29モフ目
キリが付かなくて増量になりました。
おはようございます。昨日は結局モンスターに遭遇できなくて、アドネーのレベルは上がりませんでした。あまりにもエンカウントがなくて、途中から島用の土を集める作業に切り替えた。
さて、どこか手っ取り早くエンカウントできるところはないだろうか。
布陣は淡雪、シンシナティ、プラム、アドネーといこうか。
とりあえずは、いつもの村の方に……。
「なんだこの道」
今まで気が付かなかったのか、新しくできたのか。知らない道があった。
「これは行ってみるしかあるまい」
冒険を楽しもう。
そんな思いを抱いていた時期もありました。
「なんにもねぇの」
ここまで二時間。モンスターも第一村人もいない。どうやら山に向かっているようではあるけど。
さらに一時間。
「あれは、プレイヤーか?」
複数の従魔を連れた人影がいくつも、山のすそ野に固まっていた。
「知らないモンスターが多いなぁ」
ヒカリヘビ オス
テイム済み
頭部に発光器官を持つ。獲物をおびき寄せ、餌にする。
ランドタートル オス
テイム済み
陸上で暮らす亀。甲羅がより分厚く丈夫になった。
白フクロウ メス
テイム済み
全身白い羽毛のフクロウ。美しい見た目とは裏腹に、優秀なハンター。
ハーピー オス
テイム済み
人の上半身を持つ半人半鳥。いくら育ってもフラミンゴより大きくなれない。
パールウルフ オス
テイム済み
北国に生息するオオカミ。その毛皮は美しく、高値で取引される。
一角ウサギ オス
テイム済み
額に角が生えたウサギ。角は鋭いがもろく、生涯のび続ける。
ミツバチ メス
テイム済み
巣に貯めるはちみつは良く取引される。巣の周りの植生によって味が変わる。
未見のモフモフが一杯だ!オオカミとか鳥もいいなぁ。ミツバチも一部モフモフだし。ただしオスのハーピー、てめぇはダメだ。オスのハーピーなんて悲しすぎるだろう。
他にも未見のやつはいるけど、どんどん先に進んでいく。みんなが目指している先にあるのは洞窟……もしかしてダンジョンか!?これは経験値を稼ぐチャンスだな。
装備は問題なし。うちのメンバーは?やる気にみちている。うん。でも、シンシナティは交代だな。トトでいこう。
では、突入だ。
中は当然ながら光源はない。入口の光が届くのもせいぜいが10mほど。その先はもう足元の把握ができない。
あのヒカリヘビは明かり用だったのかな?
こんなこともあろうかと、というわけでアイテムボックスから松明を取り出し、【陰陽】で火をつける。
ふと見上げれば、そこには緑に光る光点が無数にあった。
「うおっ」
バッド オス
アクティブ
超音波を使うために暗がりでも平気。洞窟の天井などを巣にする。
うん。お宅に無断訪問したから怒ってるんだよね。そこら中からきぃきぃと鳴き声が降ってくる。
こちらの対空手段は僕の【陰陽】と淡雪か。プラムにやれっていうのはちょいとばかし難しいかな。その淡雪にしても、洞窟の中じゃ飛ぶのは難しいだろうし。
「うん。逃げるぞ」
一目散に洞窟の奥へ!
「おかしいなぁ」
結構洞窟の奥まで来たと思う。ここまでの戦果はヘビが何匹かとトカゲが何匹か。地面の上にいるなら問題ないんだよ。うん。地面の上にいても小さかったから大した経験値にはなってないんだよね。アドネーのレベルも上がっていないし。
それで何がおかしいのかっていうのは、洞窟が山の大きさに対して大きすぎると思うんだ。まあ、そのあたりはゲームだと思って割り切るしかないんだろうけど。
「ぷう」
トトの警告。今度はそこそこ大物か?
カタカタとなにか軽くて硬いものが岩にぶつかる音と、ぬちゃぬちゃと湿ったなにかを引きずるような音が聞こえてくる。そして臭ってくる。
「なにか腐ったような……」
「ぷう」
トトが逃げ腰?まさに脱兎のごとくにげたいってか?
そしてそいつらは姿を現す。
スケルトン メス
アクティブ
言わずと知れた動く骨格標本。たまにリボンとか結んだおしゃれな個体がいる。
おしゃれなスケルトンってどんなの!?
カタカタ
あっ、あっちで手を上げてるスケルトンの肋骨にいくつもリボンが結んである。そうか、あんなのがおしゃれなスケルトンか。
ゾンビ ニューハーフ
アクティブ
生前の姿をある程度残すアンデッド。最近は高機動型。
どこのバイオでハザードですか。そしてなぜニューハーフ。
……濃い化粧の跡まで残っているのは気のせいだと思いたい。
一瞬焦ったけれど、今いる場所は直線。高さもそれなりにある!そしてアンデットの弱点は光。
「淡雪、ブレススタンバイ!」
そろそろ見慣れてきた淡雪のブレス攻撃。
「薙ぎ払え!」
発射したブレスを、首を動かすことによってスケルトンたちを撃ち漏らさないように攻撃する。
もちろん、洞窟が崩落しないように壁は避けて。
ブレスが収まると、動く死体は一つもなくなっていた。
≪おめでとうございます。従魔:淡雪 がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
淡雪がきたか。久々な気がするな。
フェザードラゴン:淡雪 Lv:4 up
HP:256 up
MP:129 up
STR:25
VIT:30
DEX:18 up
AGI:20
INT:21
MIN:18
≪おめでとうございます。従魔:トト がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
アンゴラウサギ:トト Lv:3 up
HP:112 up
MP: 62 up
STR:24
VIT:18
DEX:11
AGI:20
INT:12 up
MIN:12 up
≪おめでとうございます。従魔:プラム がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
数が多かったおかげか、結構な経験値が入っているな。
ピクシー:プラム Lv:7 up
HP:23 up
MP:39 up
STR: 5
VIT: 5
DEX:10 up
AGI: 8
INT: 8
MIN: 6
≪おめでとうございます。従魔:アドネー がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
ヒメグモ:アドネー Lv:4 up
HP: 8 up
MP: 5 up
STR: 3
VIT: 9 up
DEX: 5
AGI: 3
INT: 3
MIN: 3
安定のVIT伸ばしです。
さてサクサク行こう。
あ、ドロップは魔石でした。
途中、ログアウト中のプレイヤーと思われるテント群のある広間を抜け、しばらくしたところで川にぶつかった。
上流側は壁の中。下流側は狭いけど通ることはできそう。そして向こう岸も道がある。
下流側は……確かに通ることはできそうだけど、松明を持ったままっていうのは難しそうだ。スキルなり別の光源なりが必要だな。
抜こう岸へは……ネックになるのは僕だけか。淡雪とプラムは自力で飛べるだけのスペースがあって、トトとアドネーは淡雪に連れていってもらえば問題なし。
淡雪に往復してもらって松明を向こう岸に移して、っと。
さてうまくいくかどうか。今までの傾向から、絶対あると思うんだよね、あのスキル。
まずはこちら側で何度か走り幅跳びを繰り返す。
インドア波だから、体育の授業くらいでしかやったことがないけど、まあ形にはなっているだろう。
一回、二回……五回、六回……十回、十一回。
あっれ、そろそろ取れると思うんだけど。
十三、十四、十五。
≪スキル:ジャンプ が有効化されました。≫
よし、狙い通り!
もしかしてその場で飛び跳ねれば有効化できたかもしれないけど、気にしちゃいけない。
……その場で飛び跳ねて熟練度が加算されるってことは、きっと有効化できたけど、重ねて気にしてはいけない。
熟練度が30を超えたあたりから、ジャンプ力が上がったのがしっかり体感できるようになってきた。ちょっと面白くなってきたから、一回転、二回転、トリプルアクセル。
≪スキル:軽業 が有効化されました。≫
あっれ、予定外の物を拾ったな。まあ、いいや。
さて、そろそろ跳びますか。
ある程度の距離をとって、助走からジャンプ!…って、あ。
びたん!
踏み切りに失敗して、向こう岸の崖にいい音をたてて張り付いてしまった。
鼻が痛いけど、なんとか【掴み】の効果を借りて登りきる。
「きゅっ」
「ぷう」
「ぴぃ」
「しゅー」
うん。心配かけた。
ちょっとだけ休憩させて。
あー、鼻が痛い。
≪おめでとうございます。従魔:アドネー がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
結構下まで降りてきた。
埴輪パペット オス型
アクティブ
素焼きの土器がモンスター化した。いろいろな形がある。
今倒したのはこんなやつ。円筒形の体に、丸くくりぬかれた目と口があるだけで、オス型をどの辺で判断すればいいのか運営を問い詰めたい。
ヒメグモ:アドネー Lv:5 up
HP:10 up
MP: 6 up
STR: 3
VIT:11 up
DEX: 5
AGI: 3
INT: 3
MIN: 3
≪従魔:アドネー は 糸(Ⅱ) 隠密 を習得しました≫
おっと、新しいスキルか。【隠密】はいいとして、【糸(Ⅱ)】?
『糸(Ⅱ):一度の食事ごとにVIT値の二乗mの糸を出せる』
うん、現状アドネーのVITが11.二乗だから121mの糸?かなり増えたけどまだまだ足りないな。
「水着のためにも、まだまだアドネーのレベル上げを頑張るぞ」
「しゅー!」
うん。気合は十分だな。
雑魚を蹴散らし、さらに奥へ進む。
そこは広間になっていて、重厚な石の扉の前で、何人ものプレイヤーが列を作っていた。
「ボス戦……かな」
時折扉が開いて時には一人、時には何人ものプレーヤーが飲み込まれていく。戻ってくるものはいない。
「お、毛皮丸じゃないか。久しぶりに見たな。お前も鉱石狙いか?」
「大五郎」
後ろから来たのは、見事な熊さんだった。
「ま、いろいろあってね。この先はボス……で、いいんだよな?」
「なんだ、ここは初めてか。ああ、ボスだ」
「何が出るんだ?」
「ベビー・ロックワーム。どでかいミミズだ。いい鉱石を結構な割合でドロップしてくれるんだよ」
「なるほど」
「なんだったら一緒に行くか?」
「いいのか?」
「問題ない」
「ならよろしく頼む」
≪大五郎にパーティー申請をしました。≫
≪キャンセルされました。≫
「は?」
「ここはレギオンでいこう」
「ああ、ここは組めるのか」
レギオン。1パーティー6名(従魔除く)を複数束ねてボスやイベントに挑むシステム。ただし5名以下のパーティーでもレギオンを組むことはできる。これはボスやフィールドによって上限が定められており、例えば以前倒したヒュージタランチュラはレギオン設定がない。
パーティーは範囲魔法を使うとパーティー全体まで効果を及ぼすけど、レギオンでは自分のいるパーティーまで。パーティー単位のドロップなどは、数が少ないとパーティーの中でもめたりするけど、レギオンだと1パーティーごとにきちんともらえる。なので、僕と大五郎がレギオンを組むと、それぞれ大五郎の言うドロップ鉱石が丸々もらえる、というわけだ。
「で、大五郎の従魔はどんなのだ?」
見たところ一人のようなんだけど。
「ん、そろそろ来るはずなんだが」
そうこう言ってる間にモンスターが入ってくる。
すながに オス
テイム済み
砂地に生息するかに。甲羅に砂をつけてカモフラージュする。
ストーンパペット
テイム済み
石でできた人形。水中でも動けなくはないが、速度は極度に落ちる。
そしてスライムがいて、次のモンスターは、
「なん、だと」
エンジェル メス
テイム済み
天の使い。目を隠すことにより、神聖性を高めている。上の位階に上がるために修行の身。
「おっさん」
「なんだ?」
「あんなのどこでテイムしたんだよ?エンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかエンジェルとかスライムぬるぬるプレイとかエンジェルとか」
「最後の方に変なの混ざらなかったか?」
「気にするな、ただの欲望だ」
「正直だな、おい」
「で?」
「クモと妖精の場所と交換」
「両方ともベルトリス東の森。妖精は四日くらい東だけど」
「よし。まず、スライムだが、アメーバからのクラスチェンジだ。例のスライムイベントの後、ベルトリス周辺に結構いた」
「なるほど」
まだ見たことないな。
「エンジェルはキューピッドからのクラスチェンジで、こっちは王都から来た司教様ってののクエストクリアしたら報酬で卵もらった。その司教様はベルトリスが復旧した後帰った」
「Oh。しかし、天使って卵生なのか?」
「どこぞの女神さま達も通販で卵取り寄せたり、天使が卵に巻き戻ってたりするから、いいんじゃね?」
「なるほど」
では。
「行くか」
大五郎と一緒に扉に手をかけ、開く。
「淡雪、ブレスチャージ」
「きゅい」
従魔を含めた全員が部屋の中に入ったところで、扉が勝手に閉まる。
ごごご、と地鳴りがして、部屋の中央あたりの地面が盛り上がる。
「いきなりドラグスr……じゃなかった、ブレス発射!」
「きゅいー!」
ロックワームが顔を出した瞬間にブレスが直撃する。
「削れたは削れたけど、光属性だと弱点にはならんかな?」
「よし、押さえつけろ」
大五r……おっさn……大おっさんのすながにとストーンパペットがロックワームを押さえにかかる。
「よし、行け!」
スライムがロックワームの口から体内に侵入する。
「……あれ、喰われたりしないの?」
「特に問題ないな。スライムテイムしている奴の鉄板だぜ。特にここでは」
ブレスいらなかったかもしれないな。みるみるうちにHPが削れていく。SAN値が削れないのが救いか。
五分もかからずに戦闘は終了した。
「さーて、鉱石鉱石」
「なにが取れるのかなっと」
大おっさんが腹のあたりにナイフを突き立てたから、僕は頭に刺してみる。
岩喰い蚯蚓の粘塊 品質:普通
ロックワームの口腔内を保護している粘液。これによりいろんな種類の鉱石を食べても傷つきにくい。乾くとしなやかで撥水性を持つ。
これ、水着に使えそうな気がする。
電気石 品質:普通
たくわえた魔力で軽い電気が流れる。肩こりにどうぞ。
マッサージかよ!
≪おめでとうございます。従魔:アドネー がレベルアップしました。任意のステータスに2ポイント割り振ってください。≫
ヒメグモ:アドネー Lv:6 up
HP:12 up
MP: 7 up
STR: 3
VIT:13 up
DEX: 5
AGI: 3
INT: 3
MIN: 3
剥ぎ取りが終わったところで入ってきた扉の近くに魔法陣が現れる。
「あれに乗れば入口まで戻れるぜ」
「なるほど」
「ぷう」
歩き出そうとしたところでトトが引き留めた。
「なにかあるのか?」
「ぷう」
入口とは反対側、部屋の奥へとはねていく。
「奥に何かあるなんて話は聞いたことがないがなぁ」
「行くだけ行ってみるさ」
トトは壁際で待っていた。
「ぷう」
鼻で指し示すそこには、奥へと続く通路への入口。
「……こんなの掲示板でも話されてないぞ」
「ボスを倒すことで開くのか。ご丁寧に入口に戻るショートカットも同時に用意して」
「だとしても気が付かないっていうのは……」
「ウサギにしか聞こえない音とかな」
「……ありえそうだな。で、どうする?」
「もちろん進む」
「俺は戻らせてもらう。進むだけの用意がない」
「なら、ここまでだな」
「おう。情報公開はどうする?」
「洞窟ぬけるなり行き止まりにたどり着くなりしたらメッセージ入れるからそれまで待ってくれるか?」
「いいぜ」
「それじゃ、また」
「おう」
≪レギオンが解散されました≫
「潜るしかない、か」
通路の先は少し登った後、湖になっていた。地底湖ってやつだ。
水は青く透明度は高い。水中には無数の石筍。
進む先は水中に見える洞窟一択。
しょうがない。
トト、プラム、アドネーを戻してワタツミを呼び出す。
「きゅい」
「久々だけどよろしく頼むな」
「きゅい」
では、ワタツミにまたがって水中の旅に出発だ。
「ぶはっ、これで五つ目」
水中洞窟はほとんどが完全に水没していた。呼吸ができるのは、たまにある今僕らが一息ついているようなエアポケットだけ。それも今の僕の【潜水】の熟練度だと息が続くぎりぎりの距離。さらに今の分は息が続かずに、HPが半分ほど削れてしまった。窒息によるダメージは息ができれば回復するのが救いだけど。
「さて、行こうか」
「きゅい」
そして都合十三回目のエアポケットを過ぎて、ようやく僕らは太陽の光を浴びることができた。んだけど。
「どう見ても滝だよな」
「きゅい」
「淡雪は飛んで、ワタツミはジャンプの要領で飛び込めばいいとして」
「きゅっ」
「僕がらかダメージに耐えられるかな。高飛び込みとかいう次元じゃないよね」
これはたいして育っていない【降下】にかけるしかないか。
…………。
よし、覚悟完了。
「いけっ、ワタツミ!」
「きゅい」
そう、信じれば空だってとべるさ。
あーいきゃーーんふらーーーーーーーぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!
……ずっぱーーーーん
「げほっげほっ」
とりあえずHPは危険領域まで削れたけど生き延びたか。
自分でとってたタイミングがずれて死ぬかと思った。
「ワタツミ、適当なとこで止まって。今日はこのあたりにしよう」
「きゅい」
空が赤くなってきている。時間としては少し早いけど、今日はここまでにしよう。
最後に気力を全部持って行かれた。
大おっさんにはメッセージ入れておかないとな。
お読みいただきありがとうございます。
ロックワームはドロップ狙いの周回を前提としたボスなので、経験値は少な目になってます。




