イエローvs最期の試練
前回のあらすじ
イエローの最終試練、開始!!
イエローはナイフ2振りをだらりと構える。
相手の鎧武者は、オワリの国の武士が持っていた刀よりも、少し長い、長刀を構えて突進してくる。
リーチを活かした鋭い斬撃に、イエローは少しばかり顔をしかめる。
ーーアイテールとは違う。あれとはまた違ったものを出すお方ですなぁ、「覇気」とでもいいましょうか。
しかし今はそれを感じる、その剣に、その威圧に修羅を見る。振るわれた剣をいなすものの、直後に返した剣の対応に追われる。こちらは2刀、捌くのに苦はないが、相手の手数が異常に多い。
しかしついに、武者の数瞬のスキを突いて、イエローは武者の手首を切り飛ばした、しかし両断することはできず。しかも、そこからは出血すらしなかった。
『やはり...絡繰ですかな...!!』
返した刀の追撃を防ぐため、一旦距離を置く
刀の範囲から逃れることに成功したものの、既に息は上がってしまっている。
まずい、このままだと先に参ってしまうのはこちらの方だ。
『絡繰...当然だ。人が数百年も生き長らえることができるわけもなかろう。ここにあるのは我が魂のみ。この世界の魔法...を使って、この鎧に魂を定着させた。ここにいるのはただの抜け殻よ』
そう言うと、武者は手首を押さえて、ガキガキと箇所を動かす、やがて手首が元に戻り、動かせるようになった。
『...なるほど、確かにカラクリですなぁ、しかしまぁ幾ら何でも似すぎでしょう...』
似すぎている。そう、似すぎているのだ。
ここは異世界のはずなのに。
刀も、オワリの国に点在しているもののことごとくが、日本史中世ごろと、類似している点が多いのだ。
まぁ、剣術は人を殺すための剣、使うのは同じ人間という種族だ、それにやりやすい型を意識すれば、おのずと剣術という型に行き着くというのは、別に剣術の利便性が証明されるのみで、逆に言えばそれだけである。
『ですが...風習まで似たようなものだとは想像ができませんでしたなぁ...』
いかんいかん、戦闘中に別のことを考えるなど。
私の悪い癖です。
『風習か、これは俺の郷里の風習でな。あの南蛮人なぞの国に比べると確かにおかしいだろう。』
『えぇ、そうですな。』
懐かしいーそう言いそうになったのを、イエローはぐっと堪えた。いけないいけない。この程度で乱されては。集中せねば。
『お前のその顔...お前もこの国の出身か、まだオワリの国は健在か?それとも何れかに下剋上されたか』
そう言うと、鎧武者はふふふと笑う。それはまるで、
諦めたかのような笑いだった。
鎧の男が再度、今度は本気でイエローを切り刻むべく一歩を踏み出す。イエローは、それに真正面からぶつからんとする勢いで、前に進んだ。
振り下ろされる刀、刹那その刀がイエローの脳天に直撃しようとした、その瞬間
イエローは姿を消した。
鎧姿の男は、返す刀をどこに向けて良いかと思案する。その一瞬、その隙に、イエローのナイフが、鎧武者の腹に突き刺さった。
イエローのナイフは、鎧武者の腹部に直撃
奥深くまで突き刺さっている。
鎧武者に背中越しに話しかける。
『近代格闘術の一つです、相手の死角に潜り込む術。最もー隙が大きいので2度は使えませんがね』
『ふふ、ここが私の魔術の動力源部分だということは、何故わかったのだ?』
『音と、魔力量ですよ。その部分のみ、魔力量の大きさが桁違いでしたからな。誰でもわかりましょう、見つけるのにかなりの時間を要しましたが...できるならば無傷で手に入れたかったのでね。』
『ふふ...技、知恵、そして...運全てにおいて敗北を喫したか。』
いいぞ
お前のような英傑が来るのを、楽しみにーーーー
『完敗だ。』
まるで言い訳をするかのように、鎧武者の男は、大の字になって倒れた。
下ネタ言いたい




