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第十八話 収穫祭は二週間後です!

 セルタの空は今日も晴れ渡っている。

 リーシェは鍬を片手に胸一杯に朝の空気を吸い込んだ。


 まだ収穫できる大きさではないものの、リーシェが育ててきた苗はそれぞれ実をつけていた。

 トマトはまだ若干青い部分が残るが、セルタの安定した天候で育てばみるみる赤くなっていくだろう。

 じゃが芋も芽が出ないうちに獲って美味しくいただきたいが、成熟するまでもう少しかかりそうだ。

 ナスももう一週間もすればほとんど収穫できるだろう。


 植えた苗はそこまで多くないので収穫できる量も多くはない。だが、アンとシュウ君、収穫に合わせて王都から再び来るラピスたちに作る夏野菜カレー分は間に合いそうだ。


 キージスによってリーシェが拐われた騒動からすでに三ヶ月が経っていた。

 あの後、谷の近くで待機していた巨大な梟に乗って帰り、両親の遺体は家から少しはなれた静謐な森の中に埋葬した。

 

 負傷していた左肩は、すぐに適切な治療がされなかったせいで傷痕が残ったが当の本人はそこまで気にしていない。

 元々、体にはいくつもの古傷があるのでいまさら一つ増えたところで何も問題ないのだ。


 ラピスの「知の力」でも傷痕は消せなかったのか、彼はなぜか悔しそうな顔をしながら都へ帰っていった。


 そのラピスが使っている畑も、苗がすくすくと育っている。収穫は一ヶ月後くらいだろう。


 つい癖で持ってしまった鍬を草の上に置き直して、じょうろで水を注ぐ。


「元気に育ってくださいね~」


 声をかけながら鼻唄を歌っていると、遠くからアンが声をかけてきた。


「リーシェ~!調子はどうだ~い!?」


 じょうろを鍬のとなりに置いて駆け寄ると、まるでよく懐いた子犬のような笑顔を浮かべた。


「絶好調です!野菜も順調に収穫できそうでとても楽しみです!」


「そうかい!町のみんなが植えている野菜や花もそろそろ収穫が近いからね!収穫祭をしようって話が決まったんだよ!」


 その報せにリーシェは満面の笑顔をさらに深くさせた。


「収穫祭!?」


「ああ!町の広場で収穫した野菜を使って大鍋に料理を作って、一年で最大の収穫期をお祝いするんだよ!あんたの歓迎会も兼ねてるけどね!」


「ラピス様方にも教えないと!一緒に収穫祭を楽しむのです!」


 ラピスは現在、王都でキージスの計画を暴こうとしたり、巨大な梟を従わせたりするアイテムの発明をしている。

 あの梟を手懐けられれば、空の移動に利用でき、移動はますます活発化するだろう。


 前回セルタに来たときは、ラピスの「知の力」で調査隊の身体強化をしたから普通よりずっと早く到達できたらしい。

 梟の移動技術が発達したらもっと速くこの地域までこられる。


 きっと収穫祭の報せに文字通り飛んでくるはずだ。

 

「収穫祭は二週間後。あんたは主役なんだから、体調に気を付けなよ」


 アンの忠告に頷きながら、二週間後の収穫祭に胸を踊らせた。

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