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アイテール、ついに動き始める!
最強の生物のはずなのだ、私は
地中を蠢きながら、自らを治療しながら「それ」は復讐を誓っていた。
誰よりも効率を求め、誰よりも強さを極めてきた私がどうだろう。
今、治療を求めなければならないほどに疲弊している。休息を取らねばならない程に消耗している。
「私は、私に疑問を抱こう」
私は、真に神なのか...??
否、考える意味はない。
生物種を間引きするもの、それが我が役目
そのためには一個体であるままだと効率が悪いだろう。
そう思ったアイテールは、触手を伸ばし始める
触手は伸び始め、触手が丸くなり、破裂し、その中から天使が出てきた。
仮面を被った天使である。男女と別れており、男は槍を持ち、装備品も天界の戦士を彷彿とさせるような黄金の鎧を身にまとっている。女は鎧は同じだが弓を持っており、羽を伸ばして狭い地下空間の中で羽ばたこうとしている。
そして...3名
そんな同じ仮面、同じ風貌をした者たちからは明らかにかけ離れた者たちが出現した。
仮称して量産型天使と呼ぼう、彼らと、現れた3名の違い...
まず、仮面を装着しておらず、彼らの素顔が明らかになっている。
次に、羽の...と言うよりは体全体の色が違う。
黒い翼を持っていたり、フード姿をしていたりと、様々だ。
1人はその紅い翼を持つ男。量産型天使と違い、そもそも武器を有していない。
黒い髪が目を隠すまで垂れており、首に十字架のネックレスを下げた、神父のような格好をした男だ。
姿勢は美しく、こんな陰気な地帯にいるよりも教会にいた方がマシなのでは、という格好だ。
『人はどうせ死にます、それでもやると仰せならば従うのみ...ブレオベリス。』
そう言うと、男は頭を下げた。
もう1人は女性で、こちらは量産型男天使と同じ、槍を所持していた。
全体的に薄紫色色の服が、地帯の風に吹かれてたなびく。地面に降り立った時に足を延ばすと、コツンとハイヒールの音がした。顔はロシア風の顔立ちをしており、真顔で下を見ている。
一番の差異は、腕がないということであろうか。
左腕の、袖が服に垂れ下がっており、そこにあるべき華奢な左腕が、綺麗さっぱり消えていた。
『 ベディヴィア、私は...理不尽を憎む』
最後の1人は、フードに包まれており、姿は見えない。
翼はフードの穴から見えている。しかしそれはまだ成熟した量産型天使達から見ても明らかに小さい。
代わりにと言ってはなんだが、彼のフードからは翼が生えている
悪魔族特有の...翼が。
『ブルーノ、過去を忌避するもの』
「「「我ら3体、生命を殲滅せんがために」」」
そう言い放った3体は、アイテールの意向を履行せんがために動き始めた。
ブレオベリスはアイテールとともに進軍を始め、
ベディヴィアはウォルテシアに
ブルーノは魔族領に
3つに進行方向を定めて進み始める
私は進化した。
1人ではなく、軍団を自ら作り出し、敵を蹂躙せん駒を作る。
進化したからこそ、圧倒的な回復力を生み出す。
進化、生物が小癪にも発展を遂げてきた一因だ。既に完成された私には必要のないものだと思っていた。このようなことで役に立つとはな。
審判の時を、始める
ーーーー地上の生命体よ、いかんとす...




