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かまくらを作るそうです

 セルタの冬は控えめに雪が降る程度だと聞いていたが、今年はどうやら例外なようで、雪が次から次へと降った。


 定期的に雪かきをしないと家から出られなくなってしまう。


 リーシェ、ラピス、アズリカの3人はすでに日課となっている雪かきをせっせと行っていた。

 初雪から既に1週間。最初は「わぁ。なんて綺麗な銀世界」と浮かれていた3人だったが、1度アズリカが家の中に閉じ込められてから慌てて雪かきを始めたのだ。


 家の周りにはすでに見上げるほどの雪山が出来上がっている。

 玄関先には可愛らしい雪だるまが3つならび、その内、無駄に大きなものが2つあった。

 何かと競い合うラピスとアズリカが、どれだけ大きくて綺麗に作れるか競った結果だった。


 結果は雪に慣れているラピスが勝ったが、綺麗な形なのはアズリカが作った雪だるまだとリーシェは思っている。


 きっと町に行けば至る所に同じようなものが並んでいるのだろう。


 あらかた雪かきを終えて、出来上がった雪山を見上げていると、隣でラピスが名案を思いついたというように手を打った。


「なぁ。これでかまくらを作らないか?」


「かまくらって、前にリーシェが言ってたあれのことか?」


「はい。簡単に言ってしまえば雪でドーム型の部屋を作ったものです」


 ラピスの提案にアズリカがリーシェに確認をした。記憶にあったものを思い出しながら大雑把に説明すると、オレンジ色のマフラーをしたらラピスが雪山に近づく。


 雪かき用スコップを持ちながらワクワクと肩を揺らしていた。


「これくらいあれば大きなものを2つか、小さなものは5つくらい作れそうじゃないか?」


「そうですね。ここに雪山があっても正直邪魔ですし、間をとって中くらいのものを3つ作りましょう。人数分なら個室でお鍋とかできて楽しそうです」


「鍋って前のおでんみたいなやつか?」


「はい。鍋と言ってもたくさん種類がありますが、アズリカが仕込んでくれたおでんのようなイメージで大丈夫ですよ」


「かまくらの中は寒いから、厚着をして食べる鍋が最高に美味しいぞ」


「お前王子だろ。なんで知ってるんだ?」


「俺は物知りだからな。物知りでいるには色々なことを体験しておく必要があるんだ」


 正確には前世の記憶があるからだが、ラピスが自分から話さない限りリーシェからは言わないことにしている。

 やっぱり、それなりにデリケートな事だと思うのだ。


 微笑むだけのリーシェを見ながらラピスはご機嫌そうに満面の笑みを浮かべている。


「おでんかぁ。最近食べてなかったから食べたいな。二人羽織とかもしてみたいが、大きな羽織はあるか?」


 二人羽織と聞いて思い出すのは、この前アンの家に行った時にアンとシュウがそれをしてパニックになったことだ。


 ガタイのいいアンの顔の横から子供特有の細い腕が伸びて、熱々の大根を彼女の顔に押し付けていたら誰だってパニックになるだろう。

 パッと見は肩が外れたようにも見えるので余計ゾワっとしたのは記憶に新しい。


 二人羽織に関しては火傷の危険もあるのでリーシェは反対だが、楽しいことは知っているので多数決で決めようと思っている。


 提案者のラピスはもちろん賛成。リーシェは反対なので、アズリカの意見で結果が決まる。


 二人羽織についてアズリカに教えてからどうするか聞くと、何もかもが初めてのアズリカはラピスと同じように目をキラキラとさせた。


「楽しそうだな。やるか」


「お!珍しく意見が合ったな!そうと決まれば今すぐかまくらを作ろう!」


「ハァ……。私はおでん作ってくるので、ラピス様はかまくら作りお願いしますね。アズリカ、作り方とかラピス様から教えてもらってください」


 スコップを玄関先に置いてから家に入ろうとしたリーシェは、足を踏み入れる直前に2人に釘を刺していく。


「くれぐれも喧嘩をして問題を起こさないように……!」


 妙なところで気の合う2人だから、今回は競うようにかまくらを作るだろうが念の為だ。

「知の力」と「拘束魔法」を使って戦われたら困る。


 若干、視線に険を乗せて言うと2人は慌てて首をブンブン振った。


 これで安心だ、と自分を納得させると台所へ歩を進めた。

ラピスとアズリカが気が合う時って、だいたいリーシェ絡みなんです。

前回のハーバリウムはどちらもリーシェをイメージして作ったものになります

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