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第149話 レヴィと融合

――レヴィ――


凄い…ノエラさん、本当に強い。

基本は短剣二刀流。

でも魔法も使えるし、一瞬で短剣を仕舞ったと思ったら投擲用のナイフを取り出し投げたり、使い捨ての魔法道具?を出したりしてる。

動きもメイド服でどうしてあんなに早く動けるのかわからない。


そして、そのノエラさんに対抗してるお爺さん…。

魔法使いなのに、どうしてあの動きに対応できるの?

経験も豊富だからってだけじゃ無さそうだけど…。


『何らかの紋章の力でしょう。身体能力向上系の補助魔法も使用してるようです』


「紋章の力…どんな?」


『恐らく、ですが。思考加速系ではないでしょうか』


「思考加速?」


『集中力が極限まで高まると、周りの動きがゆっくりに見えるとか聞いた事がありませんか?それと同じです』


「なにそれ、凄いね」


『確かに厄介な力です。ですが思考の早さに反して肉体の動きは加速されるわけではありません。ですから何とかノエラの動きに対応出来てはいても、凌駕する事は出来ないのです』


「じゃあノエラさんは勝てそう?」


『このままいけば…先にあの男の体力が尽きるでしょう。むしろあの老体であそこまで動いて、未だ体力が尽きてないのが不思議なくらいです』


確かに、お爺さんは息が荒いように見える。さっき受けた一撃で出血もしてる。

体力的な余裕は無さそう。

ノエラさんは体力的にはまだまだ余裕がある。

大きなダメージも受けてない。

このままなら、勝てる。


「ふぅ、ふぅ…老人には優しくせんか…」


「他人を道具としてしか見てないような人が何を言うのです?言ったはずです、貴方は私が殺す、と」


「ふん、仕方ないのう。奥の手を一つ、出そうかの」


お爺さんはノエラさんから距離をとり魔法を使いだした。

あれは、召喚魔法?


「ちぃ…召喚も時間が掛かる。本当に厄介な能力じゃ…仕方ない、わしの紋章も見せてやろう」


「それは…」


「ヒーノ、あの紋章は何か分かる?」


『ええ。昔見た事があります。あれは『大魔導士の紋章』です』


大魔導士の紋章…上位の紋章だよね?

紋章の力を使用したからなのか、手古摺っていた召喚も瞬時に完了させた。


『大魔導士の紋章の力の一つに思考加速があった筈です。他には魔法使用時の消費魔力減少、魔法の強化。魔法適正の増加。あとは所持者の個性に左右される能力が何か…ですが、あの男の個性に左右される能力なんて碌なものじゃないでしょう』


「それも気になるけど、あの魔獣は?すっごいヤバそうだけど」


「双頭の犬…オルトロスですか?単体討伐難度A。凶暴な性格で、決して人に懐く事のない魔獣だと聞いていますが。よく召喚契約出来ましたね」


ノエラさんはあの魔獣の事を知ってたみたい。

単体討伐難度Aの魔獣を従えてるなんて…。


「わしの紋章…大魔導士の紋章の力に魔力を流し込んだ魔獣を支配するという能力があっての。魔獣を捕らえるのに大いに役に立つ能力じゃよ」


『……やはり、碌でもない能力でしたね』


「本当に…」


でも、そうか神獣のヒーノを捕まえたのもきっとその紋章の力で…。

て、悠長に考えてる場合じゃない!


「どうしよう、ヒーノ。形勢逆転だよね、これ」


『ええ、不味いですね。あの男と魔獣を同時に相手にするなど…』


合体して加勢する?

ううん、合体しても三十秒以内にあの魔獣を倒せるとは思えない。

それどころか負けちゃう可能性の方が高い気がする。


「レヴィさん、お逃げください。近くまでジュン様が来ている筈です。私がここを抑えている間に」


「でも、それじゃノエラさんが…」


「私は貴女を助け出すよう命令を受けましたが、この状況では正直足手纏いなのです。貴女が逃げてくれれば、何とかなります」


「そうはいかんな。あの小僧も来てるとなれば逃がすわけには…ん?」


「レヴィさん!ヒーノ!危ない!」


「あ!ヒーノ!」


『魔獣!?いつの間に!』


ヒーノが危ない!ヒーノは私が!


「う…あ…!」


『レヴィ!そんな…!』


私がこの日、最後に聞いた言葉はヒーノが私を呼ぶ声だった。




――ヒーノ――



レヴィ!…あぁ…そんな…


「レヴィさん!くっ…ヒーノ!その魔獣の排除は可能ですか!?」


魔獣…そうだ、まだ魔獣が!


「おっと、フェニックスまで手を出されては困るの。ほれ」


魔獣が一瞬にして氷で串刺しに…

あの男に助けられるとは…。いえ、全ての原因はあの男です。気にする必要はない。

それよりもレヴィを助けなくては!


『レヴィ!聞こえますか!しっかりして!意識を保つのです!』


「う…」


ダメ…傷が深すぎる…このままでは…。


「ヒーノ!ジュン様の所までレヴィさんを連れて行くか、ジュン様を連れて来なさい!ジュン様は治癒魔法が使えます!レヴィさんが生きているなら、治癒出来ます!」


あの少年の下へ連れて行くのは今の私には不可能…連れてこようにもレヴィと違って召喚契約をしていない。居場所を感じる事は出来ない。連れて来るまでどのくらい時間が掛かるか。それまでレヴィは生きているか…いえ、きっともたない。


「まだ他人の心配をする余裕があるのか?あのお嬢ちゃんより先にお主が死ぬぞ?」


「くっ!」


「あの小僧が来ると厄介じゃな。そろそろ終わらせようかの」


ノエラに協力してあの男を倒すのも不可能。

仮に出来てもレヴィが助からない。

そして、このままでは私もノエラも助からない…仕方ない。

仕方ないですね…


『ノエラ、もう少しだけ時間を稼いでください。私がレヴィを助けます』


「ヒーノ?何を…くっ!」


「ほうれ!よそ見をしてる場合か!?」


ノエラが耐えてくれている間に終わらせなくては。できれば使いたくなかったのですが、仕方ないですね。死ぬわけではありませんし…


『本当、仕方ないですね…』


レヴィと融合を開始。

合体の先にある融合を最初から意識的にやる事で、その在り様、融合の方向性を決める。

レヴィ…結果、貴女は人ではなくなってしまいますが、それしか助かる術が無いのです。

あとで文句は…聞けたら聞きます。

とにかく、今は…


「ふん。ようやく大人しくなったか。どれ、止めを…ん?」


「う…レヴィさ…ん?」


私の体を用いてレヴィの傷を修復。

融合…完了。


「な…なんじゃ、それは?お主は…」


「…」


ノエラは…まだ生きてますね。

私の意識が残ってるうちに邪魔者を片付けるとしましょう。


「ギャウ!」


「なっ!はやっ…」


「消えなさい」


オルトロスは始末出来ましたが、あの男は仕留め損ないましたか。

本当に…邪魔な男です。


「は…ははっ…ハハハハハ!何じゃそれは!合体したのか!?いや、いやいやいや?違うな?見た所、一時的にではなく完全に一つになろうとしておるのか?そうか!そういう方法があるのか!?しかし、いいのか?その娘は助かるかもしれんが、人では無くなるぞ!?お主も元には戻れまいて!」


「うるさい男ですね。私とレヴィがどうなろうと、貴方には何の関係もない。いえ…こうなった責任は貴方にあるのですから無関係ではないですね。責任をとって死になさい」


「うおおおお!?」


まだ生きてますね。

そろそろ限界なのですが…


「何とも強力な炎じゃな…それに速い…それが神獣の力か…欲しい、何としても」


「貴方と合体するくらいなら消滅を選びます。さぁ今度こそ消えなさい…ん?」


「ノエラ!レヴィさん!無事か!?」


「お兄ちゃん!あそこ!」


ジュン達が来ましたか。

ノエラは間に合いそうですね。


「邪魔者が来たか…潮時かの…実に惜しいが諦めるとしよう。お主の御かげでわしの研究に光明も見えた。それでよしとしよう。では、さらばじゃ」


「転移…逃げましたか…」


ここで殺せなかったのは後々厄介な事になりそうですが…後の事は任せるとしましょう。


「レヴィ…さん?ですか?雰囲気が違いますが…」


「レヴィは大丈夫です。それよりノエラを助けてあげなさい。間に合わなくなりますよ」


「え?ノエラ!?」


ジュンが治癒魔法を使えるのは聞いていましたが、確かに上位治癒魔法ですね。

瞬時にノエラの傷は癒えたようです。


「ジュン。私はいずれレヴィの中から消えます。レヴィの事をよろしくお願いしますね」


「え?…ヒーノ?」


さて、レヴィには何て言って謝りましょう。

許してくれるでしょうか。

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