゾンビを目にしないよう、目を瞑りながら。

そして、全ゾンビが入った!


「サンクチュアリ!」


『ゴアアァァァ』


神聖魔法に触れたゾンビ達が塵となって消えて行く。

チラッと見えただけだが、人の姿をした存在も見えた。


「…終わった?」


「まだ犯人が出て来てないけど、とりあえずゾンビの群れは浄化出来たと思う」


「あれはこの辺りの動物や魔獣達だよね。通りで、森に何の気配も感じないわけだね」


何者かによってこの辺りの動物も魔獣も虫でさえもゾンビに変えられてしまったか、逃げ出したのだろう。


「とにかく…目的を果たそう。さっきチラッと人の姿が見えたから、多分…」


「うん。ウチも見えたよ。こっち」


「見ちゃったの?お兄ちゃん、平気?」


「チラッとだから…何とか」


直視してたら多分ダメだったかな…


「ところであのゾンビの大群ってどこから来たの?」


「リリー、わかる?」


「えっと…何となくですけど、下から来たように思いますぅ」


「「「下?」」」


下…土の中?地下?


「土の中に埋まってたって事?確かにゾンビっぽいけど」


「でも、パッと見た感じではそんな感じじゃなかったよ?土とか泥とかついてなかったように思うけど」


「ふむ…となると、だ。何処かに地下に降りるような道があるのかな?」


「ジュン様、アレではないでしょうか」


クリステアが指を差す方向を見ると、岩陰になって見えづらいが山間の岩肌に洞窟のようなものが見える。


「…シンシアさん達の遺品を見つけたら、あの洞窟を調べてみよう」


「それならウチがもう見つけたよ。三人分の冒険者証と身に着けてた装備品」


「早いな。血の跡とか、破れた跡とかある?」


「無いね。綺麗なもんだよ」


という事はやはり何者かにゾンビ化させられたと考えるべきだな。

まぁ、あれだけの数の動物や魔獣がゾンビ化してる時点で、何かヤバいのがいるのは確実だけど。


「じゃ、洞窟まで行くよ。慎重にね」


洞窟の入り口まで行くと、洞窟から漏れる異様な気配を感じる。

そして洞窟には人工物である階段が存在した。


「これは…もしかして所謂ダンジョン?」


「そのようですね…恐らく先日の地震で岩で塞がっていた入口が開いた事で中に居た何者かが外に出たのでしょう。その何者かがシンシアさん達を襲い、ゾンビに変えたと思われます」


「そして、その後ダンジョンに戻ったか」


「どうしてそんな?」


「久しぶりに外へ出たから、単に様子見だったのか、食事だったのか」


「食事?」


「魔獣の中には魔力と共に生命力まで吸収する奴も存在するから。それならシンシアさん達の装備に外傷を受けた跡が無いのも一応の説明はつくし」


「生命力を吸われた事でゾンビに?」


「詳しい仕組みはわからないよ。相手が不明だし。兎に角、この入口は結界で塞いで見張りのゴーレムを置く。一旦戻って冒険者ギルドに報告。この周辺の街や村に警告を出してもらおう。ダンジョンに戻ったわけじゃなく、未だ外をうろついてる可能性も大だし」


「「「はい」」」


予想外に大事になりそうだな。

何とかなる存在ならいいんだけど。

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