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第116話 預言

「やだなぁ、呼び捨てでいいよ。僕と君の仲じゃない。敬語も不要」


「そう?わかったよ、じゃあそうするね」


「うんうん。素直でよろしい」


明るくてさっぱりした子だな。

顔を見たのは今日が初めてだけど、やっぱり美少女だな。

背も武闘会の時より伸びてる。

160cmくらいありそう。


「ジュン様、知り合いか?」


「随分、仲がよろしいようですが…いえ、それより今、アイシスさんと…」


ノエラとセバストは彼らが武闘会の時の四人組だと気が付いてないようだ。

服装も違うし、今は顔を隠してない。

二年以上前の事でもあるし、判らないのも無理はないか。


「おい、あの子…」「ああ、勇者様だぜ」


「勇者様と親し気に話してる奴は誰だ?」「この街じゃ見ない顔だな。とゆうかあいつ男か?女か?」


周りが気付き始めたか。

流石勇者、有名人。

あと最後の奴、ボクは男だ。見て分かれ。


「えっと、ここでこのまま話すのも何だし、場所を変えない?」


「そうだな。アイシス、そのほうがいいだろう」


「ん?そう?じゃあ近くに宿をとってるんだ。そこへ行こうよ」


彼女の言う通り、近くにあった宿に移動し、彼女達の部屋へ移動する。

二人部屋にしては大きな部屋なのだが、全員入るとちょっとせまい。


「じゃあ、初めましての人もいるし、改めて。ボクはアイシス・ノーヴァ。ノーヴァ伯爵家の娘で勇者だよ。よろしくね」


「私はバルトハルト・ノーヴァ。アイシスの祖父だ。よろしく頼む」


バルトハルト・ノーヴァ。白髪頭の六十代くらいのがたいのいい初老のおじさん。

彼も結構有名人だ。

勇者の祖父という事もあるけど、本人もかなりの凄腕剣士。

いや、剣において最強の一角と言って過言ではないだろう。

何せ剣聖の紋章を持つ、ヴェルリア王国の前聖騎士団団長。

やっぱりね、只者じゃないって思ってたよ。


「セリア。よろしく」


セリアと名乗った女の子は武闘会の時の無口っ子だ。

武闘会の時も喋らないようにしてたんだろうけど、普段から口数は少ないようだ。

実に簡潔な挨拶だ。

小柄で細い。髪は短髪で紫。まだ十二歳くらいに見えるけど、武闘会に参加してたんだし、今は最低でも十五歳くらいの筈だ。


「セリアは僕の幼馴染なんだ。優秀は魔法使いだよ」


アイシスが追加で情報を出す。

慣れてる感じだし、やっぱり普段から無口なんだろう。


「ほら、フランコも。挨拶挨拶」


「…フランコ・ルーベルト。ルーベルト子爵家の次男だ」


フランコ君は、中肉中背。短髪でアッシュグレーの髪。ソバカスのある少年だ。


「…他には?」


「無い」


「んもうっ!ごめんね、いつもはもうちょっと愛想がいいんだけど。フランコはね、治癒魔法が使える魔法使いなんだけど、運動は苦手なんだ」


「へぇ、治癒魔法を」


二年前にカタリナさんが治癒魔法育成のノウハウを持って帰り、王都の施設にヴェルリアからの研修生も来てるけど、流石にその成果で使えるようになったわけではないだろう。

そもそも旅をしてるって話だったし。

彼の努力により自力で獲得したのだろう。



「というわけで、彼らは武闘会の時の謎の仮面美少女剣士とその一行だよ」


「ちょっと!それは忘れてって言ったのに!」


アイシスが怒ってるけど、仕方ないだろう。

いつ知り合ったのか、説明する必要があるし。


「あの時の少女ですか…」


「クリステアは試合で当たったからね。なんとなくわかってたんじゃない?」


「はい。なんとなく、ですが」


「お姉さんの事、覚えてるよ。お久しぶり」


「ええ、お久しぶりです。しかし、顔を隠すのはわかりますが、声まで出さない必要は無かったのでは?」


「あ、あ~それは~…」


「アイシスは迂闊なとこがあるからな。うっかり自分の正体を明かしてしまう危険があった。あの仮面には声を封じる能力があるんだ」


やっぱりね。

そうだと思った。


「そ、それよりも!そっちも紹介してよ」


そうだった。

相手に名乗らせてこっちが名乗らないわけにはいかないね。

いかないが…それぞれに自分で紹介させるとややこしいことになりそうだから、ボクがやろう。


「じゃあ、紹介するね。まず、ボクはジュン・エルムバーン。よろしく。こっちが妹のユウ。隣がアイ・ダルムダット。ダルムダット魔王国の魔王女だよ」


「よろしく」「よろしくね」


「それから執事服の彼はセバスト。メイド長のノエラ。それからリリーにシャクティ」


「「「よろしくお願いします」」」


普段は少々荒い口調のセバストもこういう時は丁寧だね。


「そっちの騎士の二人はクリステアとルチーナ。二人は姉妹なんだ。クリステアが姉」


「「よろしくお願いします」」


「最後に、この子は…」


「ハティだよ!」


「ハティは…あ~信じられないかもしれないけど、神獣フェンリルなんだ。今は人型に変身してるけど」


「はぁ?神獣?この子が?」


フランコ君が疑いの声をあげる。

うん、信じられないのも無理はない。

ボクも知らなきゃ信じないと思う。


「ふむ…エルムバーンが神獣フェンリルと深い仲にあるという話は聞いていた。まさか人型に変身できるとはな。成程、確かに凄い力を内包してるようだ」


「え。信じるんですか?」


「嘘をつく必要が無いからな。それにその子が只者ではないのは確かだ」


「はぁ…そう、なんですか?」


バルトハルトさんの言う事だから頭ごなしに否定はしないが、フランコ君は未だ納得できないらしい。

まあ今は元の狼の姿に戻ってもらうわけにもいかないし、置いておこう。

本来の姿のハティは、もう馬並にデカいしね。


「それで、勇者パーティーの皆さんは、何故ここに?何かを探して旅をしてると、カタリナさんから聞いていますが」


「カタリナから?あ!思い出した!ジュン!君、カタリナにプロポーズしたって本当!?」


あ、やっぱり聞いてましたか。


「ああ。それはボクの勘違いというか。常識を知らなかった為に起きた事故だから。プロポーズしたつもりはないから」


「本当に?だったらいいけど…カタリナもそう言ってたし…」


「ふん。どうだかな。女ばっかり連れ歩いてる奴の言う事なんて信用に値しない」


「よせ、フランコ」


「しかしですね、私はこいつのせいでカタリナ様に殴られたんですよ?」


「それはお前に原因がある。それに彼…ジュン殿には何の責任もない。ユウ殿とアイ殿に頼まれたとカタリナ様は仰っていたではないか」


「それは…そうですが…」


どうもボクはフランコ君に嫌われているらしい。

バルトハルトさんに言われても、まだ引き下がれないみたいだ。

そこまで嫌われる心当たりは無いが…そろそろ危険だなぁ。


「それに何より。いい加減にせんと、ジュン殿の従者に殺されるぞ」


「え…」


ようやく気付いたらしい。

さっきから皆の殺気が凄くて。

ボクも怖くて堪らなかった。


「フランコ殿、でしたか。我が主を侮辱するとは。覚悟は出来ているのですか?」


「エルムバーンの魔王子であるジュン様をあいつ呼ばわり。ヴェルリア王国の子爵の次男とはそんなに偉いのですか?ヴェルリア王国に正式に問い合わせしても?」


ノエラとクリステアの言葉に青くなるフランコ君。

本当に問い合わせされたらどうなるか、フランコ君にもわかるのだろう。

ボクはあまり気にして無いんだけど…仕方ない、助け船を出すとしよう。


「皆、ボクは気にしてないから。それに今は冒険者として来ているんだし」


「ほう、冒険者として?」


「ええ。そろそろ他国でも活動していこうと、まずは隣国で友好国のヴェルリア王国へ、と」


「ほほう。そう言えば噂でジュン殿は冒険者としても優秀で多くの功績を挙げたと聞いております。今のランクはどの辺りで?」


話の矛先をフランコ君から逸らしたいのだろう。

バルトハルトさんが話に乗ってくる。

流石に年長者だけあって気が利くなぁ。


「Aランクです」


「それは凄いですな!確かアイシスと同じで今年成人だとか。だとすると三年でAランクになったのですか。素晴らしい」


初めてあった武闘会の時と言葉遣いが違うけど、バルトハルトさんには特に嫌われてはいないようだ。

カタリナさんが言ってたように、フランコ君以外は好意的に見てくれているのだろう。


「有難う御座います。それで、そちらはどうしてこの街に?」


「あ~それは…」


「セリアの紋章がここに来たら協力者に会えるって教えてくれたんだよ」


「お、おいアイシス」


「大丈夫だよ、フランコ。それに協力をお願いするなら隠し事しちゃ駄目」


「しかし…セリアの紋章は…」


「大丈夫だってば。ジュン達なら大丈夫。セリアもそう思うでしょ?」


「アイシスがそう言うなら」


「…わかった。任せる」


話が纏まったようなので聞いてみよう。


「セリアさんの紋章とは?」


「セリアが持ってる紋章は預言者の紋章。世界でも数少ない、貴重な紋章だよ」


預言者の紋章。

確か、持ち主にある程度未来の情報をイメージという形で教えてくれる紋章だ。魔法に関する能力も与えてくれる。

アイの先見の紋章と似ているが、先見の紋章はある程度は自分の意思で使えるが預言者の紋章は完全に自動。

又、先見の紋章は持ち主と周囲の人物が対象だが預言者の紋章は対象に限りが無い。他人だったり友人だったり、地球の反対側の国の事だったりと、様々だ。


「なるほど。それでこの街に。で、協力を頼むって事はボク達が預言に出て来た協力者だと?」


「多分。確信は無いけど」


セリアさんがコックリと頷く。

なんか小動物みたいな子だな。


「それで協力とは?探し物を見つけるのに協力してほしいとか?」


「そういう事になるね」


「なら、探し物とは何?」


あの島のあの扉。

あの先にある物だとしたら、ボク達の協力が必要なのも理解出来る。ボクもあの先に何があるのか知りたいし。


「ボク達の探し物はね、勇者の遺物だよ」


何か凄い興味を惹かれる言葉が出て来たなぁ。

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