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第123話 聖剣【メーティス】

「ここ?」


「ここっぽいねえ」


ベヒモス達を倒して、捜索した谷底で発見した洞窟。

谷底の更に下へ行く洞窟のようだ。

洞窟の中は緩やかに下に降りる道になってる。


「セバストの言うように霧が出てるしね、ここから」


洞窟内はひんやりとしている。

季節も初冬だし、ちょっと寒い。


「霧のせいか、洞窟全体が湿ってるね。滑らないように足元気を付けて」


「「「は~い」」」


洞窟はそれほど広く無く、

すぐさま神殿は発見出来た。


「アレか」


「そうみたいだね」


神殿といっても洞窟内部に作ってるだけあって小さい。

洞窟の壁をくりぬいて作った神殿のようで内部は壁の中に続いていた。

それと例の霧だが、神殿の中からではなく神殿から発してるように見える。

神殿自体が魔法道具の一種になってるのだろうか。


「この神殿も勇者の遺物をここに安置した時から既にあったんでしょ?それにしては綺麗に残ってるね」


「確かに。地震とかもあっただろうに」


神殿はまるで建設当時のような綺麗な形で残ってる。

本来なら遺跡と言えるくらいに朽ちてるはずなのに。

神殿全体に状態保存の魔法も掛かっているようだ。


神殿の内部は一本道で直ぐに一番奥の扉までたどり着いた。


「遺物はこの奥、かな。ノエラ」


「はい。確認します」


ノエラに罠の類は無いか、確認してもらう。

この役はノエラがいつもやってるので、ノエラも慣れたものだ。

確認は直ぐに終わる。


「罠はありません。ですが魔法で鍵が掛かっています。私には開けられません」


「魔法で鍵…となると、やっぱりこれか」


扉の上には文字が書かれていて『我が問いに答えよ』と、ある。


「しかし、問いが無いなあ」


「本当。問いがなきゃ答えようがないじゃない」


「ねぇ。アイシス。その腕輪を見つけた時も、こんなのあったの?」


「ううん。無かったよ。ゴーレムが守ってただけ」


「守ってただけって…アレはアレで危なかっただろうに」


「うん。危険だった」


詳しく聞くと。

遺物が入っている宝箱の前に、騎士やら魔獣やらの石像が並んでいて。宝箱に触れた瞬間、襲い掛かって来たそうだ。


「何の意味があってあんなに並べてるのか、分からなかったけど。まさか石像が動き出すとはねぇ。びっくりだよ」


日本でゲームや漫画に慣れ親しんだ身としては、結構ありがちな罠に思えるのだけど。

この世界にはそんなの無いし、予想出来ないのは無理も無いのかも知れない。


「ま、それはともかく、今は目の前の扉だよ。どうやって開けようか」


「問いが分からないからねぇ。いっそ、ウチが壊してみようか?」


「そういう強硬手段は最後だな。もう少し調べよう」


「問いを出せーって言えば出て来たりしないかな」


『我が問いに答えよ』


「おおうっ」「びっくりした」


音声入力だったのか。

どうやって作ったんだろう。

響いてきた声は少年のような少女のような。

ちょっと判断のつかない声だ。


『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足。これは何か』


「「「……」」」


これってギリシア神話のスフィンクスの謎掛けその物だよね?

アイとユウも何とも言えない、微妙な顔をしてる。

うん。まさかここでこんな謎を出されるとはね。


「謎掛け、だよな。これ」「私には解けそうにありません」


セバストは考えているみたいだけど、ノエラは早々に諦めてしまったようだ。もう少し考えようよ。


「ん~、ハティちゃんはわかる?」「ん~わかんない!」


ハティも早々に諦めてしまった。

リリーは頑張って考えているみたい。顎に指を当てて考える仕草が結構可愛い。


「フランコは解る?」「今、考えてる」「フランコ、頑張って」


勇者パーティーの頭脳労働担当はフランコ君らしい。

アイシスとセリアさんの二人はフランコ君を応援し、バルトハルトさんは黙っている。


「姉さんはわかる?」「いいえ…」


クリステアとルチーナも駄目か。

知らなきゃやっぱり解らないのかな、これ。


最後にシャクティは…


「朝は四本足で昼は二本足で夜三本足?時間で形態が変わる生物?虫?いや虫はもっと足あるし…」


シャクティは考え事をすると、言葉にして出すタイプらしい。

真剣な顔してブツブツ言ってる。


やはり答えを知らなきゃ難しい問題らしい。

誰も答えを出せそうに無いので答えてしまおう。

アイとユウに目で「誰が答える?」と聞いてみたが二人共、「どーぞどーぞ」と手でジェスチャーするのでボクが答える。


「答えは『人』だ。赤ん坊は四つ足で這って歩き、成長すると二本足で歩き、歳を取ると杖を使って歩くようになるからだ」


スフィンクスに答えたオイディプスは、どんな気持ちだったのだろう。

少なくとも、今のボクの気持ちとはかけ離れて違う気持ちだったと思うが。


『通るがよい』


言葉と共に扉が開く。

スフィンクスはオイディプスに正解を言われ、その後自決したらしいけど、流石にそこまでは同じじゃないらしい。


「ジュン様すごーい」「流石です」「ジュン様、賢い」


皆、口々に褒めてくれるけど、なんかズルしてるように感じるので後ろめたい気分になる。


「とりあえず、先に進もうよ」


何時までも褒められていてもツラいだけなので先に進む。

進んだ先には扉があって今度は鍵は掛かって無く、すんなり扉は開いた。


「アレか…」


「ああ。アレが聖剣【メーティス】だろう」


部屋の中央には、一本の大きな剣が。

アイシスが使っている剣と同じくらいの大きさだ。

派手でない程度に装飾が施されている。

確かに歴代の剣の勇者はあのサイズの剣を使っていたらしい。


「さぁ、アイシス」「うん」


アイシスが剣を手にしようと近づく。

すると何処からか声が響いてきた。


『おう、ようやく来たか。これで退屈な日々ともオサラバやなぁ』


「わっ何?」「何処から?」「さっきの問題と同じ声?」


確かにさっきと同じ声だけど…何で関西弁?


『驚かせてもうたか?スマンスマン。わいはメーティス。お前らの目の前にある剣や。よろしくなぁ』


「「「「え」」」」


知恵のある(インテリジェンス)(ソード)

それが聖剣【メーティス】に与えられた能力か。

生きている剣とも言えるだろう。


「え、何?剣?剣が喋ってるの?」


「生きてる?」


「流石、神に祝福された剣。まさか生きた剣とはな…」


「勇者の遺物にはそういった物があるとは、噂で聞いた事があるが…」


勇者パーティーでバルトハルトさんだけは、知恵のある(インテリジェンス)(ソード)について知ってたみたいだけど、他の三人は知らなかったみたいだ。

仮に知ってたしてもバルトハルトさんみたいに驚くだろうけど。


「え、え~と…君の名前はメーティスでいいの?剣の名前だよね、それ。つまりは神様の名前だよね?」


『せや。女神メーティス様はわいの生みの親の名前でもある。ややこしいかもしらんけど、この場にメーティスが二人居るわけやなし。気にせんと、メーティスて呼んでや』


「女神…あのさ、女神メーティスって何の神様なの?僕、聞いた事無いんだけど」


『ん?そうなんか?失礼なやっちゃな~』


「ご、ごめんね」


メーティスは現代地球の神話にも出て来た名前だと思うんだけど…。後でユウに聞いてみよう。

しかし、アイシスが知らないって事はこの世界でもあまり有名な神ではないのかな。


『まぁ、ええわ。わいが生まれた時もそんな感じやったしな。女神メーティスは知恵の神様や。あるいは叡智、助言を司る神様やな』


知恵の神様か。

なるほど。だから剣に知恵を与える事が出来たのか。


「それで、メーティスは何が出来るんだ?喋るだけじゃ無いんだろう?」


『もちろんや。わいは凄いでぇ。まず喋れるんやから、助言が出来るんは当たり前やな。次に聖剣なだけあって邪悪な存在を感知するんもお手のもんや。半径10㎞内やったら方角と距離もバッチリ解るで』


「邪悪な存在って?」


『ゴーストとかゾンビとかのアンデット系やな。魔獣の存在も敵意を向けてくる存在ならバッチリや』


うわ、それ、ちょっと欲しい…事はないか。

存在を知らない方が怖くない事もある。


『あとは、これがわいの真骨頂や!見てみい!』


メーティスの周りに炎の玉が五、六個浮かんで、無軌道に飛び回っている。

魔法が使えるのか?


『どや!わいは魔法が使えるんや!それだけやなく、わいの所持者の魔力に同調して魔法を強化する事も可能や!使える魔法かて攻撃魔法と補助魔法、精霊魔法かて使えるんやで!』


炎の玉を消し、水、風の球を出したり消したり。

自由自在に使えるとアピールしている。

剣に付与されてる能力としてはかなり凄いのではなかろうか。

アイシスは魔法があまり得意ではないとも言ってたし。


「ところで、この神殿から出てる霧ってもしかしてメーティスの魔法?」


『いんや。それはこの神殿自体が魔法道具になっててな。簡単に盗掘されんようにする為の対策や。魔獣が付近に集まっとったやろ?どんな魔獣が来とったかまではわからんけどな。で、わいが納まってるこの台座から神殿へと、わいが魔力を供給しとったんや。だからわいがここを離れたら、いずれ霧は消えるで』


なるほどね。

ベヒモスが来るとは予想してなかったとして、魔獣がいたのは想定内というわけだ。


「じゃあ、あの扉の謎は?君が考えたの?」


『おお!そういやぁ、あの謎かけによう答えられたなぁ!女神メーティス様に貰った知識の中にあったんや!だから多分、考えたんは女神様やな!』


となると、やっぱり現代地球の神話にも出てる神様で間違いなさそうだ。

もしくは神話を作るのに関わった神様だろうか。


『ところで、誰がわいのマスターになるんや?わいの見たとこ、わいと同じくらいデカい剣もった姉ちゃんか?』


「うん。僕はアイシス・ノーヴァ。勇者だよ。よろしくね!」


『こちらこそ、よろしくやで!女同士、仲良うしてや!』


「「「ん?」」」


『なんや?どないかしたか?』


「君、女の子なの?」


『せやで?名前と声でわかるやろ?』


「ええ…ごめん、わかんなかったよ…いや、ていうかさ、その前に剣に性別があるの?」


『剣には無いけど、精神にはあるんや!』


「そ、そうなんだ…うん、わかった。じゃあ行こっか」


『おう!ようやく外に出れるでぇ!』


「じゃあ、とりあえずアストラバンに帰ろうか」


こうして、勇者の遺物、聖剣【メーティス】を手に入れたのと同時に相棒を手に入れたアイシス。

これで剣の優劣は無くなったし、今度戦ったら負けるかもしれないな。

それはともかく、アイシスをあの場所へ連れて行かないと。

ようやく、あの扉の先に何があるか知る事が出来るわけだ。

アストラバンの用事を済ませて落ち着いたら話をしよう。

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