第二十話 お料理をしましょう!
Twitterのほうに2章突入を記念したリーシェの新しいイラストを載せておいたので、よろしければご覧ください
あれ程待ち遠しかった収穫祭は、ついに明日に迫っていた。
予想より少し遅く、しかし収穫祭のことを考えればちょうどよくリーシェの野菜は成熟を迎えた。
明日、一斉に収穫をして町に持っていくのだ。
四ヶ月前に不思議な商人から買った鋏も今か今かと出番を待っている。
時はすでに夕方。
あとは夜ご飯を食べて寝るだけで収穫の時間がやってくる。
あまりに楽しみすぎて、リーシェは一人で住むには広い家のなかをスキップで往復していた。
家の状態はリーシェの甲斐甲斐しい管理によって、むしろ以前よりもきれいになっていた。
現在のリーシェの一日は、早朝に畑の様子を見て、太陽が登りきったら町へ行き一日分の食材を買い、帰宅したら朝ご飯を作って、また畑のお世話をして時間ができたら家の掃除をする、というものだ。
非常に充実していて、リーシェは今の生活にとても満足感を覚えていた。
時々訪れる胸の激痛さえなければ完璧なのだが、それは明日訪れる予定のラピス様が解決してくれるだろう。
自分の体のことなのに少年を頼るというのも不思議だが、伝説の力については彼の方が断然詳しいのだ。
スキップで家を二周ほどしてから、空腹を覚えて台所に立つ。
今日はお米と卵が安かったのでチャーハンを作ろうと計画していた。
ちなみに、リーシェの収入源は短期労働だ。
炎や氷を自在に出せるようになってからは、以前よりも役に立てる幅が広がりその分収入も増えていた。
町で穏やかに暮らす分には十分な所持金だが、節約に越したことはない。
いつもは銀貨二枚するお米が銀貨一枚……半額で売っていたら買わない手はなかった。
調味料の一式はあらかた揃っていることにはとても感謝していた。調味料を揃えるとなると、総額で銀貨十枚は必要になるのだ。
棚からフライパンを出して火で熱する。
もちろんこの火は、力を使ったものではなく家に備え付けられているコンロの火だ。
フライパンが温まるまでに具材となる野菜を切り刻んでいく。
なるべく火が通りやすいように細かく刻み、温まったフライパンで豪快に炒めていく。
きつね色になったら皿に上げて、次の出番まで鎮座していてもらう。
安く仕入れた卵を一個割り器で解くと、熱せられながら一休みしていたフライパンのうえに流し込み、細かい玉を作るようにかき混ぜていく。
そこにすかさず白米を投入。卵とよく混ざるようにヘラで解していく。
白かったごはんが黄色く染まったら、待ての状態だった炒めた野菜も投入。均等に混ざるように見事なフライパン捌きで品を完成させていく。
最後に塩と胡椒などで味付けすればパラパラのチャーハンが出来上がった。
「よし!スティおばさんが思わず頷いてしまうくらい美味しく作っていた自信作!久しぶりに作りましたが、上手にできてよかったです」
皿に盛り付けて美しい艶を目で堪能したあと、匙で掬って頬張った。
「ん~~!美味し~!」
自分で作ったものにはいつも百点をあげられないリーシェだったが、今回のチャーハンにはぜひ百点をあげたい。いや、もうあげてしまおう。
「百点満点です!」
チャーハンはあっという間に少女の胃袋へ消えていく。
お腹一杯になると眠くなってしまう体質のリーシェは、食器や器具を洗うとすぐに歯を磨いて明日への期待を膨らませながら眠りについた。





