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多重人格者が異世界転移したら1人増えました あれ、お前魔王じゃね?  作者: くろこん
7章 西の国では龍と対話ス
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試練編其の三〜獲りに行く!〜

前回のあらすじ


バハムート

「いらないわ!次回も無双回だぞ♡」


レッド

「それはどうかな?」


グリーン

「そうだそうだ!」

バハムート、言わずと知れた国きっての権力者であり、それが住んでいる場所は神殿として、国とは別に半端独立したかのような観光地になっている。


そんな神殿と観光地が、時に揺れることがある。


震源にしてわずか震度2にも満たないものではあるのだが、確かに揺れる。


街の人々は、時折くるそれを、気にも留めない。


日常とかしているのだ、この小さな地震が。人は、理由のわからないものに怯える。なら、何故この地震に怯えないのか?


理解しているからだ、この地震の理由が、わかっているからだ、


震源地は...神殿、のもっと奥にある...


試練の間、神器を手に入れるという浪漫を求めて、冒険者の来訪が立たない。


無論盗むなどという方法で神器を手に入れようとするものもいたが、全てバハムートが撃退している。


今、神殿にて、かつてないほどの揺れを、この街の人々は経験することになる。


『行くぞぉ!受け止めてみせろ!』


『いや受け止めたら死ぬでしょこれ、回避回避!』


『了解ぃ!』


バハムートお父さんの爪を、イヴァンがいい返事をしながら避ける。


朝も見てたけど、バハムートに弱点らしい弱点はない。ただ一点、足元だけが、攻撃が薄く、守りも同じく薄い...ような気がする。どっちにせよバハムートと同じ目線で戦ってたら避けるのが精一杯だ。神器〜片手剣モード〜で受け止めたけど、盾を持っていた方の手がジンジン痺れた。


2度は受けたくないね


一番受けたくないのが、渾身のブレスだ。


広範囲なあのブレスは、ふつうに食らったら丸焦げになりそうだ。溜めが大きく、口元が光るということでわかりやすいため、どうにか回避できている。


これ、倒すとか考えてたら駄目だね


てか、物理的に生物を殺してるのって、この世界に来てからイエローとクロだけじゃない?あっホワイトも叩き潰してたか。


そういう問題で、生き物を殺すのには抵抗があるし、そもそも倒せるわけないし!クロならともかく、人格でワースト2位 (ピンク除く)の実力の僕じゃあ不可能だ。


なら、直接神器を奪うしかない。グリーンが作ってたコレが、もしかしたら使えるかも......


そうポケットに入ってた何かを掴んだレッドは、イヴァンに指示を出す。もちろん言葉ではない、鞍の向き、力などを考慮しながらイヴァンが考えて飛んでいる。グリーンがイヴァンと話し合いながら考案した操縦術である。以心伝心がちゃんとされないとできないので、かなりの練習が必要ではあるが。


物覚えの悪い人格もいるので、そこは苦労した。レッドは比較的覚えが早く、オワリの国、ここまでの道のりで、イヴァンとの掛け合いは既に完璧になっていた。


攻撃の薄い低空飛行を続けながら、一気にバハムートに近づいたレッドは、あるものをバハムートに投げつけた。


それはあわやバハムートによって弾かれるかと思いきや、バハムートの爪にそれが刺さった瞬間、一気に煙のようなものが吹き出し、視界をあっという間に塞ぐ。


バハムートは、一瞬イヴァン達の姿を見失ってしまう


『なるほど、その間に神器を奪おうと言うわけか。だが甘いな!』


感覚の鋭さ、伊達に遠くの地域から息子の悪口を聞きグリーンのところに来た5感は半端じゃなかった。


バハムートは腕の筋肉を更に肥大化させて、一気にイヴァンを捕まえる。今までは本気ではなかったのだ、イヴァンが逃げられるギリギリのスピードで攻撃を繰り出していたに過ぎない。実は3回の試練の中で徐々に攻撃のスピードを上げていたのだが...それはバハムートなりの優しさだろう。


『ハハハハハ!残念だったな、まぁアイテールが復活するまでまだ僅か時はある。まだまだ鍛えてやろう!』


そう勝ち誇ったバハムートは、その次の瞬間眉を潜めた。乗り手がいない、あの小僧がいない。


どこだ、あたりをキョロキョロと見回し、ゾクリとした感触を感じる


そうか、視界を失くしたのは、乗っていないことを認識させるために過ぎなかったのか。


最初から本気を出していれば勝っていた?確かにその通りだが、それは違う。


神器を使える、それとは別に、イヴァンの契約者としては、既に認めていたのだ、この小僧を。だからこそ、鍛えてやろうという発想になった。


やられたな、完敗だ。


肩をやれやれとすくめながらイヴァンは目の前にいる小僧を見つめる


『やった!感謝します、親愛なるドラゴンよ!』


そう言って去っていった前の神器の持ち主を思い出す。


なんだ、そっくりじゃねぇか。


『ハァ...ハァ、いや?もう試練は終わりですよ、バハムートさん。』


そこには神器を手に持ち、右手で掲げているレッドの姿があった。

(観光とかさせたかったけど、よくよく考えればそんな余裕はない)

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読んでくれてありがとうございます! これから全10章、毎日投稿させていただきますので、是非よろしくお願いします @kurokonngame くろこんでツイッターもやってますので、繋がりに来てください。
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