魔王軍の戦争準備
体調が優れず、短編に近い形での投稿となってしまいました。申し訳ありません、調節してきます
『手紙、確かに受け取りました。では』
目の前で影となって消えていく王国からの使者を前に、空の王座の前でそれを手渡したアスカモーはため息をついた。
『ホントウニコレデセイカイカ?』
隣にいたウォーカーが話しかけてきた。
『その通りです、魔王様の許諾も得ずにこのような勝手。おまけにもしかすれば、私達には関係のない話かもしれない。真面目に戦うのも馬鹿らしいものになると想像しておりますが?』
ウーフィルも同調するかのようにそれに応える。
『...人間どもは、この戦争の参戦を条件に、エルフや獣人を魔族領に解放するという条件を出した。こちらから手を出したにも関わらずこの選択は破格の条件と言えるだろう。とにかく戦力が欲しい筈なのだ、人間の方も。今のうちに高く自分たちを売り込んでおく。そう決まった筈では?』
『...それでも魔王様の許諾がないことには...』
そう言い出すウーフィルの顔をアスカモーは睨みつける
今の魔王軍には脳がいない
というよりも、魔王軍はもともとシンありきのものであったことが、今再確認されているようにアスカモーには感じる。
決め事だけではない、各方面でシンの人徳ありきの魔王軍であったことは痛感された。
メデューサとウーフィルはシンがこなしていた書類仕事の元々の忙しさに加えて今回の戦争の後始末に追われている。
...これで更に「アイテール」なる神に挑もうとしているのだ。過労死しそうだなあの2人。
各幹部も軍団の整備にてんてこまいだ。
そして大きいのは、いくつかの部族が魔王軍を抜けることを表明したことだ。
シンのいない魔王軍に興味はない、ということだろう。いずれもシンが自分で交渉に行った名のある部族達だ。
大幅な戦力ダウンともいえよう。
そう言えばギールが謹慎から戻ってこないのも気になる。
アルフィィオスは戦力を集めに四方を回っている。かつての仲間たちに声をかけているらしいが...どうなることやら。
ともかくやらねばならない。
シンが死んでたとしても...
仇ぐらいは撃ってやらねば、彼も眠れまい。
というわけで若干バラバラ気味な魔王軍も出立した。
つい先日まで殺し合いをしていた者たちと共闘する、と聞いて魔王軍はどのような気持ちなのだろうか。幹部のペリモーンズも殺されているのだ。よりによって同盟の主に。ガーゴイル達は浮かばれないだろう。
しかし異論を唱えるものは少なかった。知っていたのだ。帰ってきた多くのものの口から、「アイテール」の恐ろしさは十分に伝わってきていたのだ。
多くの部族が参加を拒否するほどに。逃げを選び、魔族領のより深い闇に姿を消した種族もいた。
今ここにいるのは、アイテールを知らない愚か者か、生物を守ろうと意気込む志ある者か。
いずれにせよ、行かねばならないだろう。どちらにせよ負ければ、生物の大半が死に絶えてしまうのだ。
アスカモーの指揮する魔王軍は出立した。アイテールが復活すると言われている期間より半月ほど早いタイミングで到着し、人間の王と戦略の確認をする。これでいいだろうとアスカモーは考えていた。
その考えは覆される。
予定よりも1ヶ月早く、「アイツ」は動き始めたのだ。
???
『もう一度守る覚悟はある?’
『やはり来るか...いいよ、記憶も戻ったし、こっちで安全に暮らしてても気が気じゃなかったよ。連れていけ女神さんよ』
『わかりました。もう一度、守りに来てください』
『はいはい、で?そこへはどうやって行くの?』
『こうやってです』
『?上うわっ植木鉢?古典的な』
ゴーーーーーン!!!!!!!!!!!




