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choice02~球体の楽園~  作者: 陽芹 孝介
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楽園での再開

闇……。


暗い…闇…。


体が闇に…溶け込む…。


前にも体験した………闇………。


「う、う~ん…」


「目が覚めたかい?」


葵はうっすらと目を開けた。


明るい…、しかし、空には何もない…。

わかってはいたが、さすがに驚かされる。


体の感覚は……ある…。

この感じは…コンクリートではない、少し柔らかい…。手で確認すると、芝だった。


葵はゆっくり体を起こし、先程の声を確認した。

先程の声の主は、歩だった。


葵が起きたのを確認して歩が言った。

「厄介な事になったよ…」


歩はそう言うと、ある方向に指差した。


歩の指す方向を見ると…。


「どうして?…」


そこには五月がいた。五月はまだ倒れている。


歩が言った。

「厄介だろ…さっき確認したけど、異常は無かったから、じきに目を覚ますだろうけど、なんでここに?…」


葵が言った。

「カメラか…」


「カメラ?…」


「ええ…彼女はカメラにWebアドレスを撮っていたんですよ…」


歩は理解した。

「なるほど…それを見て、11時にアクセスをしたってわけか…」


「はい…、だからあんなにも、あっさり引き下がったんですよ…」


「やるねぇ…彼女も…」


「執念の塊のような人です…ある意味感心します…」


やがてその、執念の人…五月が目を覚ます。


「う~ん…なにこれ?…」


葵が五月に声をかけた。

「お目覚めですか?ストーカーさん…」


葵の姿を見た五月は仰天した。

「ギャーっ!つ、月島葵っ!なんで?!」


葵は呆れて言った。

「それはこっちのセリフです…あなた、Webアドレスを盗み撮りしましたね…」


「な、なんの事?…」


「とぼけても無駄です…あなたがここにいるのが証拠なんですから…」


五月は話を変えるように言った。

「そんな事より、ここ何処?まさか…あんたが私を誘拐したんじゃ…」


「あなたは、本当にめでたい人です…呆れて言葉も出ませんよ…」


「なに~っ!…。あっ、そうか…夢よ、夢…私夢を見てるのよっ!そうに決まっているわ…」


歩も呆れて言った。

「もう夢でも、何でもいいから…、決して俺達から離れないように、わかった?」


五月は納得できない感じで言った。

「なんで時分の夢の中なのに、自由じゃないわけ?…まぁいいけど…」


葵は立ち上がって辺りを見渡した。


一面が芝になっており、方角はわからないが…視線の先に、屋敷のような物が建っている。


その反対方向を確認すると…巨大なビニールハウスがある。

植物でも植えているのか?…


葵は二人に言った。

「とりあえず、あの屋敷に向かいましょう…」


歩が言った。

「ここにいても仕方がないか…行くか…」


3人は屋敷に向かうことにした。


屋敷に近づくと、屋敷から誰かが出てきたのが、確認できた。


五月は少し怯んで言った。

「だ、だ、誰か来ますよ…」


葵が言った。

「うろたえないで下さい…」


屋敷から出てきた人物は近づくにつれ、誰だかわかってきた…。


歩が言った。

「九条…」


屋敷から出てきた人物は、九条だった。


葵達を確認すると、九条は言った。

「やはり…来たんだね…」


葵は言った。

「お久し振りです、九条さん…。有紀さんもここにいますね…」


「そうだよ…」


すると五月が騒ぎだした。

「く、く、九条…つ、司っ!…」


九条は五月を見て言った。

「誰だいこの娘は?知り合いかい?…」


歩は言った。

「えっ、まぁ…そんなとこかな…」


五月が言った。

「私の夢に九条司がっ!感激!…」


九条は顔をしかめた。

「元気な娘だなぁ…」


歩は五月を宥める。

「五月ちゃん…少し怯んで落ち着いて…」


九条が言った。

「葵君…なんなんだい?この娘は…」


「気にしないで下さい…ただのストーカーです、それより状況を…」


「ああ…そうだね、とにかく屋敷に行こう…片岡さんも待ってる…」


屋敷に向かうと、近づくにつれその全貌が明らかになってきた。


「大きなお屋敷ですねぇ…」


五月がそう言うように、それは立派な洋風の屋敷…と言うより洋館だった。


芸術家が住んでそうな、クラシカルな建物で、見た感じは居心地が良さそうだった。


九条は屋敷の豪華な扉を開いた。


中に入ると、外観の豪華さに比べて、以外と地味だ。

屋敷は2階建のようで、中央のホールを囲うような階段があり2階に通じている。


1階の右の奥に扉がある。


九条はその扉を指して言った。

「あの時の扉の奥に、食事する場所と、厨房がある…皆はそにいる、行こう…」


九条につれられ3人は奥の部屋に入った。


中には大きな長方形のテーブルに、それを囲うように椅子が備え付けてある。


席には九条を除き5人が座っている。その中に有紀もいた。


歩は有紀を見つけて言った。

「有紀…無事だったか…」


有紀は笑って言った。

「ふふふ、やはり来たか…まぁ来るとは思ったが…」


有紀を見て驚いている者がいる…五月だった。

「なんで?病院にいた人が?なんで私の夢に?」


有紀は不思議そうに五月を見て言った。

「この娘は何を言ってるんだ?まだ何も知らないのか?」


葵が言った。

「面倒なので、夢って事にしています…」


歩が言った。

「ちょっと事情がややこしくて…ついてきちゃった…」


九条が呆れて言った。

「ついてきたって…君と葵君が着いていながら…」


有紀も九条に賛同した。

「全くだ…歩はともかく、葵…お前らしくもない…」


葵は言った。

「彼女の粘り勝ちです…」


九条が言った。

「まぁいい、とにかく自己紹介をしよう…」


九条はテーブルに座っている他の人物の紹介を始めた。


女性が3人に男性が1人いる。


小柄で黒髪を、巻き髪にしている…女性は、三木谷祥子(みきたにしょうこ)、24歳で職業は画家。

白をベースにした、ふわふわなワンピースを着ている…ゴスロリってやつだ。


その隣に座っているのは、江守愛(えもりあい)27歳で職業は教師。

長い髪を後ろで束ねている。

服装はシンプルでTシャツにジーンズを履いている。


その隣に座っている男性は、立花陸(たちばなりく)22歳でサッカースクールのコーチをやっているそうだ。

見た目は、短髪で茶色、色黒でスポーツマンな感じだ。


そしてその隣には和服の女性が座っている。


堂島亜美(どうじまあみ)です…24歳です…」


自己紹介を終えた亜美を見て、歩は言った。

「堂島…それにその顔は…」


九条が言った。

「そうだよ彼女は…堂島先生の娘さんだよ…」


歩が言った。

「やっぱり…世間は狭いというか、なんだかなぁ…夫人の面影があるよ…」


葵と五月、そして歩も自己紹介を済ませた。

五月が自己紹介の時、「オカルトミステリー研究会の美人代表」と、言ったのは言うまでもない…。


とにかく、九条と有紀が無事だった事に安堵した。


葵が言った。

「後は…調査ですね…」


九条が言った。

「ある程度は僕と片岡さんで調べたけど…」


有紀が言った。

「私が葵を案内しよう…九条氏と歩は今後の相談をしておいてくれ…」


こうして葵は有紀と調査する事になった。


前回とはうって変わって、自然に囲まれてそうなこの場所…。


ただ共通するのは、太陽が無いことだった。





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