第2の問い〜ブルーノ〜
ブルーノニキ
『んぁぁぁぁぁ!!!!』
あれ...
初登場の時はもっとちゃんと挨拶してたのに(´・ω・`)
何が彼を駆り立てたのか
『殲滅だと...舐めてくれる!!!行け、数で押し潰せ!!』
憤りを隠そうともしないブルーノの咆哮が魔王軍全体に響く、しかし先程と違い、誰一人としてその咆哮に動きを止められる者はいない、萎縮する者はいない。知っているのだ。目の前に王がいることを
王が返って来たことを。
触手が魔王幹部全員に延び始める
それぞれが触手をさばくために動き始める中
誰よりも先に攻勢に転じたのはビネルだった
『ギール!あのこすい奴やってよ!』
触手を華麗に避けながらの叫びに
『魔術と呼べ!誰がこすい奴だって?!』
ギールはそう言いながらも手から灰色の魔法を出現させ、ビネルの弓に当てる
ギールの魔術に当てられ、灰色のオーラに変色を遂げたビネルの弓は、次の瞬間にはもう手から離れていた。
一直線に、唸りを上げながらブルーノの顔目掛けて矢は飛んでゆく
『鬱陶しいわぁ!』
そう言って弓をはたき落とそうと触手を伸ばすがそれは...空振りに終わり
ーーーー彼の右目に激痛が走った
な...な!!!!
弓が加速した?!謎...何故?
潰れた右目の代わりに、左目でブルーノはそれを確認した
......弓の後ろに、もう一本弓が
つまり、「射った弓を加速させる」為に、「飛んでいる」弓の後ろにより早い弓を射って、加速させたとでも言うつもりか?!
2段撃ち
素早い動きをする獲物を射るために開発した、ビネル独自の技術である。
そして...
『うぉ?!』
何かに滑ってしまったのか、ブルーノは頭からつんのめって...転んだ。
『ふはははははは!見たかぁ!これが悪魔族の秘技、「死を誘う呪い」だぁ!』
転ばせてるだけじゃん、そうツッコムビネルを軽くスルーして、ギールは高らかに笑う
『サテ、ツギハワタジガイゴウ!!!!』
そう言い放ち、態勢の崩れたままのブルーノと四つ手を組んで力勝負に持ち込んだのはウォーカーだ。
彼の体から蒸気が吹き出し、ブルーノを完全に抑え込む
『ロッグブレイグ!!』
ーーーー彼ほどの剛力の持ち主になると、ただの拳骨が兵器と化す
腹にめり込んだ拳をマジマジと見て、ギールはそう悟った
ブルーノの足場がなくなり、空へと投げ出される。
空へと舞うブルーノを待っていたのは...
2匹の鬼であった。
アスカモーと魔王...
『2人で一緒に戦うのは久しぶりだな』
『......そうだな。嬉しくて...今日はいつもより少し多く抉れそうだ』
『うぉ...怖え』
恐怖の表情を隠せない魔王を見て、やはり人間の姿なのだと再確認する。
だが、やることは変わらない、化け物でも、人間でも。
アスカモーの剣と、魔王の剣が、昼間の曇り空の中光りだす
黒い闇と、紫色に怪しく光る2筋の剣筋が、ブルーノを捉えた。
魔王の剣が、触手を切り裂き
アスカモーの剣が肉を抉り取る
ーーーただ斬るよりも、抉る方が痛みは強い
そう結論づけてアスカモーの剣は「抉る」剣となった
2筋の剣筋は、回転し、交差し、合致した。
空から化け物が降ってきた
それは肉も抉れ、全身がズタズタに引き裂かれ、見るも無残な死体に変えられた1匹の哀れな生物ではない
2匹の鬼だった。
魔王軍が世界を救う話は、個人的にも書いてみたい話の一つなのですが...
それはまた、別の機会に




