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手合わせをしましょう

 南の大陸「シルビア」の街並みは、リーシェがこれまで見てきたどの街とも様子が違った。


 建物は圧倒的に平屋が多く、屋根は不思議な形をしている。確か、瓦屋根とキリヤが言っていたはずだ。


 見慣れない景色に目を奪われてし立ち尽くしていると、前方を歩いていたゼキアが振り向いた。


「早くしろ。迷子になっても探してやんねぇからな」


「ごめんなさい」


 短く謝ってから走って距離を縮める。

 ゼキアの歩調は早くリーシェは小走りでついて行かなければならない。


 横目で街を見ながら背中を追いかけていると、ある家の前に着いた。


「ここが最優先して声をかける方の家ですか?」


「ああ。頑固な親父だから結構めんどーかもな」


 ゼキアが握った拳で戸を荒く叩くと、すぐに中から「入れ」と声が聞こえた。


 少しだけ埃っぽい屋内には筋骨隆々とした男が座っていた。

 囲炉裏で焼いている魚をぼんやりと見つめ、焼き上がりを待っているようだ。


「タタラの親父。これからメシか?」


 知り合いなのかやけに馴れ馴れしくゼキアが声をかけた。

 寡黙なのか不機嫌なのかタタラと呼ばれた男は黙ったままだ。


 急に訪れた沈黙にゼキアは戸惑うわけでもなく座布団の上に腰を下ろした。

 リーシェも床の上に失礼して、魚の出来上がりを待つ。


 少しもしないうちに魚は出来上がって、勢いよく囲炉裏から抜かれた。

 残り少なそうな塩をふりかけてタタラは美味しそうに腹に齧り付いた。


 咀嚼しながらタタラがようやく口を開く。


「何しに来た」


「革命のお誘いだ。やってみねぇか?」


「成功するのか」


「さぁな。確証はねぇさ。だが、こっちには伝説の存在がいる」


 隙のない目がチラリとリーシェを見る。

 てっきり何秒か見られ続けると思ったのだが、そんなことも無く視線は一瞬で外れた。


「強そうには見えないな」


「俺もそう思った。けどコイツは本物だ」


「根拠は」


「左遷された中央の奴らを一瞬で無力化させた」


「殺さなかったのか」


 再度投げられた視線に、リーシェに質問したのだと気づく。


「眠らせただけです。殺す必要はありませんでしたから」


「平和主義ってやつか」


 タタラは魚を食べ終えると、重そうな腰を持ち上げた。

 壁に飾られていた刀に近づくと、肩に担いでリーシェを見る。


 そして意外な言葉を放った。


「命預けんだ。平和主義だけの腑抜けを信じるわけには行かない。俺と手合わせしろ」


「え……?」


「お前さんが本当に伝説の存在なら、俺なんか一捻りで倒せるだろ」


 つまり、中央を変えれるだけの力があるかどうか確認し、ついていけるかどうか見極める、ということか。

 慣れたように言っているところを見ると、戦人族は手合わせで相手を見極めることが日常なのかもしれない。


「ここでですか?」


「俺の家を壊したいのか?郊外の草原だ」


 爪楊枝を咥えてタタラが眉を寄せる。

 リーシェが最初に足を踏み入れた草原を選んだのは人目を避ける意味もあるのだろう。


 焔や氷を気兼ねなく使えるようにという配慮だ。

 タタラはその実力はもちろん、人情の厚さから革命軍の統率のために必要な人材だ。


 多少荒いことをしてでも味方に引き入れろとキリヤもいっていたので、断る理由はなかった。


「分かりました。草原で戦いましょう」


「あ〜タタラの親父。俺ここで待っててもいいかぁ?」


「他人に入られたら面倒だからな。留守番してろ」


 やはり2人は知り合いらしい。

 留守番の許しを得たゼキアが魚を漁って囲炉裏で焼き始めるのを見てから、リーシェはタタラに連れられて始まりの草原へ向かった。



文章の調子がすごぶる悪かった……。


次回はリーシェが全力戦闘しますのでお楽しみに!

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