22話
彼が外堀を埋め始めるお話。
紗代さん助けて…もうキャパオーバーです!
どうしたらいいの~!
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彼と毎週末のようにデートを重ね…ついに自宅に招かれました。
「うちに遊びにおいで」と言われたときは何も考えずに承諾してしまったんですが…しまった!彼って実家住まいでしたよ!…会っちゃいますよね、ご家族と。
どうしよう…と悩み始める私に彼が更なる追い打ちを。
「みんなが会いたいんだって。」
みなさんですか、そうですか。それってあれですか。「うちの可愛い息子にちょっかいかけてるどこぞの馬の骨を見てやろう」みたいな感じですか。それとも仲良しな弟妹の「大事な兄ちゃんは俺たちが守る!」的な感じですか。
なんて現実逃避している場合じゃありません。彼の実家に行くってどうすれば?!服装は?手土産も必要ですよね?!
……紗代さーーーーーーん!!!
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そんなこんなでやってきました日曜日。只今彼のご自宅へ向かって歩いております。
あれから紗代さんに多数アドバイスをもらい、本日は私にしては珍しい上品なワンピースなんか着ちゃって。手には近所でも評判のお店のケーキ。
私の気合いを感じているのか「そんなに緊張しなくても」なんて彼が苦笑しています。そりゃあなたはホームですからいいでしょうよ。こっちは初めてのイベントで未だに混乱中なんです!
現実逃避も虚しく、ついに到着です。この扉を開ければ彼のご家族とご対面ですね。最後にもう一度深呼吸を…吸ってー吐い、って開けるの早い!
恐る恐る玄関に足を踏み入れると、出迎えてくれたのは満面の笑みのご家族でした。しかも全員。なんということでしょう。
そして今、私は彼のお母さんと妹さんに質問攻めにされています。玄関に入るなり両腕をお二人にとられ、あっという間にリビングのソファの上でした。靴を脱いでいたのは奇跡です。
出身地から家族構成、好きな色や食べ物と、よくそんなに次から次へと…と思うくらいたくさんの質問をされ、ようやく満足してくれたのか解放されたのは軽く一時間後でした。
そんな女性陣に慣れているのか、その間に男性陣は昼食の準備をしてくれていたようです。というか主に彼が?いつものお弁当の味なのできっとそうだと思います。ここでも彼のごはんが食べられるなんて、少し緊張がほぐれた気がしますね。
どうやら彼のご家族には歓迎して頂けたようです。良かった。食事のあとも、彼のご家族と和やかなひと時を過ごせました。今日一日でけっこう仲良くなれたんじゃないかなーなんて。
でもこれってどうなんですか。お邪魔したその日に台所に立つって。いや隣には彼もいて料理してますけど。というか私の思い違いじゃなければ、彼の視線がすっごく甘いんですけど!!
野菜を渡すのに手を包む必要はない!調理器具の場所を教えるのにほっぺちゅーはいらないんです!!はじめの頃の寡黙キャラどこいった!!!
この小説、もうコメディでいいかな。




