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12階層への道は一体どこですか?

 11階層からモンスターのレベルがグッと上がった。


 その変化は多くあるが代表的なものを挙げれるなら、ゴブリンが道具を使い始めたことだろう。


 ゴブリンに限らず全体的に知能が高くなり、壁や岩などの地形を利用してくることが幾度かあった。


 少しでも気を抜けば……。


「っ……!」


 絶えず飛来してくる火のついた矢に射抜かれることになる。

 頬を掠めて飛んで行った矢には一瞥もくれず、息を荒くさせながらゴブリンたちの中へ切り込んでいく。


 左頬の文字通り焼ける痛みに片目を閉じながら、数匹の小鬼を葬るも数はまだまだ多い。

 視界に入っているアズリカとキリヤも息が上がり、体力の限界が見えていた。


 あちらは火を吐くハウンド……「ヘルハウンド」を相手取っているので、リーシェより致命傷を受ける可能性が高い。


 敗北の2文字が3人の脳裏を過ぎった頃、打開策を講じていたラピスが後退の命令を出した。


「ラピス様!?何をするつもりですか!?」


 戦いの興奮のまま少年の横顔に問うと、何も言わずに来た道を戻り始めた。


 素早い足で追いついてくるヘルハウンドを迎撃しながら11階層の入口の近くまで戻ってくる。

 ラピスは天井を見てからアズリカに視線を投げた。


「アズリカ!あの天井を崩せ!」


 その言葉に汗を滴らせた青年は無我夢中で鎖を放った。


 鉄の鞭の一撃を持ってガラガラと天井が崩れ落ちる。

 走りよってきていた狼たちが崩落に押し潰され、呆気なく絶命していった。


 瓦礫の隙間から僅かに溢れてきた深紅の液体を見ないようにして、リーシェは人数分の水を生成する。


 これは「氷刻」を「焔刻」で溶かして「氷刻」の氷を入れて冷やしたもので、疲れた体によく染み渡っていくだろう。


 5階層の湖の底で不思議な少女と会ってから、今までよりも精密に力を使えるようになったのだ。

 10階層まで自分の足で歩いた記憶が無く、目が覚めたらラピスに顔を覗き込まれていた。


 自分の記憶が飛んでいる間に何があったのか聞きたいが、今はダンジョンに集中しなければならない。


 一息ついたリーシェは黒髪の少年に今後にことを聞いた。


「階層の振り出しまで戻ってしまいましたが、これからどうしますか?」


「隠し通路がある」


 どこからの情報なのか確信を持って言ったラピスの横顔は真剣そのものだ。

 一足先に休憩を終えたラピスは岩肌ばかりの壁を叩き始めた。


 数分後。

 石臼を引きずったような音と共に突如として壁が動き出した。


 飲んでいた水を吹き出し噎せるアズリカの背中を撫でてやりながら、リーシェも驚きの表情をうかべる。


「本当にあったのですね……」


 心外だと言う風にラピスが眉を寄せた。


「あまりにもモンスターが多すぎる上に道が狭すぎる。あれでは行き止まりだと言っているようなものだからな」


「これまではずっと探索して道を探す階層ばかりだったから、11階層もそうだろうという先入観を利用した……ということでしょうか?」


「あぁ。きっとここからの階層は人の先入観や倫理観などの哲学的なものを試す謎解きのようなものが増えてくるだろうな」


 バカ正直に道を探そうとしてもモンスターに蹂躙され、先入観や偏見を持って進めば道は開けないということだろう。


 なんとも面倒な階層だと4人揃って嘆息した。

 気持ちを切り替えるようにキリヤが両手を叩く。


「でも、これで12階層への階段を発見出来ましたね!」


 動き終わった壁の奥には暗闇に続く階段が顔を出していた。

 まさか11階層の入口の目の前に12階層への階段があったとは夢にも思うまい。


 こういう先入観をこれからは捨てなければいけないのだ。

 これは一波乱ありそうだと、リーシェたちは歩を進めるのだった。

パラドックスとか出てきたらリーシェちゃんたち大混乱でしょうねぇ(悪い顔)

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