ダンジョンにあったものとは
前回のあらすじ
イエロー完勝
エルザぼっち!泣く!
(๑˃̵ᴗ˂̵)イヴァーーン!!
特に意味のない暴力がイヴァンを襲う...
『......流石にもう復活いたしませんよね?』
鎧武者...もとい三郎を見下ろしながら、イエローは尋ねた。
『......うむ、あの魔法使いが施した呪術が無くなるのを感じる。もうすぐ私は死ぬ』
『......そうですか』
剣術での戦闘だけなら、腹をナイフで刺された程度でこの御仁が止まるとはイエローには思えなかった
勝てたのは、弱点があったからだ。そうイエローは自己で戦いの勝因を完結させた。
『持っていけ、この後ろの扉の向こうに、お前の望むものはある。』
『.........感謝する、三郎殿』
そう言うと、イエローは迷いなく、扉の向こうへと入っていく。
フフ、フフフ
人間50年と言ったか。
まさか数百年生きる羽目になるとは。
裏切りから気づけばこの世界に来訪し、飢えと圧政に苦しむこの国の民を救った。
最後の相手...いい顔だった。
さぞや数多くの修羅場をくぐってきたのだろう。
そんな顔をしていた。
見た目は小僧にしか見えないがな。
しまった、奴にあれを伝えるのを忘れてしまったな。
宝物庫の中にあるアレのことを...
戦いが楽しすぎて、忘れてしまっていたわーー
三郎の意識はそこで途切れ、鎧は数百年の時を一気に加速させたかのようにボロボロになり、朽ちた。
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パタン、入ってきた扉を急いで閉め、イエローはふぅ、と一息ついていた。
疲れた〜
まぁ最後の試練と言っていましたし、これ以上罠はないでしょう。探索を始めます。
中には、5冊の薄い書物、武具の類
そして...一本の刀が飾られていた。
これだ、そうイエローは確信する。
トリスタンの時も
ファシキリンの時にも感じた、あの神器とまみえたときの感覚とそっくりなのだ。
まさか刀になっていたとは...ゆっくりとイエローは刀に手を伸ばす。
刀は無銘、なんの名前も掘られてはいなかった。
三郎殿が使っていた刀よりも少し短め、あり大抵に言えばベーシックな刀だ。だが、重い。今までの神器の共通認識として、軽いと言うのが特徴だったのだが、これはその前提を覆し、重厚感が伝わる一品となっていた。
そして...光らない。儂が神器に選ばれてない、と言うことにも由来するのでしょうか。
ギリオンは、通常なら棒状の神器だ。
この刀ーーもとい「グラディウス」も、もしかしたら適合するものがいるのかもしれないですな。
取り敢えず、目新しいものは回収した。
本と、「グラディウス」
これだけ確保しておけば十分だろう。
エルザも待っていることですし、帰りますかな
ダンジョンに入って12時間ほど
オワリノダンジョン、制覇である。
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『へー、で?これが神器?』
エルザがグラディウスの刀身を出す。
『まぁ、そうなりますかな...おっとエルザ、足元に石が、つまずきますよ』
はいはい、と言いながらエルザは石飛び越える。
魔物は自然にいたが、罠は一つたりとも発動しなくなった。きっと、三郎への魔法が、そのままダンジョン全体にも作用していたのだろう。恐るべき魔法だ。
このようなダンジョンを作った主、会ってみたかったですな。
ダンジョンの外から、星灯が見える。小休憩を挟みつつ、ようやく外の空気を吸うことができた。
外は真っ暗闇である
『それにエルザ...鎧はどうしましたかな?』
『あっいけない、忘れてた。これじゃ、2層目まで取りに行かなきゃ。』
えぇ...また行くのですか...儂ももう寝たいのですが...
『そこで止まれ、2人組』
急に空から声が聞こえたかのようなこの感触。
どこからか聞こえた声に、エルザはびっくりした表情をしこちらを見る。
いますなぁ、確かに。何かが
岩陰と、木の上ですか...気配を消すのが上手ですな。他の人格じゃ気付かないでしょうな
クロ?あいつは獣ですから、色々おかしいですし。例外で〜す
『......お前が持っている刀、入る時には持っていなかったな。つまり、このダンジョンから獲ったものとお見受けする。ダンジョンは、オワリノ国統括、そこで取られたものは全てオワリノ国が管理する。その刀も我々のものだ。渡してもらおうか』
さて、どうしましょうかね...
次回 人格きっての交渉人が動き出す!




