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24話

お待たせしました。

ついに相田君ががんばります。

胸に響く花火の音。

この鼓動は一生忘れられない恋の音。


************


「今週末の花火大会、一緒に行かない?」


そんな彼のお誘いで、今日は花火大会です!夏の風物詩だと思ってましたが、10月でもあるんですね。少し肌寒い夜となりましたが、ここは浴衣でしょう!彼に可愛いと思ってもらえるといいのですが…乙女心ってやつです。


会場の河川敷に着けば、あれ?なんだか思ったより空いてる。私の不思議そうな顔に気付いたのか、彼が説明してくれました。曰く、ここは本会場から少し離れているから、毎年あまり混まないんだとか。確かに芝生の上にシートを敷いて座っていますが、お隣さんが5mくらい先です。なるほど。でも遮るものはないから花火もしっかり見えるそうで安心しました。


というかさっきから気になってるんですが…距離が近い!こっちが浴衣で動きづらいのをいいことに、なんだかお触りが激しいような。ああ!また耳にキスされた!ゆ、指を絡めないで~!

もしかして人気のない場所に来たのはこれが目的…!?なんて恐ろしい!

…もはやこの過激スキンシップがデフォルトになりつつあるのです。嫌じゃないんですけどね、うん。ただ恥ずかしさがどうしても慣れないんです。



そうこうしているうちに花火が始まりました。どうして花火の音ってこうなんでしょうね。心臓に直接届く衝撃、とでも言えばいいのでしょうか。それに美しい光が加わって、とても幻想的です。

ほぁーっと眺めているとあっという間に一部が終わってしまいました。贅沢な時間はすぐに過ぎていきます。

二部が始まるまでの短い間、まださっきの余韻に浸っていると、彼と繋いでいた手がきゅっと握り直されました。何だろうと彼の顔を見上げると、真っ直ぐな視線とぶつかります。思わず息をのむと、彼が一語一語確かめるように話し始めました。


「初めて弁当を渡した日、俺の作った弁当を食べている君を見て好きになった。どうしても接点を消したくなくて弁当を押しつけて、君の優しさにつけ込んだんだ。だから弁当を交換できるようになったときは、すごく嬉しかったし、君と付き合えた時は、もっともっと嬉しかった。君と過ごす毎日が幸せで…ずっとこの幸せが続けばいいと思ってる。」


どうしよう。彼から目を逸らせません。いつの間にか始まっていた花火が視界の端に映っていますが、それよりも彼の真剣な眼差しに捕らわれてしまいました。

予感、とでも言うのでしょうか。もしかして彼は――。


「絶対に君を大切にする。一緒に幸せになりたい。」


期待と高揚感で心臓がおかしくなりそう―――。


「西森まどかさん、俺と結婚してください。」




何て返事をすればいいんだろうと頭の中がぐちゃぐちゃになった私を見て、彼はゆっくり微笑みます。

ふと彼が繋いだ手を持ち上げると…左手の薬指、キラキラ輝く指輪が。


もうほんとに。本当に彼には驚かされます。でも彼がくれる驚きは、いつも私を喜ばせる。


彼の手を今度は私がきゅっと握り、精一杯の笑顔で応えます。


「相田佑輔さん、私もあなたをずっと大切にします。大好きです――」


私の言葉が終らないうちに、ぎゅーっと抱きしめられ、次に優しいキスが待っていました。


「ありがとう」


そう呟く彼に「こちらこそ」と返し、お互い照れくさくなったのか、どちらともなく花火へ視線が戻ります。

さっきより少しだけ近くなった距離と、強く握られた手。花火の大きな音が響き、まるで二人の鼓動が重なっているかのように感じます。

そして花火はいよいよフィナーレへ。色とりどりの花火が次々と打ち上げられ、夜空を美しく彩ります。そっと彼を見上げると、すぐに気付く彼が優しい眼差しを返してくれました。こんな些細なことが幸せに思えて仕方ありません。


この先、幸せなことばかりではないかもしれません。辛い時、悲しい時、でももちろん楽しい時も嬉しい時も、今日のことを思い出せばきっと大丈夫。彼となら私は幸せになる自信がありますから。



一際大きな花火が打ち上がった時、「愛してるよ」の言葉と一緒に降ってきたキス。


きっとずっと忘れない。




fin.





これにて完結となります。

今までお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。初めての執筆作品でしたが、無事最後まで書けて良かったです。

お気に入り登録して下さった方、感想を下さった方、メッセージを送って下さった方、皆さんに感謝です。


最後はまどか視点で終わりました。彼視点だとどうしてもギャグに走る傾向があるので(笑)記念すべき連載一作目ということでこのような終わりにさせていただきました。いかがでしたか?



一応この話で完結としますが、番外編としていくつか書こうと思っています。

それに伴いまして、リクエストを受け付けます。感想欄でもメッセージでもかまいません。こんなシチュエーションの話が読んでみたいというのがありましたら、じゃんじゃんリクエストしてください。どなたからでも大丈夫ですので、たくさんのリクエストお待ちしてます!

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