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㉞結末


あれから数ヶ月間、アルベルト様たちデルオ公爵家の方々は身辺整理(?)に追われていました。

私は妊娠していることを理由に、あまり手伝わせていただけませんでしたが、それでも事情は全てアルベルト様から教えていただきました。


私達の家だけではなく義母様とミレーナ、そして入れ替わっていたメイドのベルッサが、公爵家からも“出ていきました”ということ。


ベルッサはお義母様がご実家から連れてきた従者の一人で、私とアルベルト様が雇用したメイドの一人と入れ替わっていたと発覚しました。

お義母様付きの従者ではありましたが、お義母様の品行の悪さを知っていた公爵家のメイドはベルッサから替わってほしいと頼まれた時、遂に見限ったのねと悟り、何かを企んでいる等考えもせずに受け入れたとのことでした。

つまりいくら元はお義母様の従者であっても、お義母様から離れ、私達のところで働くことを願ったとしても、誰も疑うことはなかったということです。

また公爵家では本邸とお義母様が暮らす別邸で分かれている為、新人メイド達といっても全員が顔見知りというわけではなかったことも、今回の件の要因の一つだとわかりました。

そしてベルッサについては、一度スパイ容疑がかけられたことから王立騎士団の方で調査が行われ、結果はスパイの疑い自体は晴れましたが私たちの元、そしてデルオ公爵家で雇用することはありませんでした。

また“容疑がかかる程手癖が悪いメイド”として知れ渡ったことから、彼女は今後メイドの仕事はできないことであることは確実です。

そしてこれは騎士団の尋問の結果わかったことですが、ベルッサはアルベルト様に好意を寄せており、ミレーナに協力している振りをしながら、自身がアルベルト様と…と思っていたそうです。

雇用主と使用人との恋愛は法令では禁止されておりませんが、基本雇用関係が結ばれるときに禁止項目としてあげられています。

それなのに破ろうと企みを行ったことでも、ベルッサは今後の仕事に苦労することでしょう。

だって使用人の仕事でなくとも、人間には男女が存在し、働き手を求めている経営者の殆どには妻がいるのです。

不倫関係を企む者に安心感を持つ者はいないでしょうから。



次にミレーナについてですが、神殿に連れていかれ親子鑑定を受けたという事でした。

勿論お義母様とお義父様の間では体の関係をもったことはないというお義父様の言葉通り、お義父様とミレーナとの関係はなにも証明されませんでしたが、お義母様との繋がりだけは証明されました。

そうなると次にミレーナの処遇の問題です。

お義父様の子ではありませんでしたが、ミレーナはお義母様の子ということは証明されました。

お義父様とお義母様は書面上では夫婦にあたります。

通常ならばお義母様の連れ子として、ミレーナはデルオ公爵家の養女として迎えられることとなりますが、お義父様はそれを拒否いたしました。

お義父様だけではありません。

アルベルト様やアルベルト様のお兄様であるギルバーツ様やコンラット様も拒否したことが、ミレーナの心に打撃を与える結果となりました。

でも私はそれでよかったと思います。

流石にミレーナには頬を打たれたこと、そしてアルベルト様を狙っていたことを考えると、これから先仲良く出来そうもなかったからです。


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