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第151話 後日談

レヴィさんを救出した数日後。

ボク達はレヴィさん達を連れて城内を案内している。

レヴィさん達の移住は驚くほどあっさりと決まった。

御両親曰く


「恩人であるジュン様の言う事ですし、娘の為ですから」


と、あっさり移住を決めてしまった。

ただ一つ解らないのは…


「わぁぁ!凄い凄い!想像よりもずっと凄いお城ね!ね、レヴィ!」


「う、うん。そうだね、ハンナさん」


「堅いわねぇ。昔みたいにお姉ちゃんって呼んでいいのよ?」


「あ、アハハ」


何故かハンナさんという、レヴィさん家の隣のお姉さんが一緒に来た事だ。


「何で?」


「まぁ、いいんじゃない?知らない土地でいきなり暮らす事になったんだし、一人でも知り合いは多い方が」


まぁ、それは確かにね。

でも、何て言うか…村でのやり取りと、今のレヴィさんの態度を見る限り、レヴィさんはあまり喜んでいないような。

確か…


「ねぇ、レヴィ。私達、昔はよく遊んだわね」


「え?う、うん」


「病弱だった貴女を、御両親に代わって看病した事もあったわ」


「あ、うん。あの時はありがとう?」


「貴女は私にとって妹も同然。可愛い妹が遠く離れた異国の地で暮らすなんて心配で心配で…」


「えっと…お父さんとお母さんもいるから大丈夫だよ?」


「というわけで、私もついて行くわ。よろしくお願いします、ジュン様」


「はい?」


「ちょっと?ハンナさん?」


「遠慮しなくていいのよ、レヴィ。元々村は出る予定だったんだもの。それがちょっと早まって、場所が変わっただけよ」


「そういう問題じゃなくて!ジュン様に相談も無く、そんなの決めれないよ!」


「ふふっ、レヴィ」


「な、何」


「(話合わせて協力しなさい。でないと、貴女が初めて一人で狩に行った日、お漏らしして帰って来たのバラすわよ)」


「なー!何でそれを!」


「(声が大きい!いいわね?うまくジュン様に許可を貰いなさい)」


「うぅっ、ジュ、ジュン様?ハンナさん…ハンナお姉ちゃんも一緒にお願いします。わ、私にとって実の姉のような存在で!だから、そのぉ~…」


「はぁ…まぁいいですよ」


「ありがとうございます…」


「(よくやったわ、レヴィ。お礼にこの前、ジュン様の前で服を脱がした件は忘れてあげる)」


「は、ははっ…」


と、まあ。こんなやり取りがあったのだが。

許可を出したんだし、今更帰れなんて言うつもりは無いけど。


「どうかしましたか?ジュン様」


「あ、いや…ハンナさんはここに来て本当によかったんですか?故郷どころか家族とも離れ離れですし」


「はい。元々村を出て、街で働くつもりでしたし。レヴィが心配なのも本当ですよ」


「そうですか…」


なら、これ以上は何も言うまい。

誰かが強制したわけじゃなく、自分から言い出したんだし。


城内を一通り案内して、レヴィさん達と今後について話合う。


「レヴィさんには安全の為、出来るだけ城内で過ごしてください。外に出る時は護衛が付きます。不自由だとは思いますが、あいつを捕まえるまで我慢してください」


「え、あの…狩とか行っちゃ駄目ですか?」


「狩?」


「はい。狩に行かないと、お肉が食べられないですよね」


「そうだな。収穫出来る物は収穫してきたが、蓄えも余りないし…」


「そうねぇ、直ぐにでも働かなきゃ」


「私も仕事を見つけないと」


「あの、皆さんは客人として来て頂いたので、食事くらい用意しますよ?」


「「「「え?」」」」


「え?」


「ご飯出るんですか?狩に行かなくても?」


「はい。勿論、肉も出ます」


「いや、しかし、食事以外にも必要な物はありますから…」


「生活費としてボクから毎月金貨三枚お渡しします。まずは支度金として金貨五枚を…」


「「「「金貨五枚!!!」」」」


「はい。あ、足りませんか?」


「違いますよ!私達、まだ何にも働いて無いのに金貨五枚も貰えるんですか?」


「しかも毎月金貨三枚…」


「食事も戴けるのに金貨三枚も…申し訳なさ過ぎます!」


「私も流石にそれは…」


結局、守って貰う上にただで金貨三枚も貰えないと固辞されたので四人とも働いて貰う事になった。

但し、レヴィさんには神獣の力のコントロールを覚えて貰う為、訓練をして貰う。

将来的にはボクに恩返しする為に親衛隊に入りたいと言っていた。


レヴィさん達との話し合いの結果をアイ達に話したら…


「当たり前じゃない。当然の反応だと思うな」


「私も。自分が同じ立場だったら同じ事言うと思うな」


と、言われた。

まぁ考えてみればそうか?

でも、エルムバーンに来て貰ったのはこっちの都合でもあるし。

生活の面倒を見るくらいしないと駄目だと思ったんだけどな。

経済的には余裕があるんだし。


「ま、当人たちのしたいようにさせてあげたら?働きたいなら働かせてあげたらいいじゃない。それより、あいつの事何か分かった?」


「いいや。まだ何にも」


「協力者に関しては?」


「そっちも何も。研究所に人をやって調査させてるけど、今の所は成果無し」


「あの洞窟がある国には?聞いてみたの?」


「いいや。聞いて無いよ」


「何で?何か知ってるかも知れないじゃない」


「その国が協力者かもしれないからだよ」


「え?小国とはいえ国でしょ?国が犯罪者に協力してるの?それに自国民を実験台にさせたの?」


「確定したわけじゃない。可能性があるってだけ。あの研究所は大きいし、造りも頑丈だった。個人で国にバレずに造った、よりも国が協力して造ったって方が信じられる。それに研究所があった国…モラン王国の隣国は例のガリア魔王国だ」


「ガリア魔王国?小国同盟の盟主の…」


「そう。現段階で一番怪しいのはガリア魔王国。そのガリア魔王国と同盟関係にある国に聞いたり出来ないだろ?ましてや今回はお忍びで行ったし、エルムバーンで起きた事でもない。聞くに聞けないの。証拠でも無い限り、ね」


「隠し事が上手いのね…あ、そういえばアイシス達は?」


「国と領地に戻って奴の捜索を進言中。かなり頭に来てるみたいだからね。特にバルトハルトさんが」


バルトハルトさんは奴に煮え湯を飲まされたんだし、無理も無いけど。


「頭に来てるのは、お兄ちゃんもだよね」


「あ、わかる?」


「勿論。だって、あれからずっと笑ってないもん。無人の村を発見した時から」


「頭に来てるのは、ウチとユウもだしね。あんなの見せられたら…ね」


調査で発見した無人の村。

人は居なかった。

だが死体はあった。

抵抗したのであろう、武器を持った男性。

女性と、女性に握られた胴体のない子供の手。

揺りかごの上の赤ん坊でさえも…!


「ボク、あいつなら殺せるかもしれない。何の抵抗も、罪悪感を感じる事も無く」


「うん。少なくとも罪悪感を感じる必要は無いよ」


「生かしておく理由は無いよ、お兄ちゃん」


前世から今までの人生で、これ程の怒りと殺意を、誰かに覚えた事は無い。

次で必ず決着を付ける。

次で、必ず。

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